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秋元康に聞く、なぜ前田敦子さんがセンターだったの?
AKB48の戦略!:
AKB48の総合プロデューサーとして、メディアに何度も取り上げられている秋元康氏。彼はなぜAKBを世に送り出し、かつ成功
し続けているのだろうか? ジャーナリストの田原総一朗氏が、彼の仕事術に迫った。
●オーディションで落とすのは完成された女の子
田原:ここで、メンバーたちの話を聞きたい。センターを務めて今回卒業した前田敦子さんは、なんでセンターだったんですか
。もっと歌や踊りのうまいかわいい子がいるのに、なぜ秋元さんは彼女に目をつけたんですか?
秋元:センターにいちばん向いてないな、と思ったからです。ファンはアイドルに「シンデレラ・ストーリー」を求めているん
です。いじめられたり、ぼろを着て雑巾がけをさせられたりして不遇だった女の子が、お姫様として大成功する物語をね。
AKBは、はじめはこんなにダメだったけど、やっと自分の応援でここまできた。それをファンは体験したい。だったら最初から
すごい美人やお姫様ではダメじゃないですか。
AKBのオーディションで、残念ながら僕がことごとく落としてしまうのは、完成された女の子たちなんです。
田原:はい、完成された子は落とす。
秋元:プロダクションをいくつも渡り歩くとか、そこそこ経験があるという子たちは、ことごとくどうなっていくか想像できて
しまう。僕だけじゃなくてファンのみなさんが見ても、この子は器用だから自分がいなくても伸びていくだろうなと思える。そ
れはつまらないからAKB48にはいらないというのが、僕のプロデュースです。
それであるとき、何も分からない無垢な14歳の前田敦子に「君がAKB48のセンターで歌うんだよ」と言ったら、彼女は大声を上
げて泣きながら「嫌だ」と言った。ほかの子たちはみんなセンターになりたいし、ソロ曲がほしいんです。僕のプロデュースで
、その子がセンターに立つかソロ・デビューして“にんまり”しちゃうと、そこからはもうドラマが生まれないんです。だから
前田敦子しかいない、というのがありました。
田原:だけどお客さんには、彼女が嫌だと大泣きしたことが分からないでしょう。
秋元:いやいや、ファンのみなさんは、その微妙なところをずっと見ていますよ。それこそが、たぶんAKB48がAKB48劇場で毎日
公演することの意味なんです。
毎日やっているからファンは、例えば「今日のあっちゃんはなんだか暗い。おかしいぞ。きっと何かあったはずだ」と気付く
。それをブログで書いたり、なぜだという推測が掲示板で飛び交ったりする。1週間ほど経つと誰かが、どうやら彼女はレコーデ
ィングしたらしいとか、センターの話をもらったとき大泣きしたらしいという情報をつかむ。その話が広がって、みんなまたい
ろいろ妄想するんです。ファンのみなさんは、ステージと客席との境界線をなんとか越えようとします。ステージではダイレク
トに明かされない情報に、ものすごく敏感ですね。
●前田敦子には天才的なオーラがある
田原:彼女は、しゃべりもあまり得意ではなかった。センターには向かないでしょう?
秋元:しゃべりは全然ダメです。ただ、それでも彼女をセンターにしたのは、前田敦子っていう子には、やっぱり天才的なオー
ラがあるんです。
URLリンク(headlines.yahoo.co.jp)
田原:なんですか? オーラって。
秋元:オーラ。これは僕のなかでも、なかなか説明がつかないんですけど。まあ、イメージでいうと、アミノ酸みたいなもので
す。「このラーメン、なんでこんなにおいしいんだろう」と、地方の小さな屋台で思うことがある。一流ホテルがメニューに載
せているラーメンを食べても、そんなふうには感じない。それにはアミノ酸なのかイノシン酸なのか知りませんけど、なにか特
別なものが含まれているんですよ。