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昭和の3、4年ごろ確か東大の先生だったと思いますが、二、三度春になりますと
お見えになり、お祖父さんは羽織はかまに威儀を正して、ふすまを閉めきって
私共を近づけずに、朝から遅くまで何事か話をしておられました。
ここ城川の家は代々、鍋製造が稼業で職人が20人ぐらいおりましたので、
三時の茶入れの時なぞはいろんな噂話がはずむものでしたが、そんなとき
お祖父さんが現れて、今ン話しはおはんナ自分で見た話しか、人から聞いた話しか
と詰問されて、相手は眼を白黒させて、いや、ただ人から聞いた話でございもすと言うと、
”わが眼で見た話しでなかのなら、ここでは語いやんナ” とピシャリと言って
引っ込んで行かれるもんで、ヒャッとするもんでござした 」
と語られたが、城川翁がいかに実話を重んじた人柄か眼の当たり見るようである。
帰りに国道10号線沿いの墓地で城川翁の墓参りをすませて城川家を辞去した。