14/08/19 22:27:30.41 hD+1xO3h
■160キロ投げても敗戦投手の不思議
話を戻すと、160キロを超える速球に対しては「見える」までの時間と「打て」と脳が信号を送る時間だけでも0.2秒かかってしまい、
その瞬間にはすでに、ボールは投手→捕手間を半分以上過ぎていることになる。
その条件で打者は「内角・外角」「高め・低め」「ストライク・ボール」「打つ・打たない」という判断をするわけで、
そこに残されたわずかな時間を考えると、いかに160キロの速球を打つということが至難の業かわかってもらえるだろう。
そんな球がなぜ簡単にバットに当たるのか、不思議に思う人は多いと思う。
3日の大谷は7回を投げて9安打、2失点。金子圭輔、今宮健太に適時打を喫し、10勝を前に足踏みとなった。
一方で、若き日の中日・山本昌のように130キロ台半ばの球でも最多勝にも最多奪三振王にも輝くことがある。
何とも不思議なことである。そこには野球選手の途方もない優れた能力が隠されている。
■打撃は「予測」の下に成り立つ作業
では、なぜ160キロの球を投げる投手が負け、130キロ台の球を投げる投手が勝つような現象が起こるのか、その答えは打撃という
作業が「予測」の下に成り立っているからである。ここでいう予測とは球種やコースにあらかじめ的を絞るような行為ではない。
もっと単純な予測で、簡単にいうと過去から未来を予測する行為のことである。投手の手元からボールが離れコンマ何秒かの時点で、
どんな球種でどのコースに来るか、それと同時にストライクかボールか、
そして打つか打たないか判断する場所がある。このエリアで打者は“未来”を予測するのだ。
たとえば球は空気抵抗で必ず減速するし、重力もあるので厳密にいえばどんなボールも沈むことになる。
それらのことを瞬時に計算して「たぶんここを通過するだろう」と思われるところにバットを振り出す。
つまり、過去から得た情報を瞬時に分析して、未来を予測しているのだ。
打者はこの予測行為を、少年野球のころから何万回、ひょっとすると何百万回と繰り返した経験に基づいて行っている。
しかも、この能力は努力さえすれば誰もが得られる能力ではない。選ばれし人間が並々ならぬ努力をして得られるものなのである。
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