光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」at AKB
光宗「私がチームBに昇格ですか・・・」 - 暇つぶし2ch50:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/29 18:21:59.04 szyoWlJCi
 浦野一美―元AKBでチームBのメンバーの一人である。
 組閣にて、SDN48に移籍となったが、そのSDNも今年に解散となってしまい、路頭に迷うことになりそうだったが―。
 起死回生、『彼女』が止めたことにより一つの枠が開くことになって、浦野が新加入メンバーの一人となった。

浦野「あっ、そうそう! チームBどんな感じなの。薫ちゃん入ったじゃない。いや、いいね~。若いって、いいね~」

渡辺「うん、まあそうなんだけど・・・」

浦野「うん? どうしたの、何か凄い暗い顔しているけど。何かあったの? まゆゆ、確か薫ちゃんのこと好きだったじゃない」

渡辺「いやー、私は凄く嬉しいんだけど。やっぱり薫ちゃんが入ったことによって、色々思うメンバーもいるんじゃないかと」

浦野「・・・?」

渡辺「やっぱり薫ちゃんって、殆ど研究生として下積みがなかったのに、真っ先に昇格したじゃない。やっぱり下積み経験が長いメンバーは色々思うこともあるんじゃないかと。人間関係の軋轢が心配で・・・」

浦野「そうかな? 別に新しく人が入って嬉しい、って思っているメンバーが殆どじゃないのかな」

51: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:22:15.55 hBDa7I2m0
光宗(相変わらずつかみ所のない先輩だ。何を考えているのかさっぱり分からない)

小森「それより、スタッフさん達がお菓子の差し入れをしてくれたから食べよ。あっちあっち」

光宗「はい・・・(げっ)」
 
 小森が指さした方向には、新四天王の一人で宮崎美穂の姿があった。
 宮崎は鈴木紫帆里と一緒にお菓子を食べている。

光宗(宮崎さんか・・・)

宮崎「あっ、薫! 早く食べよ! なくなっちゃうよ」

光宗「い、いただきます・・・」


52:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/29 18:22:29.74 szyoWlJCi
>>22
はい。


 額に汗を浮かべながらも何とか鍋をお腹に入れる光宗。
 既に胃袋は限界を超えていて、戻しそうになりながらも必死の形相を浮かべて鍋を攻略していく。

光宗「ふ、ふうー」

増田「まだまだあるから、一杯食べてな!」

光宗「い、いえ。もう流石に・・・」

 光宗の胃袋は限界、という限界を超えて限界のむこう側に到着していた。
 しかし次から次へと盛りつけられる、そのてんこ盛りのちゃんこ鍋。全く減っている様子はない。

増田「いいんやで! 遠慮しなくて。レッスンでお腹空いてるやろうし、どんどん食べて!」

柏木「みんな!」

53: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:23:08.16 hBDa7I2m0
 嫌々ながら―といっても、そんな素振りは一つも見せずにお菓子に手をつける光宗。

宮崎「それにしても、紫帆里と薫、やっぱり細いねー。ちゃんと五食食べてるの?」

光宗「(五食・・・?)・・・ちゃんと人並みには食べているつもりですよ。ただ、人より少し小食で」

宮崎「AKBに限らず、この世界ってやっぱり体力勝負だからさ。一杯食べて、体力貯えないと」

光宗「はあ・・・」


54:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/29 18:23:18.52 szyoWlJCi
 連行・・・連れていかれたのは、キムチ鍋やちゃんこ鍋など、色々な鍋を食べることが出来るお店だ。
 チームBのメンバーは殆どこの歓迎会に参加しているが、河西に関しては体調不良で途中で帰った。

柏木「それじゃあ、薫ちゃんがチームBにやって来てくれた、ということで・・・これからチームBのますますの繁栄を祈って、乾杯!」

 もちろん、皆のグラスにはウーロン茶やオレンジジュースが注がれている。

渡辺「かかかかカヲルくん。すすす凄い良かったよ! これからも頑張っていこう!」

光宗「はい!」

佐藤亜「薫」

55:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/29 18:25:15.75 ourIwSRM0
つまらんな

56:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/29 18:25:44.59 szyoWlJCi
光宗(良かった・・・柏木さんもとても優しい先輩みたいだ。私、これからどんな厳しいことにも、負けずに頑張っていこう)

渡辺「彼女が、次の犠牲者か・・・」

光宗「あっ、渡辺先輩! おはようございます!」

渡辺「あっ、おはよう! かかかかかカヲルくん、これから一緒のチームBだね! いいいいい一緒に頑張ろう!(何やともあれ、一番入ってきて欲しい研究生が来てくれた! やっびゃあ!)」

光宗「はい!」

佐藤亜「あっ、君が噂のスーパー研究生の光宗くんだね」

光宗「はい、亜美菜さんおはようございます!」

佐藤亜「・・・調子にのってんじゃねえよ」

57: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:27:16.68 hBDa7I2m0
 だけど、あなたを見ていたら、食べても体力つくと思わないんですけどね・・・と言いそうになったが、喉元で堪える。

光宗「・・・」

宮崎「どうしたの、薫。手進んでないよ。もしかして先輩に遠慮して、食べられないんじゃないの? いいよいいよ、どんどん食べて」

鈴木紫「あああー! そうです! 薫ちゃん、あれだよね、最近テレビや公演で忙しくて少しバテ気味なんだよね。だから食べ物も喉を通らない―」

宮崎「いやいや、そういう時にこそ無理矢理にでも一杯食べないと。知ってる? 力士も最初は吐きながらちゃんこ鍋食べるみたいだよ」

光宗「(いつの時代だ・・・)は、はい・・・いただ」

柏木「こらー、みゃおー!


58: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:28:03.74 hBDa7I2m0
 何処からともなく、目を見開いて柏木登場。

柏木「一人で食べちゃ駄目だって! チームBみんなのために、っていうことでもらったんだから。残しとかないと!」

宮崎「・・・そうだね。ごめん、亜美菜ちゃんのためにも残しとかないとね」

光宗「ホッ」

柏木「ヒソヒソ・・・薫ちゃん・・・断らないと駄目だよ」

 ヒソヒソ声で光宗に話し掛ける柏木。

光宗「はあ・・・でも、先輩の命令だったらなかなか断れなくて」

柏木「別にそんな体育会系みたいな上下関係考えなくていいの! もちろん、良いことだけどね。断らないと駄目だよ・・・ほら、雑誌のグラビアも少しお腹に肉ついてきてるしさ」

光宗「そうなんですよ・・・紫帆里さんは凄いですね。後輩で、後からチームBに入ってきたんだから、こんな風に餌付けさせられそうになったんじゃないですか?」


59: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:28:54.39 hBDa7I2m0
鈴木紫「薫ちゃんみたいに酷くなかったけど・・・なんか、私、食べても身長に行くだけで、そんなに太らない体質みたい」

光宗「羨ましい・・・」

宮崎「薫―!」

光宗「はい?」

宮崎「レッスン終わりで、お腹も減ったしご飯食べにいこう。近くに美味しいラーメン屋さんあるんだ」

光宗「(さっき食っただろ)い、いえ、私は」

宮崎「よし、行こう!」

 宮崎に無理矢理腕を引っ張られてついて行かされる。

光宗「あ~、柏木さんー」

柏木「・・・頑張りなさい」

 アーメン、そう小さく呟く柏木。
 絶望感に打ちひしがれながらもついて行かざるを得ない光宗。
 余談であるが、帰宅した後に体重計を見て悲鳴を上げたのは言うまでもない。


60: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:29:28.22 hBDa7I2m0
 ■食べ過ぎて、胸焼けて、僕は苦しい■

佐藤亜「薫は、順調に10キロ増量か・・・」

???「はい、確かな情報です。前、後ろからコッソリ体重計を見たらそう表示されてましてから」

増田「順調に、体仕上げてきてるなー。これは期待の新人やで」

佐藤亜「うん・・・」


61: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:30:07.93 hBDa7I2m0
 ここはとある、宮崎お勧めの焼き肉屋―。
 新四天王に一人を加えた五人で、肉をつつきながら緊急会議をしている。

北原「そりゃあ、深夜にラーメンとか焼き肉とか付き合わせていたら、こうなるよね」

宮崎「モグモグ・・・」

佐藤亜「でも、油断しちゃ駄目。油断したら、薫のことだからしっかりダイエットしてきて、体を絞ってくる」

宮崎「モグモグ・・・」

佐藤亜「だからペースを緩めては駄目。緩めた瞬間、奴は猛烈なペースで追い上げてくるだろうから」

宮崎「モグモグ・・・」

佐藤亜「お前は食べ過ぎだっちゅうの!」



62: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:31:01.94 hBDa7I2m0
 宮崎の頭を叩く亜美菜。

北原「そうですね・・・モグモグ・・・プロ意識は高そうですしね、確かスカウトか何かでしたっけ? 明かに他の研究生とは違いますしね・・・モグモグ」

???「北原さんも、口のものなくしてから喋りましょうよ」

佐藤亜「うーん、それにしても、ゆきりんの邪魔も入るし、なかなか楽屋では餌付けしにくい。相手はテレビ出演が多くてなかなか一緒になる機会もないし」

増田「そうやな、ゆきりんをどう食い止めるかがポイントなってくるやろうな」

佐藤亜「今のとこ、選挙でも上、私4期でゆきりん3期で先輩だしあまり強く言えないし・・・有華ちゃん、もう少しなんか言えないの? 2期生でしょ」

増田「あかん。所詮、私は外様の一人や。そこまで強くは言えへん」


63: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:31:50.39 hBDa7I2m0
『彼女』をなくした穴はでかい。亜美菜はそう感じていた。
 今まで強く意見を言えていた『彼女』が四天王にいたからこそ、四天王のはチームBの中でも最大派閥となっていた。
 しかし『彼女』がいなくなってから、どんどん四天王の自分の発言力は弱まっていくばかり。メディア選抜付近の北原を新戦力としていれたが・・・これも特効薬とはいかない。
 そう、亜美菜は焦っていたのである。

佐藤亜「ちょっと、???。何か良い情報ないの?」

???「そうですね。ありまへんね。北原さん、口元に焼き肉のタレがついてますよ。取ってあげましょ」

北原「あ、ありがと」

宮崎「モグモグ・・・」

佐藤亜「てか、???で伏せた意味ないじゃん! 横山!」

???→横山「何のことですか?」

佐藤亜「いや、こっちの話」


64: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:35:13.56 hBDa7I2m0
 そうである。
 北原を加入させた意味は、この横山を戦力に加える意味もある。
 といっても、あくまで裏の顔として、だ。横山は案外、選抜メンバーの一人であるので選挙上位とも付き合いがあり、さらに9期生ということでチーム4との交流もある。
 あくまでスパイとしてのような形で、横山には戦力として加わってもらっている。

