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「体育科の入試は中止すべき」という大阪市の橋下徹市長の発言には、首をかしげた。
大阪市立桜宮高バスケットボール部の当時17歳の男子生徒が47歳の顧問の体罰を受けた後に
自殺した問題で、市長は「こんなことで募集を続けるのは大阪の恥」と言い切り、
体育科の定員120人を普通科に振り替える代替案を提示した。
これを機にスポーツ指導の場で手を上げる悪弊を一気に根絶させようという市長の考えは
わかる。しかし、今回は一指導者が起こした問題で、体育科全体の問題ではないはずだ。
志願者の中には桜宮高で力をつけ、将来は日本を代表する選手になりたい、と思っている
生徒もいるだろう。
昨年11月、当時の田中真紀子文科相が何の疎漏もなかった3件の大学新設申請を突如却下
(のち撤回)して混乱を招いたのは記憶に新しい。「大学認可のあり方を抜本的に見直す」
という意気込みはよかったとしても、方法論が間違っていた。それと同じで、大人の都合で
生徒たちの夢を断ちきってしまうのはよくない。
それにしても問題の体罰教師はどこで何をしているのか。人を何発も殴るほど血気があるなら、
隠れていないで表に出て「間違ったことをしていた」と謝罪したらどうだ。こういった
問題が起きるたびに教育委員会の幹部が出てきて形ばかりの会見を開くが、誠意が感じられず
腹立たしさを覚えることが多い。
本人が自らの言葉で「体罰は間違い」と認めることが、防止へ一番の薬になるのではないか。
いまの状態では殴った方が守られている感じさえする。顔を出すことに支障があるのなら
文書ででもいい。周りがどうこう言うより、本人が早くけじめをつけるべきだ。(今村忠)
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