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>>1の続き
東北6県の選挙人対象者は約9000人。18日現在で約350人(約4%)が登録済みだ。だが、その8割ほど
が駐仙台総領事館を擁する宮城県内という。他の民団本部は頭が痛い。
■悩みは降雪量
「県域が広いので、盛岡に集まるだけでも大変だ。旅券をもつ選挙人対象者は200人弱。10%以上は行く」
(岩手)。「今年は降雪量が多く、仙台に行くのはもちろん、秋田市内に集まるだけでもひと苦労だ」(秋田)。
「団員は少ないが、日本人に嫁いだ韓国女性だけでも1000人を超える。だが、政治にさほど関心がないうえ
に、山形市内に来るだけでも数時間はかかるので、動きが鈍い」(山形)。
民団大阪のある実務幹部は、「高齢者は選挙への関心も期待も、かなり高い。だが、韓国や海外に行く
こともないだろうし、費用もかかるということで、パスポートを所持していないか、更新していない同胞が相当
いる」ことを問題視し、「基礎の部分から底上げする必要があるのでは」と提言する。
■「本国発展を支えた自負心をいまこそ」
在外選挙人登録申請はいずれの海外地区でも、順調とは言えない。だが、日本地域がその例外でない
ことに、忸怩たる思いの民団幹部は多い。
なかには、「在外選挙権は民団が汗水たらして獲得したものではない、という事情もあるにせよ、韓国の
政治状況にうとい団員が目立つ」と嘆き、「在日は在日だ、という意識が強く、本国志向を否定的に見る
傾向もある」と指摘する幹部も。
また、別の幹部は「韓国の政治について、日常的に関心を持っていないと、在外選挙制度に意識がつい
て行けない」とし、「2大国政選挙が今年は20年に1回の同年実施だが、次は4年後の国会議員選挙、その
1年後の大統領選挙まで間隔がある。そのつど意識化するのは大変だ」と語る。
■負けてなるか
しかし、組織歴の長い幹部たちの間では、「別に競争しているわけではないが、在米や在中の同胞らに
負けていられないという気持ちがないと言えばウソになる」という思いもある。そんな1人がこう強調していた。
「日本は国土面積がさほど広くないうえに、交通網が張り巡らされている。北から南まで10カ所に公館が
あり、公館の所在地に同胞が集住する度合いが高い。そして何よりも、在日韓国国民を主たる構成員とし、
歴史的に本国と格別な紐帯を育んできた全国組織の民団があるではないか」
そんな幹部たちは口をそろえて、「本国の発展は民団を中心とする在日同胞の貢献があってこそだ。その
自負心からも、せっかくの権利に対する関心を高めていきたい」と語り、今後への強い意欲を示している。
■□在外国民選挙‐似かよう韓日 「国民の権利」も煩雑さがネック
■12年の運動で
京都市在住の読者から本紙に届いた転居先を知らせる葉書に、在外国民選挙に対する思いが綴ら
れていた。
「61歳の生涯で初めて、投票権を行使することになりましたね。運動を熱心に推進してきた建国高校
2年後輩の李健雨君は、あの世に旅立ちましたが、彼の思いは光をもたらしました。若い世代を含め、
(投票権を)実際に行使することが大切です」
在外国民選挙制度は、天から気まぐれに降ってきたものではない。「参政権は国民主権の原則を実現
するための最も基本的で必須的な権利」であり、それを与えないのは「平等権の侵害」に当たるとの憲法
裁判所の判決(2007年6月)に基づくものだ。これを引き出すまでには、故・李健雨氏を中心とする「在日
韓国人本国参政権連絡会」などの12年にわたる粘り強い運動があった。
憲法裁判所は1999年1月、在外国民選挙を否定する判断を下している。選挙権は国に対する納税、
兵役、その他の義務と結びついており、こうした義務を履行しない在外国民に選挙権を認めることは
できない、というのが主たる論拠の一つだった。