佐藤亜「まあ、こうでもしないと、権力はどんどん弱まっていくということで・・・」

横山「それにしても、薫がこうやってチームBに入ることによって、選挙はどのように変動するのでしょうか」

佐藤亜「・・・」

横山「今のところ、やはりメディアを使ってのゴリ推しをしてきているメンバーは選挙上位にきている。この法則でいくと、薫も選挙上位にいくはず・・・」

北原「ちょっと、由依・・・」

横山「あっ、すいません・・・」

佐藤亜「いいよ」



65: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:35:52.67 hBDa7I2m0
 おそらく総選挙において最もナイーブになっているのは亜美菜である。
 選抜メンバーが16人となり、第二回、第三回共に18位である亜美菜はおそらく崖っぷちと言っても良いだろう。

宮崎「まあ、流石に無理なんじゃない!?」

 宮崎は焼き肉のタレを飛ばしながら言う。

宮崎「ほら、AKBって努力と根性が至上じゃん。実際、去年だって横山入ったり、しーちゃん入ったりしてたし。やっぱりいきなり、1年目で選挙上位は無理なんじゃないかな・・・」

佐藤亜「そ、そうだよね! まあ、このまま順調に餌付けをしていけばファンも離れると思うし! 頑張りましょう! ほら、お肉も焼けてきているし、食べよ食べよ!」

 自分に言い聞かせる佐藤亜美菜。
 彼女の物語を紹介するのはまだ先のようで―。


66:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/29 18:36:22.60 jkY1t+sE0
俺は好き

67: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:37:03.77 hBDa7I2m0
 ■痩せなさい■

 ―痩せなさい―。
 いよいよ言われてしまった。
 何だかんだいっても、元が凄いガリガリ体質なので目立たなかったが、流石に1ヶ月ちょっとで10キロの増量は不味かったらしい。
 小さな溜息をつく光宗。

光宗(よし! 今日からダイエットだ! 出来るだけ、ご飯とかも断れるようにしよう!)

 そしてもう一つの対応策、というか今まで通りであるが、出来るだけ柏木と仲良くしておくことにした。
 今のところ、新四天王を止めることが出来るのは柏木だけなのである。柏木と一緒にいる限りはそんな無茶な食べさせ方はしてこない。

光宗(といっても・・・柏木さんも凄い忙しいみたいで、なかなか一緒になる機会はないし・・・そういう時は早めに帰るしか対抗策がない・・・)

スタッフ「それでは休憩入りまーす」

光宗「おつかれさまでーす」


68: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:38:35.60 hBDa7I2m0
 ここはとあるドラマ撮影場。
 何とゴールデンタイムのドラマに出演が決まった光宗。といってもあくまで主演とかではなく、1話限定のチョイ役としての出演であったが。

光宗(今日は、チームBのみんなと離れて一人お仕事。特に気を張る必要もない・・・か)

スタッフ「薫ちゃん、さっきの演技良かったよー。この調子で次の場面も頑張って」

光宗「は、はいありがとうございます!」

スタッフ「それにしても、あっちゃんと全然喋らないねー。一緒のメンバーなんだから、もっと仲良いと思ってた」

光宗「・・・前田さんは雲の上の存在みたいなものですから・・・」

 そう言って、視線を変える。
 そこでは木の木陰で座りながら目を閉じている前田敦子の姿がある。
 ―そうである、光宗はこのドラマのチョイ役であったが、そのドラマの主演とは前田敦子なのであった。


69: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:39:45.67 hBDa7I2m0
主演とは前田敦子なのであった。

前田「・・・zzz」

光宗(前田さん、休憩入ったらいつも寝てる・・・)

 余談であるが、5分でも10分でも、短い時間で仮眠が出来る人は時間の使い方が上手く、所謂「仕事が出来る」人であるらしい。
 そう言った意味では、前田は「仕事が出来る」人間の一人であろう。

スタッフ「それでは次のシーン入りまーす」

前田「はい、お願いしまーす」

光宗(流石、前田さんだ・・・今まで寝てたのに、仕事が再開されたら、すぐにスイッチを切り替えられる)

 ある種の才能―だと思う。


70: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:40:37.28 hBDa7I2m0
 ある種の才能―だと思う。
 こうやって、次のシーンも無難に取り終わり、光宗の出番は終了となった。

光宗「ふうー」

前田「こうそうかおる、ちゃんだっけ? 初めましてー、前田敦子でーす」

光宗「うわっ! 前田さん・・・」

 今日初めて、あちらから話し掛けてくれた前田。

光宗「あ、あの、みつむねです。みつむね」

前田「あっ、ごめんごめん。珍しい名字だよねー」


71: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:41:23.21 hBDa7I2m0
 珍しい―光宗はそう思う。
 他人から聞いた話も合わせると、光宗の前田に対する印象は「人見知り」の一言である。
 心を開いたメンバーにしか自分から話し掛けたりしない。おそらくそのメンバーも高橋みなみ等の限られたメンバーだ。
 そんな前田が話し掛けてくれるなんて・・・。

光宗「いえいえ」

前田「すっごい出来てたじゃん。関心したなー。私、最初は全然だったし」

光宗「いや―前田さんの方が凄いですよ」

前田「・・・頑張ってね」

光宗「えっ」


72: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:41:54.79 hBDa7I2m0
前田「多分、今から色々と言われると思うけど・・・全員が全員、敵じゃないから。大体が、薫ちゃんのこと分かっていない人達が、無責任に言う誹謗中傷だから」

光宗「・・・」

前田「といっても、温かい言葉もたっくさんある。ネットの言葉は厳しいものもあるけど、ネットの人達もみんな優しい」

 ―これを言うのに、どれだけの悟りを開いているのだろう。
 あれだけ、「顔面センター」だったり「やる気ない」と、AKBのファンから、アンチからも叩かれ続けた前田敦子。
 そんな少女が言う「ファンは温かい」という言葉はあまりにも重すぎた。

光宗(やっぱり、前田さんは凄い・・・まだ20歳むかえたばかりなのに、人間出来ている。私も見習わないと)

 そう思う。
 前田の一言をきっかけに―物語は動き出す。


73: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:42:35.84 hBDa7I2m0
 ■金閣寺よりも輝きたい■

 横山は一人、歩いていた。
 テレビ出演の給料が入ったため、服でも買おうと思っていたからだ。

横山(AKBINGOの私服ファッションショーの出演も決まってるしな・・・そろそろ良い服買って、みんなを見返さないとあかん)

 そんなことを思いながら、お店のショーウインドーに釘付けになる横山。
 そんなお店は人通りの少ない、裏路地のような場所にあった。

横山「うわあー、これ凄い可愛いなー」

 紫とピンクが混じったような、まるで片山がデザインしたかのような、そんな前衛的なデザインをしている服。
 それに横山は目をとられた。

横山「一体、これ何円やろ・・・うわ」


74: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:45:52.87 hBDa7I2m0
 下にある値札を見て目が仰天する横山。
 そこにはゼロが5つ繋がっており、その先頭には3の数字が。

横山「買いたいけど、流石にこれは無理やな。違うお店に行こうか」

???「その服が欲しいのかい?」

横山「・・・? はい?」

???「なら買ってあげるよ」

横山「いやいや、そんな」

 見たこともない人―包み隠さず言うなら「不審者」が横山に話し掛けてきた。
 身なりはまあまあキレイにしているが、その内面から出る胡散臭さは隠しきれていない。

横山(何やろ、この人。もしかして新手のナンパかいな)

???「これくらいなら、僕買ってあげれるし。付いてきて」

横山「いえいえ、そんなそんな、悪いですよ」

???「いいから、早く、付いてきて!」

 一気に声が荒げる「不審者」。

横山「いや、良いです・・・さ、さような!」

 タオルで口を覆い隠されてから―そこからは記憶がない。


75: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:46:45.26 hBDa7I2m0
 ■りのりえはガチ■

~とある都心のカフェ~

指原「・・・止めてあげなよ、薫ちゃんをイジめるのは」

北原「えっ、何のこと?」

指原「いや」

 ―指原と北原は仕事の合間をぬって、とあるカフェに来ていた。
 今までなかなか仕事の都合がつかずに、逢えない日々が続いていたが、久しぶりのプチデートである。
 指原の胸は躍っていた。

指原「新四天王だっけ、薫ちゃん、何か最近肉付いてきてるし・・・あんま食べさせるのは止めてあげて」

北原「何のこと・・・? 別に私は先輩で遠慮するだろうから、「食べてもいいよ」って言ってあげって、て亜美菜ちゃんから言われて」

指原(駄目だ・・・里英ちゃんは何も分かっていない)


76: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:47:43.78 hBDa7I2m0
 柏木の話からも推測するに、どうやらこの北原。別に新四天王として派閥を作ろう、と思って加入したわけではないらしい。
 ただご飯が一杯食べられる、と聞いて何も考えずに加入しているだけであって、穏健派の人達と対立しているわけでも、何でもないらしい。

指原(里英ちゃん、頭は良いのに・・・そういうところは鈍感なんだから)

北原「薫ちゃん・・・やっぱキレイだね・・・羨ましいよ、北原は」

指原「仲良くしてる? 薫ちゃんと」

北原「うーん、仲良くしているつもりだけどね。何か薫ちゃん、ゆきりんのことが好きらしくて、ゆきりんにべったりで」

指原(そりゃあ、薫ちゃんの中では里英ちゃんは敵で、ゆきりんは味方、ってことになっているからね)

指原「人見知りなんだよ。それに、やっぱキャプテンと一番最初はよく話すだろうし・・・親しみやすいんじゃない?」


77: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:48:57.20 hBDa7I2m0
北原「うーん、そうなのかなー」

指原「それにしても、最近、横山とか大家とか小森になかなか逢えていないね・・・。私は大家、里英ちゃん、小森とは会ってると思うけど」

北原「そうだね! なかなか全員で集まる機会ないよね・・・大家も横山も最近テレビによく出てるし」

指原「また、地方組で集まりたいね」

北原「うーん、やっぱりなかなか予定がねー。入る前から分かっていたけど、この世界やっぱ時間も不定期だし」

 所謂、地方組―地方からやって来たメンバーが、ルームシェアのような形で共同生活を始めたのがきっかけである。
 最初は大家志津香、北原里英、指原莉乃、冨田麻友、中西優香の5人で共同生活を始めたが、色々とあって富田、中西が抜けここに小森や横山が加わることになるが―。
 これは一種の派閥と言えるかもしれないが―去年の選挙で大家、指原、横山が躍進したことを考えれば、一番の派閥と言っても過言ではないだろう。
 しかし選挙の順位が上がることによって地方組の仕事は増え―なかなか会えない日々が続いていた。
 そんな日々を懐かしむ指原。

北原「けどさ! 多分、選挙終わったら時間も出来ると思うし。出来るだけ呼んでなんかご飯会か何かしようよ!」


78: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:49:29.80 hBDa7I2m0
指原「・・・うん、そうだね!」

