12/05/01 01:00:11.05 o5rp7jV30
平嶋「でも君はまだ大丈夫。君はまだこれから公演に一杯出れる。テレビの仕事なくして劇場に行け、とまでは言わない」
平嶋「ただ知って欲しかった。AKBにとってファンと繋がれるところ、それはテレビでも雑誌でもなく、ここ劇場だ。大切にしなさい。一度一度のファンとの出会いを大切にしなさい」
そう言って、平嶋は出口の方に向かっていく。
光宗「ちょっと・・・平嶋さん・・・!」
平嶋「あーっ、光宗薫だ! みなさーん! スーパー研究生でテレビにも引っ張りだこの光宗薫がいますよー! あれー、何でこんな観客席にいるのかなー!」
平嶋が―声量ある大声で叫び、ちょうど曲も終わったとなって、場内は騒然とする。
光宗「ちょ、ちょっと・・・」
平嶋「さようなら、薫ちゃん。私はあなたは決して交わらない。もうあなたの前には姿を現さないでしょう」
そう言い残して、平嶋は去っていった。
201: ◆Q5rNtE.wug
12/05/01 01:01:31.14 o5rp7jV30
■5になっちゃん!■
平嶋「流石に悪いことしたかな・・・」
平嶋は先程、やったことで少し自己嫌悪に陥る。
平嶋「まあ、いずれ気付かないといけないしね。薫ちゃんがAKBとしてやっていくためには、考えなければならない道だから・・・」
こうして、というか只文句を言うだけ言って平嶋夏海の物語は終わる。
AKB48の《夢》とは高橋みなみのことである。
AKB48の《現実》とは平嶋夏海のことである。
一見、華やかに見えるが、そこには光と影が確かに生まれている、ということ。
あまりにも寂しい、そして救われない物語であった。
202: ◆Q5rNtE.wug
12/05/01 01:03:22.22 o5rp7jV30
■古いページは破り捨てろ■
ファン「何で、光宗がいるんだー?」
光宗「ちょ、ちょっと・・・押すのは止めてください」
まるで押しくらまんじゅうとなって、会場は混乱の渦となる。
その渦の中心にいるのは何を隠そう光宗本人である。
光宗「あ、あの!」
ファン「お前に一言、言っておきたかったんだよ!」
怒りが込められた大声によって、騒然としていた会場が水を打った静けさとなる。
ファン「お前、劇場を馬鹿にしてんだろ」
光宗「い、いえ、そんな」
ファン「いや馬鹿にしている。こうやって、研究生の公演を見に来る、っていうことが馬鹿にしてるんだ。多分、心のどこかで思っているんだろ」
ファン「あー、大変そう。けど私はテレビとか出まくって、目立っているけどね。って」
光宗「そんなこと・・・!」
ファン「じゃあ、お前にとって劇場とは何なんだ。お前にとって、劇場とは邪魔なものなんじゃないのか?」
劇場とは何なのか―。
AKBの原点。
これだけテレビや雑誌に引っ張りだこの現状において、残念ながら休演してくるメンバーも少なくない。
正規チームの公演であっても、殆どが代役として研究生が出演していて、一体何をしているのか分からない状態になることがある。
劇場とは何なのか―。
そんな空中戦の最前線にいる、光宗が「原点です」といっても誰も信じないし、一笑して終わるだろう。
光宗「私にとって・・・劇場とは・・・」
203: ◆Q5rNtE.wug
12/05/01 01:05:11.17 o5rp7jV30
ファン「そうだ、お前にとって劇場とは!?」
光宗「劇場とは・・・」
光宗は必死に声を絞り出す。
光宗「私にとって劇場とは、努力を見せるフィールドです! 確かにこの世界では「努力は報われるとは限らない」「絶対報われない」かもしれません、ですけど!」
光宗「私達には劇場があります。努力してそれを披露できる、努力が報われるフィールドがあるんです! これだけ幸せなアイドルは他にはいません」
光宗「もちろん、そこでミスするかもしれません。しかし会場の雰囲気や反応を見て自分で修正することができ、努力をすることが出来ます!」
光宗「だから私は努力し続けていきたい―テレビや雑誌の仕事が多くなると思うけど、私にとって劇場とは努力した結果を最大限に発揮できる場所です!」
ごめんなさい―そう続ける。
偉そうなことを言ったが、現実的には殆ど公演にでれない日々が続いている。
そんな気持ちが、最後にそう言わせたのだろう。
ファン「・・・分かった・・・じゃあ、今からステージに上がりなさい」
204: ◆Q5rNtE.wug
12/05/01 01:06:47.63 o5rp7jV30
光宗「えっ」
ファン「俺達は、何だかんだお前を認めている。神崩し―AKBの新世代を切り開く、一人の主要メンバーだと思っている。だからステージに上がりなさい。そしてステージで努力の結果を見せてください」
光宗「でも・・・」
ステージ上では研究生のみんなが手招きをしている。
