12/01/27 00:59:37.57
ソース(日経ビジネスオンライン、遥洋子氏) URLリンク(business.nikkeibp.co.jp)
●ご相談
お恥ずかしい話、韓流ドラマにハマり、仕事も朦朧とする始末。このままではいけないと自己嫌悪しつつ自制も難しく…。仕事が
二の次になってしまうそんなご経験は?(40代女性)
●遙から
韓流ドラマにハマる方の心情を私は理解できる。冬ソナ以降、韓国ドラマは10年の間にリズムもテンポもクオリティもUPした。
先日、韓国のベテラン俳優の来日ファンミーティングイベントがあった。「このクラスのスターの来日はおそらく今回限り」という知人に
促され、世の女性を席巻し猛烈な勢いをもつ世界がどんなものか覗いてみようと、私は初参加することにした。
日比谷公会堂という大型ホールを埋め尽くしたイベントだったが、中身自体は他愛もないものだった。ファンからの質問あり、クイズ
あり、疑似共演ごっこありという、「ファンってこういうレベルで喜ぶもんだろ」的な時間が延々続いた。
私が興味深かったのは客席だった。
■もはや“発情”だ
高齢者が多い。男性も多いのが意外だったがすぐ謎も解けた。定年組が妻のハマる作品を自分も楽しんだ結果の参加だと読んだ。
その妻にこそ私は意外な発見をした。全身真っ赤なスーツ、あるいはショッキングピンクのスーツ、着物や原色のチョゴリ…。この気合い
の入り方。
赤を着る女心は、「私を見て、気づいて」という願いだ。年齢から考慮しても日本人は地味な色合いを好む傾向にある。そこは
フランス人とは違う。タンスの中にある地味な洋服の中から、やにわに真っ赤な勝負服を選ばせる感情は何か。
私は断言しよう。これはもはや“発情”だ。
高齢の妻の発情につきあって、妻を発情させた男に会いに出かける夫、という構図。それはそれで面白い。
ステージのやり取りより、「何がこの女性にこの服を選ばせたのか」と妄想を膨らませているほうが刺激的だった。
だいたい私の好奇心がおさまったところで知人に言った。「退屈。もう帰ろう」
知人は驚いて私に言った。「いいんですか?最後にファンとスターの写真撮影がありますよ」
「どうせ団体写真でしょ?」
知人は地の底から響くような声で言った。 「このクラスのスターと一緒に写真に写れるのは、これが、人生で1回きりのチャンスですよ。
2度目はないですよ。本当によろしいんですね」
「・・・・・」・・・最後までいることにした。実は、その最後の写真撮影こそが、私にとっては見たこともない人間の本質を観察できた
衝撃的な体験をすることになるのである。
撮影は、前の客席から順次、2階席へと流れ作業で進んだ。といってもスムーズではなくステージではスタッフが「順番です」とマイク
で絶叫し、段取りは当然悪く客席を苛立たせた。2000人近くいる全員と数十人単位で撮影をこなすのだからスターも大変だ。
こういうアナログなファンサービスをどこまでプロ意識でこなせるのかの精神力と、スターを間近にしたファンの高揚を眺めた。2階席
だったので十分な時間があった。
スターは撮影の合間にファンに笑顔を見せ続け、抜けがけで求める握手にも対応した。すかさずスタッフが声を張りさえぎる。
「握手は禁止です!」
(>>2以降に続く)