 そう言った瞬間―ズボンのポケットから振動を感じる。

指原「あっ、たかみなさんからだ・・・何だろ・・・はい、指原です。はい、はい。はい!? 何ですって」

北原「・・・? どうしたの?」

指原「はい。はい。分かりました、A会議室ですね、すぐに向かいます!」

 そう言って携帯をきる指原。

北原「どうしたの? 指原、何か慌ててるみたいだけど」

指原「大変、横山が! 横山が!」

 涙声になりながら、何とか声を絞り出す指原。

指原「横山が何者かに誘拐されたって・・・!」


79: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:50:15.97 hBDa7I2m0
 ■誘拐犯を追え!■

指原「すいません・・・」

戸賀崎「ホントに・・・いらぬ混乱を避けたかったから、一部のメンバーにだけ知らせようとしたのに・・・近くにいた北原だけでなくて、色々な人に電話かけて教えるなんて・・・」

高橋「すいません。私の責任です。私が口止めをしなかったのが悪いんです」

秋元「まあまあ、別にいいじゃない。裏返せば、こうして知らせることによって何か知っている情報が集まるかもしれないしさ・・・」

戸賀崎「でも・・・!」

秋元「それに、どうせ隠そうとしてもマスコミは嗅ぎ付けてくるから、無駄、無駄。過ぎたことは諦めよう」


80: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:51:04.14 hBDa7I2m0
 納得のいかない表情を浮かべて席に座る戸賀崎。

秋元「さて、今日集まってくれたのは他でもない。横山誘拐の件だ・・・」

指原「横山は・・・横山は大丈夫なんですか!?」

 ―とある都心の会議室にはAKSや各事務所のお偉いさんに加え、前田敦子、篠田麻里子、小嶋陽菜、峯岸みなみ、高橋みなみ、板野友美、そして指原がいる―。
 初期メン(篠田は1期生でないが)プラス、横山と仲が良い指原、というメンバーである。
 最初の考えではこの7人だけに知らせるつもりだったらしいが―残念なことに、指原が言いふらしてしまったため、今では正規メンバーの殆どがこのことを知っているだろう。

秋元「とりあえず大丈夫だ。横山を傷つけてしまったら、後々大変だからな。丁重に扱うはずだ」

指原「でも・・・」

高橋「警察には言ってるんですか?」


81: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:51:43.48 hBDa7I2m0
秋元「結論から言わせてもらう。言ってない」

高橋「何で・・・」

秋元「大人の事情だ・・・察しろ。警察に知らせればマスコミに気付かれる。といっても指原が言いふらしてしまったことによって、あんまり意味がないかもしれないが・・・」

指原「すいません・・・」

秋元「まあ、どちらにせよ「警察に知らせれば殺す」と言われているから、慎重に動かざるを得ない。出来るだけ内部で処理したいと思っている。犯人は身代金として1億円を要求している」

高橋「そんなに・・・」

秋元「いや、1億円くらい端金だ。すぐに払うことが出来る。しかし、問題はこれを見て「AKBなんて誘拐すればちょろい」と思われ、模倣犯が増えることが怖いんだ」


82: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:52:13.10 hBDa7I2m0
指原「・・・」

秋元「となっても、やはり横山の身の安全が第一だ。とにかく、ここはお金を払って横山を取り戻してから、警察に知らせて捕まえてもらう、というのが最善の策としてあげられると思うんだが・・・」

 ―秋元の意見に賛同する者が多数現れる。

秋元「決まりだな。それじゃあ、早速1億円を用意して―」

指原「さ、私は反対です!」


83:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/29 18:52:20.16 TAdlZarZI
>>4
あー光宗ヲタってやっぱり現実見えてないのな

今までのメンバーの絡みを見る限り、そんな謙虚な態度とは正反対だけどな

84: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 18:53:51.36 hBDa7I2m0
 机を叩いて立ち上がる指原。
 
秋元「!?」

指原「確かに、それが横山の安全を確保して、なおかつ模倣犯や再犯の可能性を狭める最善の策だと思います! でも、最高の策ではありません!」

指原「横山の安全は確保できます。でも、横山の「未来」はどうなるんですか! 誘拐されたアイドルなんて・・・横山のキャリアに傷がつきます!」

戸賀崎「といっても、指原。別にこれはスキャンダルでも何でもない。横山には否が全くないんだ。そこはファンも分かってくれるはず・・・」

指原「いえ! アイドルというものは処女性が一貫して大事なんです! 誘拐されたなんて、ファンが聞いたら、きっとファンはあらぬことないことを考えます」

指原「それが横山のキャリアに傷が付く、ということです!」

戸賀崎「といっても、指原・・・」


85: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 19:06:19.43 hBDa7I2m0
指原「横山は、横山は・・・長い下積み経験から、何とかして、ここまで来れた頑張り屋さんなんです! こんな、横山が全く悪くないことで、私は横山のキャリアに傷を付けたくありません!」

指原「お金を払うことは賛成です。しかし、その後に警察に知らせるのは反対です。警察に知らせる、ということは即ちマスコミに知られる、ということだから・・・」

戸賀崎「それなら、どうすればいいんだ? お金を払ってさようなら、か。それじゃあ、そいつが「AKBなんてちょろい」と言いふらすかもしれない。再犯や模倣犯が生まれるかもしれない」

指原「それは・・・」

戸賀崎「そうなったら、次に危ないのは指原も含めメンバーだ。私は犯人が許せない。自分よりも年下であろう、少女を攫って、お金を取ろうなんて考えている奴は、人間のクズだと思う」

戸賀崎「だから、私はしっかり犯人を捕まえるべきだと思う。横山の「未来」も重要だが、メンバーの「未来」も重要なんだ」

戸賀崎「安心しろ、指原。横山については、しっかりと対応させてもらう。出来るだけマスコミには情報をシャットアウトしてもらうようにして・・・」

板野「それじゃあ、とも達が犯人捕まえればいいんじゃない?」

86: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 19:07:06.80 hBDa7I2m0
 今まで一度も口を開いていなかった板野が口を開く。

戸賀崎「は、はあ?」

板野「それが一番じゃん。警察に知らせず、横山を取り戻して犯人も捕まえる。これだったら別に誰も困らないでしょ」

指原「そ、そうですよ! 指原達で捕まえれば、万事解決ですよ!」

戸賀崎「お前等、そんなに上手くいくはずが・・・」

板野「何とかなるでしょ。何か素人っぽいじゃん、相手。しかも一人みたいだし、AKB全員の力を合わせれば犯人一人くらい、何とかなるって」


87: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 19:07:36.80 hBDa7I2m0
高橋「そ、そうだそうだ! 私達で犯人を捕まえよう」

戸賀崎「お前等、一体何をとち狂ったことを」

秋元「くくく・・・まあ良いじゃないか、戸賀崎」

戸賀崎「でも・・・」

秋元「ヒソ・・・いざとなったら、ちょっとアメリカの特殊部隊とコネがあるから、秘密裏に動いてもらうからさ」

戸賀崎「(一体、この人は何者なんだ)・・・私は知りませんよ、どうなっても・・・」

 こうして、板野の一言によってAKB48VS誘拐犯が幕を開けた。
 もうお偉いさんも、パニックになって「どうでもいいや」という感じになって、祭りのように盛りあがっている。
 有り得ない話だろうが、そりゃそうである。これはあくまで「物語」なのだから。


88: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 19:08:10.08 hBDa7I2m0
 ■AKB VS  誘拐犯■

 ~48劇場~

高橋「よし、みんな・・・聞いてると思うが、みんなの仲間、横山由依が誘拐された」

メンバー「・・・」

高橋「横山はもちろん、大事な仲間の一人だ。こんな横山を、か弱い少女を誘拐する奴を、私は許せない」

高橋「みんな私に力を貸してくれるか? みんな、一丸となって横山を取り戻したいかー!」

 おーっ! ―48劇場に怒号にも似た声が響き渡る。

高橋「よっしゃー! それじゃあ、円陣やるぞ! せーの」

 冷静、丁寧、正確に―AKB48。


89: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 19:08:57.61 hBDa7I2m0
戸賀崎「正気なんですか、秋元さん」

秋元「いや、正気じゃないよ。正気じゃないに決まってるじゃん。こんな無茶なこと」

戸賀崎「・・・本当にどうなっても知らないですよ」

戸賀崎(つくづく見てて思う。この人は病気だ。多分、少女の一人や二人死んでもどうでもいいと思っている)

戸賀崎(彼は恐ろしい人だ・・・メンバーの意志を汲み取っているように思えるが、一番最悪の手を打ってきた。この人は、この人は世界がどうなろうと関係ないんだ)

秋元「それにしても、研究生は流石に除いているが、正規メンバー全員の円陣は壮快だな」

戸賀崎「・・・? あれ、そういえば菊地あやかがいませんね。彼女はどうしたんだ」

秋元「彼女は残念だけど、このことを知らせていない。これはメンバー全員の総意だ」

戸賀崎「・・・お察しします」


 ~菊地の自室にて~

菊地「みんな、つれないなー・・・予定ないからご飯食べに行こうと思っていたのに、まゆゆにもゆきりんにも断られちゃった。仕方ない、暇だから一人でゲームでもしとこ・・・」


90: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 19:09:36.00 hBDa7I2m0
 ■同じ人間とは思えないですね■

 ―誘拐犯との戦いが始まる前に、横山由依の物語を語ろう。
 押しも押されぬ、一番若いメンバーとして(歳ではなく、入った時期のことだ)、唯一去年の選挙の選抜メンバーに入り込んだ少女。
 秋元康にも気に入られテレビにも出させてもらっているし、順風満帆の日々に見えるが、以外にも熾烈な過去を持っている。
将来は素敵な歌手になるため―SKE第二期、AKB第八期のオーディションを受けるが、残念ながら落選。
 しかし諦めずにAKB第九期のオーディションに参加したところ見事合格。夢への一歩を歩き出す。
 だが―夢への道程は険しい道であった。京都府出身である彼女は夜行バスでレッスン場まで通うことになる。
 もちろん、バス代だけでなく宿泊料も必要になってくるので、お金がなくレッスンがある週末以外は学校が終わった後にバイトをしていた、と聞く。
 クリスマスにもせっせと工場でアルバイトをして―夜行バスの中でダンスを覚え―見事、セレクション審査合格後、上京。
 ここで指原、北原等の地方組と邂逅する。


91: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 19:09:57.91 hBDa7I2m0
 高橋みなみをして「超努力家」、いつ寝てるのか分からない篠田麻里子をして「たかみなの次に尊敬している」と言わしめた少女。そんな少女も9期生として最速で正規メンバーに昇格する。
 横山の特異性として、お金持ちや(山内や永尾)、コネがあったり(竹内)、頭が良かったり(仲俣)、アイドルの神様に愛されていたり(島崎)する中で 才能もなくて、コネもお金もない横山が9期生の中で一番の出世頭というところもポイントだ。
 そんな彼女が第三回総選挙にて19位となり、腰が抜けて喋れなくなったことも、そのような背景があるから納得であろう。
 推されには推されの理由あり、干されには干されの理由。推され、推されと言われているメンバー、前田や指原、横山にしてもしっかりとした下積み経験があるのだ。
 しかし光宗はどうだろう?
 と問題提起をしたところで、物語は続く。


