縄文・アイヌ・弥生・渡来人学18at GEO
縄文・アイヌ・弥生・渡来人学18 - 暇つぶし2ch526:名無しさん@お腹いっぱい。
14/01/16 04:04:10.86 CDZSq154
 驚きの顔つき
 割れてバラバラになってはいたが、英祖王陵2号石棺に比較的保存の良い
頭骨が含まれていたことも予想外のことだった。貴重な時代の証人の顔と
対面する幸運に巡り合えるかもしれないのである。周りの小さな骨片まで
慎重に取り上げて頭骨の復元作業に取り組んだ。我ながら驚くほどの集中力で
連日連夜、ジグソーパズルの小さなピース(頭骨片)探しに没頭した。
(誤解を招かないようにお断りしておくが、この作業は人類学者にとっては
最高に楽しい勉強の場でもある)。
 そして、最後に一気に接合して出来上がった頭骨を見た時の驚きは多分一生
忘れられないと思う。王族という言葉から想像していた顔つき(フィールド
ノート参照)とは似ても似つかないものだったからである。
 これまで見てきた先史時代人とも近世人とも似ていなかった。頭を上からみた
形は長く(長頭)、顔つきは平坦、何よりも驚いたのは極端な突顎(出っ歯、
反っ歯)だった(写真4)。しばらくは言葉もなく頭骨と向き合っていたと思う。
しかし、そのうちに自分がとんでもない歴史の証人と対面しているのだということに
気がついた。
 2号石棺の頭骨の特徴は沖縄では見たこともないものだったが、実は、それらの
特徴(長頭・突顎)は日本の人類学者なら知らない人はいないと言うくらい
よく知られたものだった。日本本土の中世(鎌倉時代~室町時代)遺跡から出土する
人骨には必ずと言っても良いくらい見られる特徴なのだ(図1、鎌倉時代の頭骨)。
日本の中世に大規模な外来遺伝子の流入があった証拠はないので、おそらく何らかの原因で
徐々に突顎・長頭に変化したものと考えられているが、その成因は未だに解明されていない。
日本の中世人に共通する独自の特徴が沖縄の同時代人(英祖王の時代はグスク時代・
中世に相当する)、しかも王族の中に確認されたことになる。
 頭骨の意味するもの
 本土日本の中世人と似た特徴をもつ英祖王陵の頭骨は何を語ろうとしているのだろうか。
 沖縄の先史時代と近世の間には形質的な違いがあり、それらの違いを解明する
鍵を握るのがグスク時代人であることは前回連載で紹介した通りである。
英祖王陵の頭骨はまさにその鍵と言えるのではないだろうか。
 一方、ミトコンドリアDNAの解析からも重要な情報が得られている。
共同研究者の国立科学博物館人類史研究グループ長・篠田謙一さんは尚寧王陵
4号石棺人骨から抽出されたミトコンドリアDNAを解析し、中国南部や
東南アジアに多く見られるハプロタイプFであることを明らかにした。琉球列島は
日本と中国、東南アジアを繋ぐ中継点であり、琉球王国の形成に周辺地域との交流が
重要な役割を果たしたことを「浦添ようどれ」の人骨は語っているのではないだろうか。


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