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心理学者のJ.P.ギルフォードが創造性の研究に身を捧げたのは、あるきっかけからでした。
第二次世界大戦中、アメリカ空軍から依頼されて爆撃機のパイロットを選ぶことになり、
知能検査や学業成績、個人面接の結果をもとに適任者を選抜しました。
空軍はまた、退役した元空軍司令官にも同じ任務を与えました。ギルフォードは心理学を
まるで知らない素人が携わることを苦々しく思い、また、司令官のベテラン・パイロット
としての知識や経験をさほど評価しませんでした。案の定、ギルフォードと元司令官はま
ったく違うタイプの人間を選びました。
しばらくして、二人の任務が査定されました。すると、ギルフォードが選んだパイロットは
ことごとく撃墜されていたことが判明。大勢の兵士を死に追いやってしまったことを知り、
ギルフォードは悲嘆にくれました。そしてようやく悲しみの底から立ち上がると、自身の
失敗を検証するとともに、なぜ司令官の選んだ人材が抜きん出ていたのかを徹底的に調べ
ようと決意したのです。
ほどなく、元司令官は全員に「ドイツ領空で敵機に対空射撃にあったらどう対処するか」
と質問し、軍のマニュアル通り「上昇します」と答えた兵士を落していたことが判明しまし
た。選ばれたのは、「その場になってみないとわかりませんが、おそらく降下します」「
ジグザグ飛行を始めます」「左右に機体を揺らして砲火を避けてみます」など、いわゆる
「間違った」回答をしたパイロットばかり。その理由は、マニュアル通りに行動する兵士は
意外性に欠けており、予測されやすいからでした。
ギルフォードが失敗した原因はそこにありました。マニュアル通りに機体を上昇させる兵士
ばかり選んでいたのです。お決まりのパターンを敵側のドイツ軍は察知しており、雲の上で
上昇してくるアメリカ機を待ち伏せていました。つまり、知性が高くても常に規則通り動く
パイロットより、機知に富んだ考え方ができるパイロットの方が危険をうまく切り抜けら
れるということです。
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