12/05/09 09:24:27.29 yAGQD3i40
>>45
「犯人は二人、それぞれ拳銃を所持しており、人質を取っています―」
車両は緊迫していた。走行中の新幹線。拳銃を所持した犯人。
逃げることも、抗うこともできない。
「おい、お前(犯人の頭に)当てられないか?」
遠征のため同車両に乗り込んでいた東北高校野球部捕手の佐藤が
今年新エースとなった山下に小声で囁く。
「無理や。この位置では犯人と人質が一直線で、犯人より前に人質に当たってしまうわ」
「しかも同時に二人やらんと、残った一人がどう暴れるか」
あっさりと僅かな希望の糸は断たれた。佐藤は恨めしそうに押し殺した声でつぶやく。
「くそっ・・・奴らを仕留めるボールはあるのに・・・」
山下がさらに続ける。
「この位置では、そうやな。大きく右に曲がる球と大きく左に曲がる球、
両方を正確かつ威力十分に投げられる投手が、二人同時に投げんとアカン」
「そんなん色々不可能やで」
絶望だ―。そう感じる佐藤と山下の背後から、ボールを奪う手が伸びる。