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「おめでとうございました」について
大岡信の日本語相談』(大岡信 著/朝日文芸文庫)
・「おめでとう!」に過去形はない(P.201)
【めでたいという言葉の成り立ちについて触れてから】
この場合、大事なことは、この「めでたい」が話者自身の今の気持ちの率直な
表現だということです。
相手の偉業や祝い事に対して、自分がたいそう喜んでいるということの意思表示
だということです。
これが「おめでとうございました」という言い方になるとどうなるか。
理屈っぽく解釈すれば、「私自身の今の気持ちは別として、さっきのあなたの
ホームラン、あれは喜ばしいことでした」とでも訳すべき言い廻しになるでしょう。
つまり相手を心から祝福しているのではないという感じを言外に含んでしまうのが、
この言い方です。
【「~ました」にすると気持ちとは裏腹に、言葉に冷淡さがあるとしたうえで】
それはこの言い方が、妙に醒めた客観的な言い方になっているからです。
相手に心理的に距離を置いているということを、言わず語らずに示している表現
だとも言えるでしょう。
自分の今の気持ちを投げかけるのですから、過去形など使いようがないのです。
日本語の場合、「ございます」は必要な場合も多いでしょうが、「ございました」
は、要するに慇懃にして無礼な言い方ということになります。
さすがアグネス。