11/05/23 14:14:43.01 yiDQetX4
巷では3D映画が大人気ということもあり、A君は割引チケットを手に入れたため、さっそく映画館へと足を運んだ。
「どのぐらい飛び出すのかなぁ。」と映画内容よりも3Dのほうが楽しみな位だったが、列に並ぶ人の話を聞くにつれ、内容も少し気になりだしていた。
ポップコーンを買い、準備万端で席に着くA君。映画が始まり、いくつかの予告編が流れると、ほどなく映画が始まった。
「立体的ではあるけれど、地味なシーンだな・・・」最初はそうだった。だが、異星の映像が広がると思わず驚きの声を上げた。
凄かった。ここまでだとは思っていなかった。だが、物語が佳境に入るにつれて、なぜか映像の暗いシーンばかりが増えて行った。
こういった演出なのだろうか?A君は不思議に思ったが、それでも内容が面白く見入っていた。しかし、徐々に字幕まで暗くなっていく。
ついには、その字幕さえ、何も見えなくなり、大音響の音楽だけが劇場に響き渡るようになった。
そして、映画が終わる。だが、会場は一向に明かりが灯らない。観客の帰っていく声だけが聞こえる。A君は足元も見えないのでしばらくそのままでいた。
しばらくして。「お客様、こちらの映画は入れ替え制になっておりますので」と声が掛けられる。
A君は「なぜ電気がつかないのですか?」と当然のように尋ねた。それはそうだろう。こう暗くては外に出るのもままならない。
従業員はあわてる風でもなく、レシーバーに向かってこういった。「またです。先生を呼んでください。」