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「みんなのためのＦＡ」はどこに行ったのか。
１９日、正式に巨人入りを発表したソフトバンクの杉内（３１）に非難の声が上がっている。
１６日に行われた巨人との２度目の交渉で、４年総額２０億円、背番号「１８」を提示された杉内。
長嶋終身名誉監督自らが、歴代「１８」番の堀内恒夫氏や桑田真澄氏らに背番号譲渡の確認を取ったことを
聞かされるや、「僕なんかに偉大な番号を提示していただいた」と感激。あっさりと巨人入りを決めたのだ。
が、杉内がソフトバンクからＦＡ宣言をした大義名分は、昨オフから導入された新査定制度の見直しだったはず。
過去の実績を軽視する成果報酬型になったことで、一部の選手が反発。
「やって上がる、やらないで下がるのは当たり前。ただ、いきなり交渉の場で４０、５０％ダウンは愛がない。
僕の条件というより、若い選手のことも思うと（見直すべき）」
と杉内が言えば、代理人の酒井弁護士も、
「団体交渉をひとりでやっているようなもの。（労組の）委員長みたいな感じです。みんなのために闘っている」
と、私利私欲ではなくナインのためだということを強調していた。
１年が勝負のプロ野球の世界。今季の成績が重視される査定は当たり前。とはいえ、投手陣のリーダーとして
ＦＡ制度を行使してまで球団に見直しを迫った「心意気」に感動したファンもいたはずだ。
それが「背番号１８がもらえるんで巨人に行きます」では、ファンも選手も納得できないだろう。
スポーツライターの工藤健策氏は「杉内は潔さがない」とこう話す。
「そもそもＦＡは野球協約で認められている選手の権利。好条件の球団に行く、という理由で移籍しても
何ら問題はありません。それを杉内は自分をスポーツマンらしく見せようと思ったのか、ファンの反発が
怖かったのか、『みんなのため』という、もっともらしい理由をつけてＦＡ権を行使し、巨人に行く。
査定見直しうんぬんは建前、自分が得することしか考えてなかった、と思われても仕方ありません」
巨人への移籍を決断した杉内は「笠井社長には感謝している。申し訳ない気持ちでいっぱいです」と話したが、
ダシに使われたソフトバンクの選手たちは「冗談じゃない！」というのが本音だろう。
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