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先日、日本サッカー協会の元会長である犬飼基昭氏を取材したとき、こんなことを嘆いていた。昨年12月に浦和レッズの原口元気がチームメイトの岡本拓也と喧嘩になり、左肩を脱臼させてしまった件についてだ。
犬飼元会長は言った。
「クラブは原口元気のような若い選手のメンタルケアを、きちんとしなければダメだ。あの歳で代表になって、まだ調子の波が大きいわけですよ。プレーがうまくいかないと、精神的に追い込まれる。
なのに喧嘩をしてしまったときに、『あいつが悪い』とクラブが声をそろえて非難するのはおかしい。普段のメンタルケアもしないで、何か落ち度があったらみんなで叩くなんて日本社会の悪い部分を象徴している。浦和レッズでも何でもない」
■メンタルケアの重要性を犬飼元会長は指摘する。
犬飼元会長は2002年から2006年まで浦和の社長を務め、Jリーグを代表するビッグクラブへと育て上げた功労者だ。
まだ小6だった原口を「絶対に取れ」とスタッフに告げ、ジュニアユース入団を実現させたのも犬飼だった。それだけ古巣が将来を担うタレントのケアを怠っていたことが、残念で仕方ないのだろう。
犬飼元会長はこう続けた。
「ヨーロッパでは、クラブでも代表でも、メンタルケアの専門家を置いている。代表にもいるしね。選手出身の人間が一生懸命勉強して、メンタルケアの資格を取っているんだ」
ひとつ浦和を擁護するとすれば、犬飼元会長がこういう考えを持つに至ったのは、日本サッカー協会の会長としてヨーロッパを視察したからであり、心理面のサポートにまで手が回っていなかったのは同情できる部分がある。
だが、犬飼元会長の指摘は、問題の本質を突いていることは間違いない。
>>2以降につづく
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