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プロ野球の開幕戦に初出場したルーキーが、サヨナラ本塁打を打つ。こんな劇的な展開はないだろう。
その1号は南海・穴吹義雄内野手。1956年3月21日、阪急戦の九回裏、先頭で大阪球場の左翼席
へ運んだ。各球団が札束攻勢で争奪戦を繰り広げた末、南海入りした渦中の人だった。
中央大学で3年秋と4年春に首位打者に輝くと、各球団が1000万円近い高額な契約金を提示した。
大卒の初任給が約1万円の時代。親族らも巻き込んで札束が乱れ飛んだとされる騒動は「あなた買います」
の題名で小説の題材となり、中井貴一の父である佐田啓二がスカウト役で主演して映画化までされた。
時代は移り、巨人の騒動だ。1997-2004年に入団した6選手が、球界で申し合わせた入団時の
契約金の「最高標準額(1億5000万円=出来高払いを含む)」を大きく超える契約をしていたと
報じられた。阿部に10億円、高橋由に6億5000万円…。当時の逆指名制度や自由獲得枠はそうした
温床となりやすい面はあった。
巨人側は「最高標準額は目安であって上限ではない。ルール違反は一切なかったという認識」と説明した。
内部資料が流出したことも気になるが、説明を聞く限り、支払ったのは事実だろう。開幕を目前に、
チームへの影響は少なくない。
穴吹はいち早く声を掛けてくれた南海を選び、最高額ではない契約金で入団した。当時は自由獲得競争
の時代だが、「心の重荷があった」という。ミスをすれば「契約金泥棒」のやじもあった。力のある選手
を獲得する企業努力は必要。そこにルールが存在するが、「目安」という言葉にはモラルが求められて
いたのではないか。
清水泰史
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