殆ど交われなかった、異質な存在としての光宗なのに―。
ファン「そうだ、そうだ! 何だかんだいって、アンチも多いと思うけど、みんなお前のことを認めてるから言ってるんだ。ルックスもスタイルも良い」
ファン「身長が高くてダンスで見栄えが良くて、目立つ―まだ未熟かもしれないけど、これから経験を積めばきっと全員を魅了出来るようなダンスが出来るはずだ」
光宗「・・・はい!」
205: ◆Q5rNtE.wug
12/05/01 01:08:09.61 o5rp7jV30
こうして光宗はステージに向かって走り出す。
いつか前田敦子は言っていた。
―全員が全員、敵じゃないから。温かい言葉もたっくさんある―。
アンチが生まれてスターは育つ。
もちろん、光宗のことを嫌いな人もたくさんいる。しかし反対に自分のことを期待してくれる人間もたくさんいる。
自分には味方がたくさんいるんだ―。
そんな自信に光宗は包まれていた。
光宗「はい・・・では最後の曲、聞いてください。Beginner」
206: ◆Q5rNtE.wug
12/05/01 01:10:03.56 o5rp7jV30
■だけどアンコールが、どこかで聞こえた■
柏木「どうしたの! 薫ちゃん。その大量の荷物は」
光宗「決めました。私、今日から四天王のリーダーになります」
いきなり言い放ち、固まるチームBメンバー達。
柏木「えっ?」
光宗「だって、佐藤亜美菜さんが止めてからリーダーいなくなって、実質四天王解体されそうになったじゃないですか。だから私が引き継ぎます。私が今日からリーダーとして頑張ります」
柏木「って、ちょいちょーい! おっかしいでしょー!」
北原「まあ、私はお腹一杯ご飯食べられればそれでいっか」
宮崎「ということはその荷物は、もしかしてハンバーガーとか? もう涎が出て止まらないよ」
増田「楽しみやなー」
光宗「いえ・・・食べ物であることには変わりないのですが・・・」
光宗は意を決してその荷物を開ける。
そこには―。
宮崎「えっ、これって、煮干し?」
207:名無しさん@お腹いっぱい。
12/05/01 01:10:11.68 Ca5FEFmI0
光宗って劇場6周年のお披露目で言ってたとおり目立つよな
SSAのRIVER 全体の完成度高かったのに光宗悪目立ちでワロタwww
208: ◆Q5rNtE.wug
12/05/01 01:11:39.48 o5rp7jV30
光宗「はい煮干しです。これから四天王は「ご飯を一杯食べて太ろう」ではなく、「常識的にご飯は食べるが痩せよう」というコンセプトにしたいと思います」
宮崎「えー! そんなー!」
光宗「泣き出さないでください! 宮崎さん。この煮干しを噛むことによって、満腹中枢が刺激されあんまりご飯を食べなくて済むようになるらしいです。これでみなさんダイエットしましょう!」
北原「私、ちょっと急用が」
光宗「そして!」
光宗は続ける。
光宗「ダイエットと一緒に、一番後輩を仲良く出来るような、そんなチームにしていきましょう。まずはその意識作りからです。もちろん、派閥とかではなく―」
こうして光宗薫の物語は終わる。
AKBの新世代を担っていく、一人の少女の物語は終わった。
これは努力と才能の話。推されと干されの話。そしてファンを大切にする少女の物語であった。
こんな彼女達がいるAKBは、きっとどこよりも輝いてて強い―。
渡辺美「おはようございまーす。今日からレッスンに参加させていただく、渡辺美優紀と言います。みるきー、って言ってください―」
《終わり》
209: ◆Q5rNtE.wug
12/05/01 01:15:40.10 o5rp7jV30
>>1です。
これで一応、終わりです。
色々とグダグダだったと思いますが、最後まで読んでくれた方がいるとするなら・・・ありがとうございました。
48グループには《推され》と《干され》が確かに存在します。その推されグループには前田敦子や指原、干されグループには平嶋や佐藤亜美菜がいました。
光宗薫は他の推されとは、また違った《推され方》をされていますが、彼女のAKB、人生の成功を祈って・・・という締めでいきたいと思います。
最後に、ここまで読んでくれた方は本当にありがとうございました!
210:名無しさん@お腹いっぱい。
12/05/01 01:18:43.08 D9cN4THJ0
14期生オーデションを受けに来た元AKBの森杏奈がチームBで電撃昇格(´・ω・`)
211:名無しさん@お腹いっぱい。
12/05/01 01:20:22.12 s7ODjALz0
>>209
乙
読めた。
212:名無しさん@お腹いっぱい。
12/05/01 01:21:08.71 Gi+ILWuFO
お疲れ様。ストレートでちょっと青臭いプロットに好感です。