92: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 19:10:33.61 hBDa7I2m0
 ■AKB VS 誘拐犯2■

高橋「どうやら、犯人はこの空きビルの中に閉じこもっているらしい」

 光宗を含めた、AKB48のメンバー達は少し離れたところで、横山嬢が捕らえられている空きビルを見る。

光宗「そうですか・・・どうして分かったんですか? 身代金の受け渡し場所とかだったんですか?」

高橋「いや、峯岸が謎の情報網を使って突き止めてくれた。峯岸ありがとぉぉぉおおおう!」

峯岸「たかみな、声がでかい」


93: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 19:11:15.75 hBDa7I2m0
光宗(うわぁ、色々突っ込みどころ満載だけど、あんまり突っ込まないようにしよう。突っ込むだけで無駄だ)

 ご都合主義で物語は続く。

高橋「それじゃあ、まずチーム分けをしようと思う。まずは先発メンバーだが・・・これは才加と、優子と市川で行ってもらっている。そろそろ連絡が入るはずだが・・・」

秋元才『あー、あー、こちら先発隊』

 皆、一人一台持たされている無線機から秋元才加の声が聞こえてくる。

高橋「おお、才加か。どうだ、そっちの様子は」

秋元才『なかなか危険みたいだ・・・侮っていたみたい』

大島『やっぱりぜー。罠とかかなり仕掛けられているぜー』


94: ◆Q5rNtE.wug
12/04/29 19:12:02.30 hBDa7I2m0
 罠―という言葉で緊張感が増すAKBメンバー。

高橋「罠・・・?」

秋元才『ああ、落とし穴とか落ちる天井とか毒の沼とかだ』

大島『既に市川は落とし穴に引っかかって離脱している』

高橋「大丈夫なのか・・・?」

秋元才『カシューナッツを渡しておいたから、多分大丈夫なはずだ。落ちる時もリアクションを忘れていなかったから、冷静な判断も出来ている』

 それは良かった―高橋は呟く。
 一方、いや大丈夫じゃないでしょ、と突っ込みたくなる衝動を抑える光宗。


95:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/29 19:16:44.89 DGQ0ieVCi
やっぱ
増田「ふーん、みるきーの道頓堀はキレイやな」
インパクトはデカかったな

96:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/29 19:32:10.18 jkY1t+sE0
マダー

97:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/29 19:53:50.82 7pyWSSSpi
こういう小説スレってマジ気持ち悪い

98:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/29 20:30:10.47 hsj7vMu+0
あれ?最初面白かったのに…どうしてこうなった?

99:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/29 20:52:40.53 jkY1t+sE0
マダーマダー

100:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/29 21:01:25.56 IUI73fyP0
よく分からん。

101:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/29 21:03:41.28 2nKU1Crs0
>>98
最初の鬼畜亜美菜のくだりは面白かったなw

102:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/29 21:33:31.51 e79w0jeV0
唐突な
やっぱりぜー。おもろい

103:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/29 22:38:46.33 Kv+hjsjz0
普通の小説にも脚本系にもなりきれない糞小説

104:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 03:31:27.51 OwuWkmjw0
外野がうるさすぎて書き手の心に寄り添えないだろ死ね糞外野

105:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 09:29:55.05 s7/eJPm30
要するにこのスレも
なっちゃんスレということでOK?

106:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 11:31:07.11 JOmiJAX0i
優子が男子高校生スレの優人になってるwww

107:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 11:35:54.77 Q7HIGEJs0
>>104
書き手の心((ドヤッwwww

108:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 17:41:42.34 6NrTOHPQ0
>>1です。

何故か書き込めないので、レス代行さんにお願いしてもらっています。
もう全て書き終えているので、何とかして投稿したいのですが・・・書き込めません。
原因究明までしばしの時間をm(_ _)m

109:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 19:16:38.12 9iV7YfgDi


110: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 19:18:32.70 XVsHCrsZ0
秋元才『とにかく、気を付けてもらいたい。あまり多くなるのも、あれだから運動神経の多いメンバーだけを後続として連れてきて欲しい』

高橋「そうだな、分かった。5、6人程選んで今から行く」

大島『頼むぜー。私達はもっと奥に進んでみるぜー』

 そこで通信は途絶えた。

高橋「・・・ということだ。ということでメンバーを選びたい、と思うんだが」

指原「・・・はい!」

 真っ先に手を挙げる指原。

高橋「どうした、指原、珍しいな。絶対、嫌がると思ってた」

指原「横山は・・・横山は大事な友達なんです!」

大家「指原が行くなら、しーちゃんも行かんといけんな。たかみなさん、私も行きます」

北原「き、北原も!」

 指原の後に続く大家と北原。
 地方組の絆。


111:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 19:19:57.17 PxKMp/pg0
なぁな「光宗がチームBに昇格ですか・・・」


112: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 19:20:04.04 XVsHCrsZ0
>>1です。
やっと書き込めるようになりましたが、またいつ書き込めなくなるのかは不明です。
なので不定期に止まると思いますが・・・ご了承ください。


小森「たかみなさん、私も!」

高橋「小森は駄目だ! 絶対、何かする!」

大家「小森は後方支援として私達を支えて欲しい」

小森「くぅーん。分かりました・・・」

大家「心配するな。しーちゃんがやったるけん」

高橋「そうだな・・・後のメンバーは・・・よし、はるごんとあきちゃ、そして、ミッツ。この6人で行ってくれ」

光宗「わ、私ですか?」
 
 驚きを隠せない光宗。
 当然である。明かにこのメンバーの中で一人だけ浮いているからである。

高橋「ああ・・・ミッツには、色々と経験しないといけないこともあるしな」

光宗「でも・・・」

高橋「それにスタイル良いから、運動神経も良いだろう。最近、少し太ってきたのが悩みらしいし、良い運動にもなる。これは先輩命令だ」

 ―先輩命令―そう言われたら弱いのが、この光宗である。

大家「よし。じゃあ、私が先頭を切るから付いてきて。慎重に行くよ」

光宗・その他4人「おーっ!」

 こうして大家率いる、愉快な6人組の横山嬢を救う冒険が始まった。


113:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 19:20:32.21 l+lxogAu0
なんやこのスレ(驚愕)

114: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 19:21:10.22 XVsHCrsZ0
 ■指原クオリティー覚醒・・・?■

大家「よし、いよいよビルの中だ。仲川さん、走らないでください」

仲川「はるかに任せてー。まるでアスレチックジムみた、キャア!」

 何かを踏んで罠が始動したのか―反対を向いて、天井に宙ぶらりんの状態になる仲川。

仲川「助けてー! さっしー!」

指原「尊い犠牲です。安易に走り回らないようにしましょう」

大家「そうだな」


115: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 19:22:16.77 XVsHCrsZ0
 仲川遥香―浸入、5秒で脱落。
 仲川を見てか―慎重に進んでいく残りのメンバー達。
 途中、色々な罠が待ち受けていたが、大体は北原の機転か高城の馬鹿力か大家の身体能力でどうにかなった。

指原(よし、この調子だ―何処から手に入れたか分からないけど、みぃちゃんの情報ではこのビルの天辺に横山が捕らえられているはず)

 そんなことを考えていたのは、この馬鹿げた作戦を思い付いた指原である。
 指原莉乃―彼女も、前田、光宗、そして横山と同じくゴリ推しメンバーと言われる一人である。
 特段、特技や優れているところもないのに優先的にテレビの仕事を回してもらい、挙げ句の果てにはCDデビューを成し遂げた。
 AKB48とは指原莉乃の奇跡のことである―研究生から成り上がってきた指原は、他の研究生達から見て『奇跡』にしか思えなかっただろう。
 ただ一人を除いて。

大家「はあはあ、やっと頂上だ・・・ここに横山がいるはず、って優子さんと才加さん!」


116: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 19:23:33.83 XVsHCrsZ0
秋元「おっ、やっと来たか!」

大島「やばいぜやばいぜー」

 才加と大島の前には、何というか、一言でいうとドラゴンクエ○トの中ボスのようなモンスターがいた。
 そいつはワニのような外観で、斧を振り回している。

光宗「えー、死にますって!」

秋元才「どうやら横山はこの先の扉の奥にいるらしいんだが・・・こいつを倒すには手間取ってしまって・・・」

大島「糞っ! 横山は目の前なのに!」

高城「大家さん! ここは高城が秋元さん達と一緒に戦います。なので、大家さん達は由依ちゃんを救い出しに行ってください!」

大家「・・・くっ、悔しいが、頼んだあきちゃ!」

高城「ライダーキック!」

 高城はテニスで鍛えた下半身の筋肉で化け物に果敢に立ち向かう。

大家「よし、行こう! あきちゃが戦っている間に、横山を救い出すんだ!」



117: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 19:24:48.80 XVsHCrsZ0
 ■チャンスには迷わない、例え失敗したとしても■

大家「横山!」

横山「大家さん!」

 まるで冗談みたいだが―横山は後ろで両手を括られていて、ビルの床に座っていた。

大家「待っとき。すぐにしーちゃんが助け出したるけん」

???「おっと、そこまでだ」

 何処からともなく―横山を誘拐した犯人が近付いてくる。
 犯人はマスクとサングラスとニット帽という―明かに、犯人ですね。という格好をしていた。

犯人「近付くな・・・これ以上、動いたら横山を殺す」


118: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 19:25:59.96 XVsHCrsZ0
指原「くっ、お前! そんなことして卑怯だと思わないの!? か弱い少女を人質に取ったりして、男として恥ずかしいと思わないの?」

光宗(いや、この声は・・・)

犯人「―そうだ、俺は卑怯な男さ。だから、何だって出来る」

大家「一体、何が狙いなんだ! お金か!? お金ならくれてやる。だから一発殴らせろ!」

犯人「お金? お金なんてどうでもいい」

 犯人は言う。

大家「それなら、何で・・・」

犯人「「努力は必ず報われる」―お前等のキャプテン、高橋みなみが言った言葉だ」


119: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 19:27:02.71 XVsHCrsZ0
 続ける。

犯人「俺は、努力は必ず報われるとは思わない。報われたとしても、それは只単に運が良かったから。俺はそう思う」

犯人「横山由依―彼女のゴリ推し戦略は目に余る。この彼女が輝くために、果たしていくつの星の輝きが盗まれていっているのだろうか」

犯人「俺はそんな現状に意義を唱えたくて横山を誘拐した。お金なんて、只の方便だ。俺は只一言言いたかった、秋元に「ゴリ推しを止めろ」、横山に「調子に乗るな」と一言、な」

大家「な・・・」

犯人「子どもみたいな理由、と思っているだろう。しかし、もう鬱陶しいんだ。横山とか前田とか指原とかがテレビに出るたんびに、チャンネルを変えている。しかしそれももう限界だ!」

犯人「こいつ等はテレビを消したとしても、街のいたるところにいやがる。ポスター、雑誌、食べ物の包装、目をふさいでもラジオでいくらでも声が流れやがる」

犯人「俺はこのままでは、どうにかなってしまいそうだ。指原、お前もいることだし、一言言いたい。「調子に乗るな」と」

北原「い、言っていいこととわりじおじおS★@*」


120: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 19:28:14.75 XVsHCrsZ0
 北原は怒り心頭で言葉になっていない。
 ―そして犯人の言う言葉は光宗にも突き刺さった。
 誰かが言った―ゴリ推しは誰も得しない―と。
 光宗はそれが本当なのか、嘘なのか分からない。しかしこのゴリ推しによって他の人達が踏みにじられているのは真実だ。

光宗(私だって・・・私だって、悩まなかったことはないわけじゃない・・・!)

