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最後の一瞬まで集中力は途切れなかった。
「全員の気持ちが詰まった結果です」。GK権田は胸を張った。前半39分、決定的なピンチも、
ショッキングピンクのユニホームに身を包んだ守護神が素早く横っ跳び。DF陣のミスから
浴びたMFオスマンの左足のシュートもしっかりセーブした。大量得点を狙い、前掛かりに
なる攻撃陣を最後尾から支えた。
若き守護神は自分自身と戦っていた。5日のシリア戦。痛恨の2失点で関塚ジャパンは
崖っ縁に追い込まれた。GKだけの責任ではない。それでも権田は「ミスという思いは
抜けない」と自分を責めた。チームリーダーを自任する男は左腕にキャプテンマークを巻いた。
「相手は一本の速攻で攻めてくる。自分が出るか、DFが対応するか、常に確認しながらできた」。
マレーシア戦は汚名返上の舞台だった。
スペインリーグで首位を快走するRマドリードの戦いぶりを胸に刻んでいた。12日のレバンテ戦を
テレビ観戦。「1点を取られても動揺しない。自信を持ち、貫くことが大事なんだな、と」。
先制されながらも全く焦りを見せず4―2と逆転勝ちしたレアルを、自身の目指すべき姿に
重ね合わせた。
観客席では、日本代表のユニホームを着た裕美夫人が一緒に戦っていた。もちろんロンドンに
連れて行くことを約束している。試合後、夫人と談笑する権田はようやく呪縛から解かれたような
表情を見せた。次は3月14日、五輪出場権を懸けてバーレーンと戦う。「ここは気持ちです。
気持ちを前面に出していきたい」。守護神の視線はサッカーの母国をしっかり捉えている。
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観戦するGK権田夫人の裕美さん
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後半、好セーブを見せる権田(左)
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観客席から権田(背中)に声をかける夫人の裕美さん(左端)ら応援団
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