12/03/29 13:44:46.79 0
今できること、そして今やりたいこと。
そんなことは本人が一番よくわかっている。
昨年のオフシーズン、これからの野球人生について松井選手はこう語った。
「野球が好きだし、野球で今までずっとここまで来たわけですから……ということは
やっぱり野球で結果を出して自分自身を証明する以外ないです」
その思いだけで今もバットを振り続けている松井選手。
彼のシーズンはすでに始まっている。
自分自身を証明する戦いの真っただ中にいるのだ。
冒頭の「カーン、カーン」。
室内に響き渡る音は、実はそんなさわやかな打撃音ではない。
どちらかと言えば「バシッ」とか、「ビシッ」といった破裂音に近い。
内なる思いを思い切りぶつけるかのような力強いスイングから生み出される音は
「カーン」などという乾いた、マンガのような音ではなく、汗にまみれたボールを
引ったたく湿った破裂音だ。
この響き、聞き覚えがある。
2006年、夏。
当時ニューヨーク ヤンキースに所属していた松井選手は選手生命を脅かすほどの
大けがだった左手首の骨折からの復帰を目指し、懸命にリハビリを続けていた。
「みずからの真骨頂を見せるために」
「けがをする前よりもっとよい選手となるために」
炎天下のフロリダ州タンパ。
そのことを証明するために、来る日も来る日もバットを振り続けた。
お日様の姿さえ見えない室内ケージ。
300球を超えてもなお変わらずに響く、まだまだプレイしたいという心の声。
同じ響きだ。