 AKBではないが、松井珠理菜に次ぐ最高のゴリ推しと言われ、公演を殆ど経験していないのにテレビに出演しまくる。
 しかも他の10期生や11期生、12期生の先輩を差し置いてチームBに昇格。彼女が昇格した裏で、昇格出来なかったメンバーがいる。
 そう―勝利する、ということは、誰かを「敗北させる」ということ。勝利とは決して綺麗なものではなく、本来汚いもの。
 たくさんの「汚いもの」を重ね続けて―例えば前田敦子や松井珠理奈は各グループのセンターにいる。
 光宗はそう思う。

光宗(ただ、私は立ち止まれない・・・勝利とは汚いものだと分かっても、ここで歩みを止めていては芸能界では生き残ってこれない。芸能界では他人を蹴落としでも上がっていく奴が真の勝者。これは現実、だから―)

指原「調子に乗ってるのはお前の方だ」


121: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 19:29:37.80 XVsHCrsZ0
犯人「はっ?」

 今まで一貫して黙っていた指原が口を開く。
 まるで怒りを噛み殺しているかのように。

指原「私は確かに何の取り柄もなくて、ただ秋元さんに気に入られているだけかもしれない。そこは否定しない。だけど、横山を―前田さんを否定するのは止めろ!」

犯人「一体、何を言い出すかと思えば」

指原「お前は一体何をしてきた! ただ「努力は報われない」と愚痴を言うばかりで、何もしてこなかっただけじゃないのか!? 才能という言い訳を盾にして、何もしこなかったんじゃないのか!?」

犯人「貴様に何が分かる!」


122:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 19:33:09.39 Q7HIGEJs0
>>1
書き込めないなら無理して書きこまなくていいよ
面白くないからさ

123:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 19:34:17.45 HETri3Rz0
原みずきが犯人ですか

124:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 19:35:36.39 Q7HIGEJs0
犯人「貴様に何が分かる!」

脚本系だから仕方ないがこれは寒いwww

125: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 20:00:14.81 XVsHCrsZ0
 声を荒げる犯人。

犯人「お前に何が分かる・・・わ、俺だって、実は芸能界に憧れを持っていた。でも駄目だった、ボイストレーニングや歌のレッスン、ダンスのレッスンも毎日死ぬ程やった」

犯人「しかし報われない。いくら頑張っても、そもそも見てもらえない。この世界は実力や努力よりも、どれだけ愛想振りまいていたか、という才能と運だけが支配しているんだ」

犯人「そんなたくさんの努力を踏みにじって、ただちょっとの才能と運があっただけで、でかい顔をしているお前等に、お前等に何が分かる!」

指原「努力、努力、努力、まるで宗教みたい! 馬鹿みたい! そんなこと言っている奴は一生、努力の正体なんて分からない」

犯人「なっ」


126:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 20:01:59.25 Q7HIGEJs0
指原「お前は一体何をしてきた! ただ「努力は報われない」と愚痴を言うばかりで、何もしてこなかっただけじゃないのか!? 才能という言い訳を盾にして、何もしこなかったんじゃないのか!?」

指原「努力、努力、努力、まるで宗教みたい! 馬鹿みたい! そんなこと言っている奴は一生、努力の正体なんて分からない」


一貫性もないのかよ
しこなかったって何だよ

127: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 20:04:35.58 XVsHCrsZ0
指原「昔、秋元先生は言ってた。「努力は最低条件である」―努力したから報われる、じゃなくて、努力は最低条件で絶対必要なもの。ただ、努力しただけで満足していたら本末転倒だ。目的が努力になっている」

犯人「しかしこの世界には、明かに全く努力していなくても、勝利を得る人間が少なからずいる。そういう奴はどう説明つける」

指原「その人は「才能」か「運」、どっちかあったんじゃないの?」

犯人「じゃあ!」

指原「だからって、だからって、お前はそれを言い訳にして、もう努力しないつもりなのか! 私には才能も運もないから、努力したって無駄だ、なんて言って一生努力しないつもりなのか!」

指原「努力は最低条件―努力しなければ可能性はゼロだ。別に才能と運を言い訳にして、努力したくなければ努力しなくていい。ただ、それを言い訳にせず努力し続けている人がいる」


128: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 20:06:07.28 XVsHCrsZ0
指原「その一人が横山だ! お前に学校終わりにバイトして、夜行バスで東京まで通う辛さが分かるのか! 夜行バスで、腰も痛いだろうし、ダンスの振り付け覚えないと駄目だから寝れない」

指原「お前に前田さんの生活ができるのか! 睡眠時間は下手すりゃ、1日1時間、2時間くらいで精力的に動き回る。そして本人は何も悪いことしていないのに、ただ与えられた仕事をこなしていたら叩かれる」

指原「これだけ努力したっていうのか! お前が言っていたのは、歌のレッスン、ダンスのレッスン、ボイストレーニング(笑)。そんなもん、みんなしてる!」

犯人「お、俺だって、学校終わりにバイトして、お金貯めてバイトない日はレッスン場に行って、帰ってからも復習して」

指原「どうせ、0時、1時くらいに寝てるんだろ! 復習っていうても、どうせ風呂ん中でちょっと振り返ってみるだけだろ」

犯人「・・・」

指原「夜行バスで東京通い続けてから言え。いくら努力しても、努力すればするほど叩かれるようになってから言え!」

 ―私の考え方は間違っていたのかもしれない。光宗は思う。


129: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 20:08:42.91 XVsHCrsZ0
 今まで「勝利」とは「汚いもの」と割り切っていた。しかし、もしかしたら、もしかしたら「勝利」とは本当の「努力」の向こう側の「キレイなもの」かもしれない。
 踏みつけている花を振り返る余裕―多分、「汚いもの」と考えるにはそういう心理状況がある。
 これはあくまで予想なのだが―本当に「努力」すれば、そんなくだらないことは考えないんじゃないか? 努力している間は、もしかしたら花を踏みつけていることなんて意識しないんじゃないのか?
 そんな振り返る余裕もなく、走り続けた人の道は、きっと黄金色に輝いているだろう。
 もしかしたら、踏みつけた分以上に種を植えてたくさんの花を咲かせているのかもしれない。

光宗(今まで勝利する、というのは、誰かを敗北させる、と思っていた。でも世の中そんな簡単な二元論じゃない)

光宗(もしかしたら、私が勝利することによって救われている人もいるかもしれない。私が勝利することによって元気づけられている人がいるかもしれない)

光宗(人に勇気を与える存在―それがアイドル)

犯人「あーあー、もういい」


130:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 20:09:06.23 Pra/4BofO
ふむふむ

131:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 20:12:05.15 qexi6AzRi
ほうほう
がんばれ~

132: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 20:14:00.38 XVsHCrsZ0
 呆れ返ったのか、もう指原の話を聞く素振り見せず、片手に持っているナイフのようなものを見る犯人。

犯人「くだらない話だった。まあ良い、努力だとか、もうどうでもいい。俺は横山の顔に傷をつけて、どっかに逃げることにする。顔に傷がついたアイドル―もう這い上がってはこれないは」

 その時、光宗は見た。
 まるでウサイン・ボルトのような俊足を。
 光速を越える、神の領域に至る神速を。
 神を見た。

犯人「ぶへぇ!」

 何者かの体当たりに、吹っ飛ばされる犯人。

指原「ってぇ、はるごん?」

仲川「主役は遅れて登場。みたいな!」

指原「一体、どうやってここまで・・・死んだんじゃなかったの?」

仲川「暴れ回っていたら、何か勝手に縄が切れて。そこから急いでここまで走ってきたら止まらなくなって・・・って、今誰かにぶつかったよね?」

光宗(この人が一番最強なのかもしれない・・・)


133:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 20:16:37.57 cFYFLWrnO
え、これ小説系だったの?

134:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 20:18:20.18 Q7HIGEJs0
>>133
小説にも脚本にもなりきれない哀れな作品

作品っていうのもおこがましいな

135:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 20:18:28.10 EGZ8ydZS0
運営のステマですかww

136:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 20:21:58.31 HETri3Rz0
最初のほうがおもろかったのに

137:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 20:25:04.15 I8LVEboV0
最初の頃は光宗薫と共に苦難を乗り越えるスレっぽかったのに・・・

138: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 20:28:07.04 XVsHCrsZ0
 仲川の神速タックルによって気絶して倒れている犯人。
 マスクとサングラスが外れている。

指原「えっ・・・? この顔、もしかして女?」

光宗「やっぱりそうですか・・・何か、声が似てたんですよね」

大家「どういうこと?」

光宗「いや、この子はメイドカフェ時代のバイト仲間です。NMBのオーディションに受けて落ちた、みたいなこと言って自暴自棄になっていましたが・・・まさかこんなことをするなんて」

指原「凄い、男っぽい声だったけど・・・」

光宗「ああ、昔から凄い男っぽい声だったんです。何でもNMBのオーディション落ちた際にお酒を呑みすぎて喉を潰したらしくて」

大家「ああ・・・そういうオチ・・・」

指原「横山!」

 横山の縄を解き、抱きつこうとする指原だったが。

北原「横山!」

横山「北原さん!」

 そんな指原を軽くスルーして、北原と抱きつく横山。
 その表情は天に昇る良い笑顔であった。


139: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 20:31:36.68 XVsHCrsZ0
指原「ちょっと、待ってくださいよー! 私の説得、という時間稼ぎによって、はるごん召喚に成功して何とかなったんだから! たまには主役やっても良いじゃないですかー!?」

横山「ああ、指原さんもありがとうございます」

指原「ええー! それだけー!」

大島「何か、ボルト選手みたいな人が横切ったような気がするけど、何だったんだ?」

 そうこうしている内に、大島、秋元、高城のドラクエメンバーが合流する。

光宗「あっ、大島さん・・・無事でしたか?」

大島「簡単ぜー、あれくらいどうってことなかったぜー」

秋元才「ああ。最後はあきちゃの延髄ドロップキックでトドメをさした」

高城「あきちゃ、頑張っちゃった。ちゃらちゃらちゃちゃっちゃー」

光宗「れ、レベルアップしてる!」

 この人達も最終的にはどうにかなったみたいだ。
 心配していなかったけど。


140: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 20:35:50.01 XVsHCrsZ0
秋元才「お、たかみなか? 今、犯人は捕らえた。横山も無事みたいだ。犯人はどうやら女みたいだったから、まあそっちの方も大丈夫だろ」

