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父が三十台半ばの独身女に目を付けられて、精神的浮気状態になった時の
うちの状態が一番の修羅場だった。
わりと早くうちの女陣が父の様子に気付いて、父はばれたのに気付いてすぐ
相手の女と切れたが、母は許さなかった。
母はとにかく切れまくって、とにかく荒れた。何の拍子にヒステリーを
起こすかわからず、夜寝るために寝室に引き上げた後でも突然父を詰って
喧嘩になって、隣の部屋で寝ていた私は気が気じゃなかった。
昼間でも些細な事がきっかけで突然切れ、出て行くと騒ぎ暴れる母を
玄関前で押し留めてなだめ、ベランダから飛び降りようと暴れる母を必死で
羽交い絞めして止めるのはいつも私の役目だった。うちはちょっと特殊な
構造なので、二階のベランダでも飛び降りたら落下する先は十メートル
くらい下になる。最悪死ぬ。
厨二病患者の兄は「は?飛び降りるの?死ねば?pgr」とか平気で言う
ので、役に立たないどころか母の怒りに油を注ぎまくって大変だった。
妹は昼間学校で父は会社。当時浪人生だった私ぐらいしか、昼間母を
止められる人間は他に家にいなかった(兄は論外)。
普段はおとなしく母に詰られていた父だったが、そもそもの原因である
くせに時々逆切れかましたりもしたので、母が落ち着くまでには随分
時間がかかった。
今では、テレビとかで浮気・不倫の話題が出ると父が不機嫌になったり、
母が昼間時々、父の浮気をまだ許してないと愚痴ったりする程度になり
なんとか平穏(?)だが、あの頃は本当に毎日が修羅場だった。