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(>>1の続き)
「有機ELテレビが登場しても、我々には関係ない」と強気なのは、シャープの片山幹雄社長だ。堺市の工場で製造する60型以上
の大型液晶テレビの販売に力を入れる。「堺工場」では、60型以上の液晶パネルを効率的に切り出せる大型のガラス基板「第10
世代マザーガラス」を世界で唯一採用する。そのコスト競争力を武器に、米国を中心に販売攻勢を強める。
ラスベガス市内の家電量販店「フライズ・エレクトロニクス」の一角には、シャープの大型液晶テレビがズラリと並ぶ。80型は4569ドル
(約36万5000円)と高価ながら、「先週だけで4台売れた。何せ、この店で一番大きいからね」と男性店員。
シャープの60型以上の販売台数は、北米市場で2012年3月期に前年同期比5倍の100万台を超える勢いで伸びている。60型
以上に限った場合、シャープの世界シェアは41.9%に上り、2位のLG電子(16.9%)や3位のサムスン電子(13.6%)を抑えて首位に立つ
(2011年1~9月期、ディスプレイサーチ調べ)。
韓国勢が55型の有機ELテレビを発売したところで、60型以上の液晶テレビより画面サイズが一回り小さいので、直接競合しない
というのが、片山社長の見立てだ。しかし、トップシェアを維持し続けられる保証はどこにもない。
60型以上の液晶テレビは値崩れしておらず、依然として高値で売られている。つまり韓国勢にとっては価格差を縮めるのが容易な
市場と言える。
韓国勢が60型以上の有機ELテレビの量産に成功した時が、シャープにとっての正念場となる。
■ソニープレミアム復活へ
ソニーは「クリスタルLED」と呼ぶディスプレイ技術を開発中で、CESでその試作機を展示した。画面に赤・緑・青色の微細なLED
(発光ダイオード)を配置し、それぞれを発光させて映像を表示する。次世代テレビとして実用化を目指している。
ソニーにとっては、2011年3月期まで7期連続で赤字を出すテレビ事業の止血が急務だ。2011年11月には収益の確保を優先し、
むやみにシェアを追い求めない方針を打ち出した。2012年3月期の販売計画も当初の2700万台から2000万台に引き下げた。
この方針を受けて、米国法人のフィル・モリニュー社長は、「昨年のクリスマス商戦では、薄型テレビの価格競争に参戦しなかった。
値段を下げるのではなく、消費者に商品が持つ価値を訴えた」と語る。
以前、「ソニープレミアム」という言葉があったように、ソニーはその高いブランド力から、他社より高い価格でも製品が売れた時代が
あった。今後、テレビ市場でソニープレミアムの復活を目指す。
日本勢は液晶テレビの開発で先行しておきながら、2000年代後半に世界シェアで韓国勢に逆転を許した。有機ELテレビでは
立場が入れ替わり、今度は開発をリードする韓国を日本メーカーが追いかける番だ。韓国勢が演じたような逆転劇を、日本勢は
見せてくれるだろうか。
(終わり)