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岡田尊司
PHP新書
④(以下抜粋)
自己愛性パーソナリティ障害は、傲慢で、誇大な成功を夢見たり、特権意識をかさにきた、人を人とも思わない態度をとっているとは限らない。
自己愛性パーソナリティ障害は、一見、そうした自信たっぷりな様子とは正反対な、引きこもりや、うつ状態、対人恐怖、心気症などの陰に隠れて存在していることが少なくない。
自己愛性パーソナリティ障害が、医療の対象になる場合、もっとも多いのはうつ状態である。
最近の研究では、本来の「うつ病」である大うつ病の二割近くに自己愛性パーソナリティ障害が認められている。これは、強迫性などに次ぐ高い比率である。
引きこもりは、自己愛性パーソナリティ障害の随伴症状としても、重要である。自己愛性パーソナリティ障害に見られる引きこもりは、一つは、肥大した自己愛的理想と、現実の自分の間に、大きなギャップが生じることから起こる。
自分が抱いている偉大な成功と、卑小な現実が釣り合わなくなったとき、ナルシシストは、自分の小さな世界に閉じこもることによって、失望したり、傷つくことから身を守るのである。
また、自己愛的パーソナリティ障害の人は、周囲の人と摩擦が多くなり、あるいは、自分のプライドを守るために、身構え、神経をすり減らすため、知らず知らず対人関係を避けてしまうのだ。
薬物乱用もしばしば見られ、それが治療のきっかけとなることもある。また、挫折体験に際して、自分の才能や能力が他人に妬まれて、迫害を受けているという被害妄想を抱きやすい。
非行、犯罪の世界に目を転じると、共感性の乏しさや搾取的な態度から、しばしば虐待や攻撃に手を染める。
反撃されにくい弱者に対するのが特徴で、強制わいせつやセクシャル・ハラスメント、ストーキング、DV(家庭内暴力)のオフェンダーには、自己愛性パーソナリティ障害が多い。
ここ数年、児童に対する強制わいせつ等の性犯罪の増加が問題になっているが、自己愛性パーソナリティ障害が一般人の間に広がっていることの表れだと考えられる。
Ψ(`∀´ )