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西郷さんの最期
エピソード3≪ 創られた西郷自決 ≫
ちなみに広く信じられている西郷の最期、「晋どん、もうここらでよか」と言って
地面に跪坐。厳然と襟を正し、東の皇居の方角に深々と頭を下げ、
別府晋介に首を刎ねさせたいう逸話、出典はご存知ですか?
西南の役から30年以上たってから出版された「西南記傳」という本。
編纂者と出版元は右翼団体。まるで見てきたように書いていますが、
西南の生き残りが書いたわけではないし、誰それの証言であるなどのソースの提示も無し。
貴重な文献ではあるが、資料として細心の留意が必要な代物なんです。
基本的に、右翼主義者による西郷隆盛礼賛ありきのプロパガンダ本であり、
西郷や、西郷軍のイメージに傷が付きそうな史実がばっさり省略されていたりするのも特徴です。
かねてから、銃弾飛び交う切迫した戦場で、前述のような芝居がかった自決が可能なのか
という見方はありました。また、重傷を負い駕籠で運ばれていた別府晋介がこのときばかり
駕籠を降り起ち上がり、肥満した西郷の首を一刀両断できるは不自然ではないかという見方も。
じつは東大図書館に西郷遺体の検死報告書が保存されているのですがそこにはこう記録されています。
「右大腿より左骨部貫通銃創、頭(頸)体離断」
腹部に刀創はありませんので、切腹はしていない。
また、銃弾が骨を貫通していることから(当時の銃の性能を考慮すると)至近距離から被弾した可能性が高い。
「頭(頸)体離断」は首を切断されていたということです。
つまり、大腿を至近距離から銃撃されたあと、
首を切断されたということです。