横山「あっ///」

指原「えーっ! 何で横山、照れてるのー!」

横山「冗談ですよ。指原さん」

秋元才「というわけで、とにかく犯人と一緒にこれから戻ろうと思う。作戦成功だ」

 無線機から歓声が聞こえてくる。
 さて―ここで誰かさんの物語は、努力家達の物語は終幕、といきたいところなんだが、光宗は横山に一言だけ聞いておきたかった。

光宗「横山さん・・・」

横山「? どうしたん、薫ちゃん」

光宗「もし、もし、仲川さんが間に合わなくて、顔に傷をつけられてしまったらアイドル止めていましたか? それとも・・・」



141: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 20:37:11.45 XVsHCrsZ0
横山「変なこと聞くなー・・・うーん、どうやろ。分からへん。やってみてから決めるわ」

光宗「・・・ありがとうございます!」

 こうして光宗はまた一歩前進した。
 勝利とは花を踏みにじることであっても、せめて歩いている内はそんなこと考えないでおこう。
 そんな人の道は黄金色に輝いて、花を咲かせているはずだから。


142:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 20:37:38.42 sZY/RN8s0
>>1
こういう楽しい小説スレを待っていたよ
頑張れ!
できれば話の中心人物は光宗以外の方が良かったかな
全然知らない人を出されても…

143: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 20:43:45.65 XVsHCrsZ0
 ―本来ならば、これで横山由依、努力と才能の物語は終幕したかったが、この話にはまだ続きがある。

市川「あのー、みなさーん。何か、私のこと忘れてませんかー。フレッシュレモンジャンプ!」

 もちろんジャンプするが、届かない。
 ―あまりにもくだらない終幕であった。



 嫌だったんです。
 地方から来てるからできないとか、できなくてもしょうがないと思われたくなかった。
 大変なのはみんな同じやし、誰かに頼まれて来てるわけじゃなくて、勝手に来てるわけですから。
 自分に負けるもんか、そういう気持ちもあって、頑張れた気がします。

   ―『FLASH増刊 まるっとAKBスペシャル 横山由依の記述より』


144:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 21:00:13.83 fzFkjjMp0
運営の犬が書きました

145: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 21:00:24.69 XVsHCrsZ0
 ■ずっと、 このまま、片思いでいい■

 ―誰だろう。とある少女はこう言った。

???「私は歌手や女優さんになりたくてAKBをステップとして入ったんではなくて、AKBが本当に好きでAKBになりたくてAKBに入って―」

 涙ながらに、そのとある少女は言った。
 元来、AKBとはあくまで「女優」や「歌手」という将来に向けてのステップとして入る団体である。
 そう、まるで専門学校のようだ。少ない給料は、交通費で簡単に飛んでいく。仕事としてAKBに入るのは間違っている。
 しかしその少女は言った。いや、AKBに喧嘩を売るような形で、AKBのコンセプトに喧嘩を売っているのか、少女は言ってのけた。
 ―そう、これは干されと推されの話をするにあたって、避けては通れない道。
 光宗が成長して、選抜メンバーとなっていくためには、避けては通れない、AKBとしての現実の一部分。
 そんな彼女の名前は―。

146: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 21:02:25.94 XVsHCrsZ0
 ■食べさせたい、食べたい、でもやっぱり食べさせたい■

佐藤亜「薫―、今日もファンからの差し入れだよー」

光宗「い、いえ、牛丼は・・・流石にお昼食べたばかりなので」

佐藤亜「えっ、何? 先輩の命令が聞けないっていうの!?」

光宗「・・・いただきます」

 日に日に差し入れの量は増えていった。
 というか本当に牛丼を差し入れで持ってくるファンなんているのだろうか?

佐藤亜(す○家の牛丼・・・! 店員に頼んで、バレない分量で砂糖をふりかけてもらった。これで流石の薫も・・・!)

光宗(うわぁ、何かこの牛丼、甘い・・・何だかよく分からないけど、アメリカンな味がする)


147:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 21:02:58.78 xKHmvr9yO
そういう事ね。これはいい

148:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 21:07:11.83 Ui06B+RRO
かつて兄と呼んだ男
ジャギ

149:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 21:07:59.61 Ui06B+RRO
誤爆しました

150: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 21:12:07.50 XVsHCrsZ0
 最早、亜美菜の方も色々と大前提を忘れているのか―ただ「光宗を太らせる」という目的のための手段をとってくる。
 目に涙を浮かべながら牛丼を完食する光宗。

光宗「・・・ごちそうさまです」

宮崎「薫―、そんな脂っこいもんばっか食べてちゃ体に悪いよ? ほら、野菜も摂取しないと」

光宗「あ、ありがとうございます。ってこれは・・・」

 光宗に差し出されたのは、どう見てもポテトチップスにしか見えなかった。

光宗「これって・・・」

宮崎「大丈夫! ジャガイモだから! 野菜、野菜!」

佐藤亜「そうだよ、薫。AKBに入ったらこれくらいで、へこたれてちゃ駄目。嫌でも口に入れないと、体力持たないよ」

光宗「・・・いただきます」

佐藤亜「宮崎の野郎は、ネタ抜きで本当にポテトチップスを野菜と思ってそうなんだよな・・・」

 実質、新四天王のリーダーは亜美菜であるが、明かに戦力として強大なのは宮崎であった。

光宗(いけない・・・このままじゃ、本当にやばい・・・今日は、ランニング10キロしないと!)


151:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 21:13:53.01 mRg6Ho7Ii
序盤だけ違う人が書いたかの様な失速っぷりだな

152:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 21:17:02.86 I8LVEboV0
        Λ_Λ . . . .: :
       /:彡ミ゛ヽ;)ー、 . .
      / :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::
      / :::/;;:   ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: ::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ
ミッツ・・・・
頑張れ!

153: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 21:22:31.42 XVsHCrsZ0
 ■言い訳させて■

???「はあ、今日も疲れた・・・」

 ―少女は自室に帰ってそう呟いた。

???「げっ、また太ってる・・・もう少し痩せないとな」

 もちろん、少女も女の子である。太って喜ぶわけにはいかない。
 ましてやアイドル。

???「あっ、メールだ。誰からだろう・・・秋元先生」

 その秋元康からメールの内容はニューシングルの選抜メンバーのことだ。
 淡い期待を残しながらも、少女は読み進めていく。

???「糞がっ! 何で! また私選ばれてない!」

 怒りに身を任せて壁に携帯を投げつける少女。

???「はあはあ、まあいつものことか・・・」

 携帯を拾い上げて、もう一度読み進めていく。

???「ふむふむ。あっ、明日香ちゃん、選抜メンバーに久しぶりに返り咲きか。苦楽を共にしてきたわけだから、頑張って欲しいな・・・ふむふむ」

 そして、とあるメンバーの名前を見つける。


154: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 21:27:26.88 XVsHCrsZ0
???「光宗・・・薫?」

 そこには、初選抜メンバーの光宗薫の名前が確かにあった。

???「はっ! はははははははっ!」

 もう、少女は呆れ返って笑いしか出てこない。

???「そりゃあ、秋元先生のお気に入りだしね! そりゃあ、スーパー研究生様というやらは、そりゃあ入るわ!」

 一頻り笑った後、疲れたのか無表情になる少女。

???「・・・もういいや。止めよう」

 呟く。

???「どうせ、これから先頑張ったとしてもどうせ何も報われない。もうこの世界から足を洗って、何か別の道に進むことにしよう」

 ―そこには一人のAKBの「現実」を叩きつけられた少女がいた。
 そんな彼女の名前は―。


155:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 21:30:18.25 1nF7V1zD0
最後まで読ませてもらった。
ストーリーは無茶だけどなかなか面白かった。
あと、ここでけなしてる奴と横山誘拐犯が重なって見えるの俺だけ?

156: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 21:33:31.48 XVsHCrsZ0
 ■「私のことを好きですか?」 浦野「嫌いだね」■

渡辺「カヲルくん、おめでとう!」

光宗「あっ、まゆゆさん・・・ありがとうございます!」

渡辺「いいいいいいい、一緒にがががが頑張ろうね! もし、ななな何か悩み事とかあったら、いつでも相談に乗るから!」

光宗「はい!」

柏木「薫ちゃん!」

 柏木が嬉しそうに光宗に近付く。

柏木「おめでとう、初選抜! きっと薫ちゃんなら選ばれると思ったよ!」

光宗「柏木さん・・・ありがとうございます! これも柏木さんのおかげです」

柏木「いやいや、薫ちゃんが頑張ったからだよ。今まで色々と、レッスンとか食事とかおやつとか焼き肉とかラーメンとか、辛いこともたくさんあったと思うけど、ここまで頑張ってこれたからだよ」

光宗「柏木さん・・・!」

柏木「本当におめでとう、薫ちゃん!」

 初選抜―このニューシングルでどうやら初選抜は自分だけらしい。
 尤も、前列ではなく一番後方列の端っこであったが―10期以降で唯一選抜として選ばれたのだから、自信を持って胸を張るべきである。


157:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 21:34:05.92 Q7HIGEJs0
>>155
お前だけだよ気持ち悪い

158: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 21:36:28.83 XVsHCrsZ0
柏木(少し、早いけど・・・まあ、小森とかあきちゃとか珠理奈の例もあるし、これから叩かれると思うけど)

柏木(まあ、アンチが生まれてスターは育つ―叩かれないメンバーには、決してファンはつかない)

柏木「まあ、これから色々と大変なこともあるけど、一緒に頑張っていこ―」

石田「ゆきりん、大変!」
 
 息を荒げて、楽屋に入ってくる石田晴香。

柏木「どうしたの、はるきゃん。凄い慌てているみたいだけど・・・」

石田「はあはあ、やっぱり知らないの?」

柏木「知らないって、何が?」

石田「知らないも何もないよ!」

 絞り出すように、石田は続ける。

石田「亜美菜が、佐藤亜美菜ちゃんがAKBの活動を辞退するって―!」


159: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 21:44:41.88 XVsHCrsZ0
 ■もっと、確かなもの■

 23フレーム。8秒。
 この二つの数字を聞いてピンときたものは果たして何人いるだろうか。
 前者はとある少女がソロでPVに写っていた時間。後者はとある少女がみんなと一緒ではあるがPVに写っていた時間のことである。
 30フレームで1秒になるので、そのとある少女はソロで写っていたPVの時間は1秒にも満たないことにもなる。
 第一回選抜総選挙にて、ギリギリ選抜メンバーに入った多田愛華でさえ、曲前の演技を与えられて長く映っていた(といっても、宮崎の代わりだったから、という説もあるが)
 23フレーム。
 そのPVとは第一回選抜総選挙において決定した選抜メンバーで歌う「言い訳Maybe」である。


