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北朝鮮で官能短編集、庶民もひそかに楽しむ
【ソウル=宇恵一郎】文芸は革命のためとされ、お堅い文学で知られる北朝鮮で、官能的
な小話を集めた短編集が公式に発刊され、ひそかに読まれている実態が25日、明らかに
なった。
本紙が、北朝鮮に出入りする消息筋から入手した本の題名は「奇譚小話集 笑いの山河
をたどる3」。奥付に「2010年3月10日」の発刊日と、発刊元として「朝鮮作家同盟中央
委員会」と明記されている。公式発刊物として連続発刊、流通していることがうかがえる。
悪質なざら紙仕立ての251ページに短編30編を収録。字だけで挿絵はない。内容は昔話
の形をとっており、冒頭の一編は、山菜を採りに入山し結ばれた男女の物語。また、別の
小話は、食事にも事欠く近所の独身女性を助けることにした夫婦の夜の会話を記している。
ある脱北者によると、こうした本は、数年前に作家同盟などが「民衆の娯楽用にどうか」と
編集し、金正日総書記に献本したという。その後、思想が堅固な幹部にだけ購読が許され
たが、自由市場などではひそかに貸本の形で出回り、娯楽の少ない庶民の楽しみの一つ
になっているという。