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余録:蘭学者、緒方洪庵が大坂に開いた適塾は…
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蘭学者、緒方洪庵が大坂に開いた適塾は福沢諭吉はじめ幕末から明治に活躍した多くの人材を生んだ。今の大阪大学の前身でもある。
驚くのは諭吉の自伝の回想だ。夏には武家の子弟である塾生らが下帯もせず素裸で過ごしていたという
▲「もちろん飯を喫(く)う時と会読をする時にはおのずから遠慮するから何か一枚ちょいと引っかける、中にも(織り目の透いた薄い)絽(ろ)の羽織を真裸体の上に着ている者が多い。
これは余程おかしな風で、今の人が見たらさぞ笑うだろう」。幕末のスーパークールビズだ
▲勤務中のポロシャツやアロハ、サンダルもOKという環境省のスーパークールビズが今年も始まった。
昨季に続く節電の夏の2年目の試みで、ジーパンも破れていないものなら可、一方ランニングや短パンは不可だという
▲昨年は欧米のメディアでも「服装革命?」と報じられたスーパークールビズだった。
保守的な日本のビジネス風土では普及は望み薄だろうとからかう調子で扱われたが、そもそも日本人が蒸し暑い夏にスーツを着るはめになったのはそちらのせいだともいいたくなる
▲諭吉らは極端だろうが、夏は遠慮なく半裸で過ごした昔の日本人だ。それを来日した欧米人に「野蛮」といわれ、
一生懸命取り入れた「文明」の結果が夏のスーツ姿である。裸には戻れずとも、できる職場はできる程度に日本の夏にふさわしいスタイルにすればいい
▲仕事着だけではない。今年も扇風機に打ち水や浴衣、昔のヘチマ棚に代わるグリーンカーテンなど、
節電でよみがえったレトロな夏の衣食住が話題になろう。むろん下が裸でなければ絽の羽織もいい。