12/02/04 20:37:54.56 9+FLWdeO0
佐伯啓思の『反・幸福論』新潮新書の広告が新聞に載っていました。
> 「人はみな幸せになるべき」なんて大ウソ!
> ●「自由と権利」の追求が不幸のもと
> ●「不平等」と「違い」を誤認するな
> ●福沢諭吉「人間蛆虫論」からの教訓
この「人間蛆虫論」とは『福翁百話』にある話のことですね。
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人間の安心 (七)
左(さ)れ
ば宇宙無辺の考を以(もつ)て独(ひと)り自(みず)から観(かん)ずれば、日月も小なり地球も微(び)な
り。況(ま)して人間の如き、無智無力、見る影もなき蛆虫(うじむし)同様の小動物にして、
石火電光の瞬間、偶然この世に呼吸眠食し、喜怒哀楽の一夢中、忽(たちま)ち消え
て痕(あと)なきのみ。
福翁百話 - 51 ページ :
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既(すで)に世界に生れ出
たる上は蛆虫ながらも相応の覚悟なきを得ず。即(すなわ)ちその覚悟とは何ぞや。
人生本来戯(たわむれ)と知りながら、この一場の戯を戯とせずして恰(あたか)も真面目(まじめ)に勤
め、貧苦を去て富楽に志し、同類の邪魔せずして自(みず)から安楽を求め、五十、
七十の寿命も永きものと思うて、父母に事(つか)え夫婦相親(あいした)しみ、子孫の計(はかりごと)を
為(な)し又戸外の公益を謀(はか)り、生涯一点の過失なからんことに心(こころ)掛(がく)るこそ
蛆虫の本分なれ。否(い)な蛆虫の事に非ず、万物の霊として人間の独り誇る
所のものなり。
福翁百話 - 52 ページ :
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