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それでは、この場面の一般の蒙古兵と、加筆と見られる三蒙古兵の描き方はどのように
異なるだろうか。比較して見よう。一般の蒙古兵が矢印の左、三蒙古兵が同じく右である。
兜の垂れ:肩とあごを覆うフード←→フードが無く「吹き返し」飾りがある
顔の描き方:絵画的、優美←→漫画的、こっけい
輪郭の描線:全般に細い←→一部で太い
弓:細くて短い←→太くて長い
ズボンの描き方:簡略←→膝前面に折り目のようなものを描線で描く
すねの武装:白いすね当て←→黒い色のブーツ
三蒙古兵の描き方のこのような特徴は、他の場面の蒙古兵にも見られる。
例えば絵19(後巻第33紙)で、上の船の中央に仁王立ちする兵士を見よう。
上の対照表で矢印の右に示した特徴が全て表れている。
このような例を見れば、三蒙古兵の場面における兵士の描き方の差は、描かれた時代
の差ではなく、画工による画法の差であることが、文句なく納得できるのである。