160: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 21:46:49.21 XVsHCrsZ0
 一位に前田敦子がなり、2位の大島優子が発表される時に所謂「前田コール」が心ないファンから巻き起こった選挙。
 中間、速報で3位を守っていた高橋みなみが本番で5位まで落ちてしまったあの総選挙(PVの最後でもゴール直前で転倒している)
 そんな総選挙において、とある少女は8位という素晴らしい順位をもらった。これは柏木さえも抜く好順位である。
 神の一歩手前。
 普通に考えて―いや誰もが8位という順位なんだろうから、PVには長く映れるはずだ、本人もそう思っていただろう。
 しかし現実にはそうはいかなかった。
 23フレーム。
 それが彼女に与えられた時間であった。
 そのとある少女は最初、PVを見た時に「ファンへの申し訳なさ」から落胆して、悔しさを感じている。
 23フレーム。
 それは今回の物語の主役である彼女が「言い訳Maybe」にて与えられた時間。
 そんな彼女の名前は―佐藤亜美菜という。


161: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 21:53:00.28 XVsHCrsZ0
 ■卒業とは出口じゃなく入り口だろ?■

柏木「どういうことですか! 秋元先生!」

 ―ここはとある一室。
 そのとある一室にチームBのメンバーは集合していた。
 ただ一人の少女を除いて。

秋元「もう決まったことなんだ。本人がそう言うなら仕方ない」

河西「嘘だよね? 実はドッキリなんでしょ、これ」

秋元「・・・」

柏木「何か言ってください!」

秋元「・・・私だって不甲斐ない。悔しいんだ。しかし今日明け方、佐藤亜美菜から直接「AKBを辞めたい」という申し出を受けた。もちろん、止めたさ。しかし亜美菜は聞かなかった」

秋元「もちろん、何か問題を起こして辞めるわけでもないので、辞退という形よりかは卒業という形を取りたいと思う。ただ本人の希望で卒業記念公演、みたいな形はやらない」

光宗(あれほど、公演を大事にしてきた亜美菜さんが・・・)

増田「亜美菜は、AKBを辞めてどうするつもりなんですか? 芸能界を続ける意志はあるんですか?」



162: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 22:01:46.63 XVsHCrsZ0
秋元「いや、芸能界ごと辞めたいらしい。といってもこっちの方は何とかなるとはいえ、芸能事務所の方は今やってる仕事が終わり、契約が終了してからなのですぐには辞めたりしないがな」

柏木「そんな・・・亜美菜が、何で・・・」

秋元「・・・」

北原「あれですよね、どう考えても、今回のニューシングルで選抜メンバーに選ばれなかったことですよね。タイミング的に」

秋元「・・・」

北原「そして、13期生の光宗薫ちゃんを選抜メンバーに入れた。これに落胆して、辞める、そういうことですよね?」

秋元「・・・」

 薄々気付いていた。

光宗(私が・・・新人の私なんかが選抜メンバーに入るから・・・)
 
 佐藤亜美菜は4期生、対して光宗は13期生。2007年からAKB48として活動している亜美菜にとって、光宗との差は計り知れないものがあるだろう。

光宗(私なんかが・・・)

秋元「例えそうだとしても、光宗。気にしなくていい。振り返らずに走り続けなさい。君は何も悪いことはしていない」


163: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 22:11:06.01 XVsHCrsZ0
光宗「・・・」

 そうは言っているが、ひしひしとみんなの痛い視線を感じる。
 お前のせいだ―と。
 新四天王として派閥こそ作っているが、佐藤亜美菜はチームBのメンバーとして欠かすことの出来ない存在だったのだろう。
 そんな人に比べて、私は―。

秋元「とにかく―この話はもう終わりだ。今から佐藤亜美菜のAKBの辞退はブログの方で発表させてもらう。君達はいつも通り公演に出て行きなさい」

柏木「そんなこと・・・」

秋元「大丈夫。柏木や渡辺は昔、とあるチームBのエースを失った時も公演に出た。君達は『彼女』を失った時も公演に出た。きっとやり抜けるはずだ」

光宗(私のせいで・・・)

 そう自分を責める光宗。


164: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 22:12:55.43 XVsHCrsZ0
 ■忘れられない公演が出来たら、僕は満足さ■

河西「亜美菜、どうなっちゃうんだろ・・・」

柏木「さあ・・・いくら、携帯に電話しても繋がらないし」

小森「このままお別れっていうのは、寂しいですよね・・・」

柏木「うん・・・」

光宗「・・・」

柏木「薫ちゃん、気にしなくていいよ? 秋元先生も言った通り、別に薫ちゃんは悪いことは何一つしていない。恨むなら、この選抜メンバー決めた人を恨もうよ」

光宗「・・・はい」

 柏木はそう言ってくれるが、気にしないわけにはいられない。
 気にするに決まっている。
 現に、特にリーダーを失った新四天王のメンバーからは「お前のせいだ」という視線を痛いほど感じる。

渡辺「辞めるにしても、最後に少しくらい話したいよね・・・このままお別れなんて、絶対嫌だよ」

柏木「うん・・・何とかしたいんだけど・・・連絡取る手段は何かないのかな」

石田「・・・来るよ」


165: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 22:14:51.25 XVsHCrsZ0
柏木「えっ?」

石田「だって、あれ程公演を大事に、ファンを大事にしていた亜美菜なんだよ! きっとこのままファンに一言も言わずにお別れなんて、絶対に出来ないはず!」

柏木「・・・そうだね・・・! よし分かった! 亜美菜の卒業公演をやろう!」

渡辺「でも、亜美菜ちゃんへの連絡手段がないんじゃ・・・」

柏木「勝手に卒業公演、と題して大々的に宣伝しましょう! 多分、そうすれば亜美菜も公演に来てくれるはずだから!」

渡辺「・・・うん、そうだね! ファンの人達のためにも卒業公演、みんなでやろう!」

柏木「そうと分かったら、私は秋元先生と戸賀崎さんに連絡するね! きっとあの二人なら、私達の考え分かってくれるから」

光宗「・・・」
 
 みんなは盛り上がっているが―何処かで空虚な気分になる光宗。
 ―、一体、亜美菜とどう顔を合わせれば良いのか。
 新四天王として軽い(?)イジメを受けたりもした。正直、あまり良い印象を抱いておらず、そしてこの事態だ。

光宗(ああ、正直―)

 来て欲しくない。
 思ってはいけないことだが、そう思わざるを得ない光宗であった。


166:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 22:17:05.14 jW478dYGO
Bのまとめ役のNさんも登場させてあげて下さい

167: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 22:22:47.01 XVsHCrsZ0
 ■黙ってみててもチケットは売りきれるよ■

小森「亜美菜さん、来ないですね」

柏木「あと5分で公演が始まっちゃうのに・・・」

渡辺「どうするゆきりん? 今日来てくれたお客さんって、殆どが亜美菜を見に来てくれた人達だよ」

柏木「うーん、仕方ない! お客さんを待たせるのも悪いし、公演に行くしかないでしょ!」

渡辺「・・・でも」

柏木「・・・亜美菜は残念だけど、ファンの人達も私達がちゃんと説明すれば分かってくれるはずだよ。私達はいつも通り、胸を張って公演に出ようよ!」

渡辺「うん・・・」

 柏木はそう言うが、明かにみんな志気は下がっていた。
 佐藤亜美菜の卒業公演なのに、肝心の主役は来ていない。もしかしたら「金返せ」と訴えかけてくるファンの方もいるかもしれない。
 そしてその訴えは至極当然のように思えた。

柏木「とにかーく! 来ないものは仕方ない! やるよー!」

 みんなを奮い立たせようとする柏木。
 ―そんな楽屋の片隅で暗い顔、しかり心の奥ではホッとしている少女がいた。
 光宗薫である。


168: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 22:27:36.16 XVsHCrsZ0
光宗(確かに自分のせいではあるんだけど・・・)

 しかし、直接顔を合わせる、という心配はこれでなくなった。
 何処か釈然としない。

光宗(とにかく頑張るしか・・・)

柏木「よーし、みんな円陣やるよー!」

 みんなの声は何処か覇気がない。
 こうして主役がいないまま公演が始まった。


169: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 22:32:05.46 XVsHCrsZ0
 ■今が0でも、そのうち1にはなるだろう■

柏木「はい! というわけで、今回は佐藤亜美菜ちゃんの卒業公演ということなんですけど・・・亜美菜ちゃん体調不良で来れなくて、本当にすみませんでした」

 意外にもそんな大きな混乱も起きずに公演は終了に近付いている。
 ファンの人は分かってくれているのか、柏木に向けて拍手を浴びせる。

光宗(やっぱり・・・ファンの人は温かい)

柏木「そういうわけで、今日も来てくれてありがとうございました。それでは最後の挨拶をしましょう! せーの!」

渡辺「ちょっと待った?」

柏木「えっ?」

渡辺「亜美菜・・・」

 目を疑った。
 そこには舞台袖から下を向いて、自信なさげにこちらに歩いてくる佐藤亜美菜の姿があった。

柏木「亜美菜・・・」

佐藤亜「どうしても・・・最後にファンに一言言っておきたくて」


170: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 22:38:26.53 XVsHCrsZ0
 会場のボルテージがMAXとなる。
 マイクを亜美菜に渡す柏木。

佐藤亜「・・・」

ファン「亜美菜、ガンバレー!」

佐藤亜「・・・うん! この度、私はAKB48としての活動を辞退させていただくことになりました。今までファンの皆様には支えれてばっかりで、十分に恩返しを出来なかったかもしれませんが・・・もう決めたことです」

佐藤亜「今まで本当にありがとうございました。なお、ラジオの仕事は契約が終わるまで続けさせていただきますが・・・」

ファン「何で、辞めたんだよー!」

 ファンから声がかけられる。
 それは心の奥底から出た言葉だろう。

佐藤亜「・・・」

ファンA「辞めた理由くらい言ってくれよー!」

ファンB「そうだそうだー!」

佐藤亜「・・・疲れたからです。AKBにいることが」


171: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 22:39:42.02 XVsHCrsZ0
 そう口を開く佐藤亜美菜。

佐藤亜「今、思えば私のAKBとしての活動は、山あり谷ありの厳しい時期でした。私は、どうしても公演に出て、ファンの前で歌って踊りたくて、全ての楽曲のほとんどのポジションを覚えました」

佐藤亜「それは、もし誰が休んだとしてもアンダーで出演できるようにするためです。時にはどうしても公演に出たくて、骨折をしながら踊っていた時もあります」

佐藤亜「そして、第一回選抜総選挙においては、殆ど無名だった私が8位という素晴らしい順位をもらって選抜メンバーに入り込むことが出来ました。これは頑張っていたら誰かが見てくれている。そう思っていました」

 でも―と亜美菜は続ける。

佐藤亜「でも・・・23フレーム。そう、あの8位という神一歩手前という素晴らしい順位ながら、私は「言い訳Maybe」にて23フレームという、1秒にも満たない時間しか映っていませんでした」

佐藤亜「どうしてだろ、何でだろ・・・私はこれを作ったスタッフへの憤りというよりも、ファンへの申し訳なさの方が大きかったのです」

佐藤亜「握手会の時に言ってくれました。「8位になったんだから、これで一杯PV映れるね」「亜美菜は俺達の誇りだから、PVでも輝いて欲しい」と・・・私は涙しそうになりながらも、それに応えるつもりでした」


172:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 22:45:16.19 8hoo5QO80
光宗はチームA入りがほぼ確定的なのに何故チームB?

