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(>>521 の続き)
『菜食主義者』を翻訳したきむ・ふなさん(48)は、「90年代以降、作家たちは政治や社会
に代わって等身大の人間をテーマにするようになった」と説明。代表的な作家として、申さ
んとともに「90年代以降の文壇を牽引(けんいん)した女性作家のトロイカ」と言われる孔枝
泳(コンジヨン)と殷煕耕(ウンヒギョン)、70年生まれの金衍洙(キムヨンス)、80年生まれの
女性作家・金愛爛(キムエラン)ら若手の名を挙げる。
こうした状況を受け、日本の文芸誌「新潮」でも、昨年6月から今年にかけて4回にわたり、
中韓の文芸誌と協力し、同時代の中国や韓国の作品を互いに紹介するプロジェクトを展開
中だ。
韓国文学に詳しい文芸評論家の川村湊さん(60)は、「これまではドラマ・映画化された作
品など話題性や社会性中心のものが主に紹介されてきたが、韓流ブームが一通り行き渡り、
ようやく韓国の文学が普通に文学として受け入れられるようになったのでは」と分析してい
る。
【「母をお願い」申京淑さん…静謐な筆致に社会が見える】
「最近の韓国の小説は、ソウルを東京と置き換えても問題なく読めます」。『母(オンマ)をお
願い』(集英社文庫)を刊行した申京淑さんは、韓国文学の変化を見つめる。
ソウルに出てきた際に行方知れずになった年老いた母を捜す家族の物語。章ごとに違う語
り手を通して、家族のために自分を犠牲にして生きてきた母の人生が浮かび上がる。「女性
の立場の変化、伝統と現代の対比、教育格差といった韓国社会の状況も自然と見えてくる
のではないでしょうか」