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「国民の放送」といわれる韓国放送公社(KBS)で赤面するほどの法廷争いが繰り広げられている。KBS労組が「労報」に2011年の
四字成語として「施罰労馬」を載せたことに対し、KBS経営陣が侮辱罪容疑で労組幹部を告訴したのだ。
「施罰労馬(シパロマ)」。実に妙な言葉だ。漢字では「熱心に働く馬を罰する」という意味になる。しかし韓国語の発音では口にできない
卑罵語だ。労組側は「昨年放送されたKBSドラマ『栄光の才人』から出たセリフ」として、あくまでも風刺とユーモアであることを強調している。
「栄光の才人」に出てきた「足家之馬(チョカジマ)」を付ければさらにひどくなる。三流の輩の口から出てきそうな下品な言葉だ。漢字文化圏の
どの学者も解読不可能だろう。
KBS労組の誘致した言語遊戯を眺めながら「放浪詩人キム・サッカ」が頭に浮かんだ。みずぼらしい身なりのキム・サッカが、ある書堂に立ち
寄り、礼儀知らずの学童の冷やかしを受けて書いたという「辱説某書堂」という詩の一つを思い出したからだ。漢字の訓とハングルの音を絶妙に
かけ合わせ、読む人の失笑を誘う。19世紀中盤を風靡したキム・サッカはKBS労組の「卑罵語労報」をどう見るだろうか。一度笑った後、労使
双方の後頭部をぶつような風刺詩を書いたのではないだろうか。
国籍不明の卑罵語文化は今では珍しい現象でない。ツイッターをはじめとするソーシャルネットワークサービス(SNS)の拡散に乗って、全国的に
「卑罵語競演大会」が繰り広げられているようだ。法服を着る謹厳な表情の現職判事までもツイッターで卑罵語を使っている。中・高校の教室を
占領した「シバ」という卑罵語が公論場(public sphere)にもあふれる。KBS労使の事例は韓国語がどこまで墜落しているかをよく表している。
10大経済大国を目指すという大韓民国社会の内部を表しているようでやるせない。
私たちの歴史には風刺・ユーモアの大家が多かった。申在孝(シン・ジェヒョ)が集大成したパンソリ六マダンでは、生活が苦しかった民衆の恨と
哀歓が民衆芸術に昇華されて表出する。朴趾源(パク・ジウォン)の許生伝、金万重(キム・マンジュン)の謝氏南征記を読んでカタルシスを感じる
のは、痛烈な風刺と節制された表現が胸に響くからだ。言葉と文は一国の品格を圧縮して表す。朝鮮の両班には凍え死んでも火に当たらない
という覚悟があった。KBS労使はこのように悩んだのだろうか。
中国や日本を調べても卑罵語は東洋の儒教文化伝統とかけ離れている。日本語で「馬鹿野郎」は相手を侮蔑する時に使う最後のレッドラインだ。
中国語でも「斑疹(足りない者)」程度がすべてだ。1990年代末、北京の夜道で乗車拒否をするタクシー運転手に向かって「斑疹」と吐き、殴られ
殺されそうになった記憶がまだ鮮明に残っている。
韓国では最近、「共有・参加・開放」をモットーにしたソーシャルメディア時代が開かれている。ソウル大の張徳鎮(チャン・ドクジン)教授は『10年後の
世界』という著書で、「2012年に行われる総選挙と大統領選挙は史上初、史上最大のソーシャル選挙として行われるだろう」と予想した。しかし極端な
世論の分裂や他人に対する誹謗は相変わらず課題として残っている。「自分がすれば風刺、他人がすれば誹謗」という歪んだ意識が横行する。今日も
ツイッターの世界では、他人に対する誹謗が次々と登場している。いちいち数えるのが難しいほど多い。
4月11日の総選挙が80余日後に迫った。予備候補者だけで1600人にのぼる。これから候補者が吐き出す言語暴力がどこまでエスカレートするかが
心配だ。怒りの時代という2012年、ウィンストン・チャーチルような人ではなくとも、韓国式風刺の真髄を見せる政治家が出現するのはまだはるかに遠いの
だろうか。今はもう韓国社会も、相手を殺す‘死通’ではなく、皆を生かす‘活通’の大家が出てこなければならない時期だ。「弾んでこそ生き残る」という
誤った意識を正す責任は私たちのような普通の人にある。
中央日報/中央日報日本語版: 2012年01月31日14時05分
URLリンク(japanese.joins.com)
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