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観客がまばらな午後４時前に土俵へ上がる。
それでも、やはり人気力士。歓声と拍手は一段と大きくなる。
盛りを過ぎたことは、自分が一番よく知っている。
「でも、ポンコツにはポンコツの意地がある」
最高位は小結。しかし、昨年秋場所で十両に転落してからは苦しい土俵が続く。
１０枚目まで下がった九州場所は９勝６敗で乗り切り、１０年間守ってきた
関取の地位を死守。この初場所では、１５歳も年下の新鋭の挑戦を退けた。
３度目の年男だ。抱負を聞くと「大けがをしない。むちゃしない」。
控えめな言葉の裏側には、年男との相性の悪さがある。
２４歳だった２０００年秋場所で、右ひざ前十字靱帯（じんたい）を断裂した。
前の場所に新入幕で１０勝を挙げ、敢闘賞を初受賞。
飛躍から一転、２場所連続での全休を余儀なくされた。
１２歳の時には、股関節を負傷した苦い思い出があるという。
独身。そろそろ身を固めては、との勧めは多い。
「できればね。でも、まず相撲。相撲しかできないんだから」。
融通の利かぬ一本気は、右差し一筋の取り口と同じだ。
幕下へ転落したら引退、と公言している。
「いつどうなってもいいように、腹はくくっている」
◇
たかみさかり 本名は加藤精彦（せいけん）。
１９７６年５月１２日、青森県板柳町出身。日大４年でアマ横綱となり東関部屋に入門。
９９年春場所で幕下付け出しデビュー。殊勲１回、敢闘、技能賞２回。
１８８センチ、１４１キロ。
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