173: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 22:52:59.35 XVsHCrsZ0
 しかし現実は厳しく、ソロで映ったのは23フレーム。
 次に映りこんだ19位の人よりも明かに少ないフレーム数。
 それが佐藤亜美菜に与えられた時間であった。

佐藤亜「あの時も辞めようと思っていました。おそらく、たかみなの言葉がなければ辞めていたと思います。こうして続けていたのは、努力はいつか報われると思っていたから」

佐藤亜「いつ報われるか分からないけど、いつか報われるものだ。だってあの時だって、信じて努力し続ければ8位になったじゃないか。今からだって、絶対報われるはずだ、と」

佐藤亜「ファンの人達はもうお知りだと思いますが、私はニューシングルの選抜メンバーから外れました。これはとても残念なことですが、私の力不足です。すみません。しかし―」

 振り返って、亜美菜は続ける。
 その視線の先には光宗の姿があった。

佐藤亜「お前! お前が選抜メンバーに入ることだけは許せない! 何でだよ! お前なんか、ちょっとキレイなだけで何の取り柄もねえじゃないか! 選挙で8位獲ってみたか? 公演に出たか? 骨折してでも公演出れるか?」

佐藤亜「・・・薫を責めるのは可笑しい、そう思うファンの方もいると思います。私も、私でこれが正しいとは思っていません。ただ私は疲れたのです。努力が報われることを待つことに疲れました」

佐藤亜「私のワガママでごめんなさい。でも、ありがとうございました。ここまでやってこれたのはファンの皆様のおかげです。これからも、頑張りますので―」

柏木「名古屋でダイヤモンドの原石を見つけたと大声で叫びたくなった―」


174: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 23:03:44.69 XVsHCrsZ0
佐藤亜「えっ?」

柏木「これは当時、秋元先生が松井珠理奈ちゃんを見て思った一言。このことから「大声ダイヤモンド」という曲が生まれ、珠理奈ちゃんをセンターに起用することによって死に体だったAKBが甦ることになる」

柏木「そしてこの「大声ダイヤモンド」で何かを大声で叫んでいるような珠理奈ちゃんの写真がジャケットに起用されたんだけど、この時に珠理奈ちゃんは何て叫んでていたか知ってる?」

佐藤亜「いや―」

柏木「篠田さまー、―こう叫んでいたらしい。これはSKEから、しかも小学生がAKBのセンターということで孤立しがちだった松井珠理奈ちゃんに麻里子様が優しく接したことに由来する」

柏木「そんな麻里子様も、おそらく1期生と2期生の間として、オーディションを受けずにAKBに入ってきた時期の辛さを分かっているがために、松井珠理奈ちゃんに優しく接していたのだろう―と思う」

佐藤亜「・・・」

柏木「―あの時とよく似ている。多分、珠理奈ちゃんが起用されることによって、蹴落とされたメンバーは一杯いる。多分、亜美菜と同じくAKBを辞めようとしていたメンバーもいるんじゃないかな」

柏木「でも、麻里子様はそんな珠理奈ちゃんに優しく接した。団体で孤立することの辛さが分かっているから―亜美菜は色々と苦労もしている、そして辛いこともたくさん知ってる。だから―」

佐藤亜「だから私に薫の面倒見ろっていうのかよ!」


175: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 23:05:15.96 XVsHCrsZ0
 一変、ドスのきいた声となり会場中が静か渡る。

佐藤亜「色々と辛いこともしっているから、私に薫の面倒みろと? アホか、何で私がそんなことしないといけないんだよ! 私は私が大事で、そんな私を大切にしてくれるファンが大事だ。それなのに―」

柏木「違う! そう言ってるんじゃない。ただ、辛いこともしっている亜美菜だったら、薫ちゃんの気持ちも分かるんじゃないかと・・・」

佐藤亜「分かる訳ないだろ! 何でいきなりテレビ出演とかしまくるスーパー研究生の気持ちなんて分かるんだよ!」

佐藤亜「対して私はなかなか芽も出ず、いくら努力して、選挙という結果も出しているのに露出は増えない。果たして私のことを知っている人が何人いるんだろ―、一体私の何が悪い!」

 ―柏木の言葉をきっかけに、堰を切ったように今までの辛かったことを吐露する亜美菜。
 今まで、柏木の知らないところで、親さえも知らない辛いことを、今までいくつ経験してきただろう。
 光宗に亜美菜の言葉は重い―。
 チームBには昇格したが、テレビや雑誌のお仕事でなかなか公演に出る機会も少ない。
 そんな光宗を亜美菜は、公演を大事にしてきた亜美菜の目にはどう映るのだろうか?
 亜美菜は篠田になれない―いや、篠田とは状況も立ち位置も全く違うが―後輩の面倒を見る余裕なんて何処にもない。
 光宗には、亜美菜の視線が耐えきれなかった。
 耐えるためには、まだまだ経験が浅くて―。


176: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 23:06:47.96 XVsHCrsZ0
佐藤亜「私は、AKBが好きで、AKBに貢献したくて、AKBに入った。それの何処が悪い? AKBを踏み台としてしか考えていなくて、AKBなんて名前を売るための手段」

佐藤亜「そんなふざけたことを考えている奴等より、どう考えても私の方が立派だろ! 別に夢を叶えるためにAKBに入るのは否定しているわけじゃない。否定しているわけじゃないんだけど―」

佐藤亜「せめて、AKBにいる間くらいは、AKBを大切にしろ。AKBの仕事を最優先にしろ。公演に出ろ―それなのに、何で殆ど公演に出てなくて経験が浅い光宗薫が選抜に入る!」

佐藤亜「公演に出ないならAKBに入るな! テレビ出たいならAKB辞めた方が身軽になるだろうし、もう辞めろ!」

 亜美菜の罵声―とも言える感情の声が会場中に響き渡る。
 メンバーは黙る。ファンも黙る。
 亜美菜が頑張っているのは、努力しているのは誰もが認めることだ。
 対して光宗の経験が浅い、という事実は真実だ。
 だからメンバーもファンも何も言えない―だが。

佐藤亜「・・・ごめんなさい。全て私のワガママです。こうして薫が選ばれるのも才能とか実力があったからでしょう。対して私には才能も実力もなかったのでしょう」

佐藤亜「多分、私はこの世界に向いていないのです。今回の件でそう思いました。なので完全にこの世界から足を洗って―」

ファン「待てよ! 来週の握手会はどうなる―!」


177: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 23:18:50.04 XVsHCrsZ0
 何処からか、そんなファンの声が聞こえる。

ファン「ラジオとかの仕事はやるみたいだけど、AKBの活動は辞めるってことは握手会はどうなる。俺、亜美菜と喋りたくて10枚も買ってしまったんだけど、これは―」

佐藤亜「それは―」

ファン「そうだ! 全国ライブのチケットもこれ払い戻しにさせてくれよ。亜美菜がそこに出演するって聞いたから買ったのに、これじゃあ意味ねえじゃねえか!」

ファン「私も―」

 会場中から、そんな声が響き渡る―。
 握手会にせよ、ライブにせよ、亜美菜の姿が見たいから、亜美菜の声が聞きたいから、亜美菜を応援したいから、買ってくれた人間がいる。
 その人達はどうなるのか。
 亜美菜のために、チケットを買ってくれた人はどうなるのか。
 そんな純粋な疑問によって巻き起こった混乱であった。

柏木「みなさん、落ち着いて―」

ファン「だからさ」


178: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 23:20:32.97 XVsHCrsZ0
 ファンの人は言う。

ファンA「だから、せめて亜美菜のために握手会とか全国ライブのチケットとか買ってくれた人のためにも、それが終わるまでは頑張ってくれないか?」

ファンB「そうだ・・・そうしないと、お金の無駄じゃないか。いやそれが終わるまでっていうのも可笑しい。だって俺達は亜美菜の「未来」に投資しているんだから」

ファンC「俺達は亜美菜に頑張って欲しいから。AKBとして、亜美菜がいつか輝ける存在になって欲しいから、握手会にせよ全国ライブにせよ―劇場公演にせよ、こうやって応援し続けている」

ファンA「それなのに、辞めるだなんて無責任なこと・・・ファンを大事にし続けていた亜美菜の言葉とは思えない。だから、もう少しだけ―もう少しだけ、俺達も納得するまで続けてくれないか。無責任かもしれないけど」

ファンB「そうだ! 続けてくれよ、亜美菜は俺達の希望なんだよ。俺だって仕事で上司から気に入られず、殆ど出世も出来ない」

ファンC「俺だって、努力もしているし試合では勝っているのに、ただ声が大きい奴に部活のレギュラー獲られて悔しい思いをしている」

ファンA「そんな俺達の希望の星なんだよ・・・亜美菜がそんな辞め方したら、どうなるんだよ・・・」

ファンB「無責任かもしれない。だけど、もう少し続けてくれ亜美奈―」


179: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 23:21:58.03 XVsHCrsZ0
 亜美菜―亜美菜―亜美菜―。
 会場中が「亜美菜コール」に包まれる。
 そう、恐らく会場中には佐藤亜美菜と同じく、努力も結果も出しているに報われない人間がたくさんいるだろう。
 ただ、そんな人達も「悲劇のヒロイン」にならずに、歯を食いしばって前を向き続けている。
 そんな人達が希望の星として、応援しているのが佐藤亜美菜だ。
 骨折して公演にでても、殆どのアンダーを覚えていようが、選挙で結果を収めていようが、なかなか報われない。
 そんな亜美菜を好きになって、ファンとなって応援してくれている人達がたくさんいる―。
 意志の集合体が声となって、佐藤亜美菜に降りかかる。

佐藤亜「みんな・・・」

柏木「ねえ・・・もう少し続けてみない? 握手会とかもあるしさ、やっぱ亜美菜がいないと駄目だよ」

北原「そ、そうそう。亜美菜がいないと、だって誰がMC仕切るの? みゃおは訳分からないし、香奈さんも馬鹿だから何言ってるか分からないし」

宮崎「亜美菜がいないと、亜美菜手作りのケーキ食べれないじゃん! 明日から私、何食べればいいの!」

渡辺「うん。みゃお、黙ろうか」

佐藤亜「・・・」

光宗「私も・・・私も亜美菜さんのことは尊敬しています。あまり仲良くしてもらってないですけど・・・亜美菜さんの歌であったり、MCの回し方であったり、見習うべきポイントはたくさんあります!」


180: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 23:24:07.74 XVsHCrsZ0
 軽いイジメ―を佐藤亜美菜を初めとする新四天王から受けていた光宗であったが、それでも、亜美菜の歌であったりMCの回し方であったりと、実力的な面では尊敬していた。
 それに、実はそこまで悪い先輩のように思えないのだ。
 裏を返せば「食べさせてくれる」っていうのは、人間生きるために必要なことであるし、「食べさせてくれない」というよりかは百倍マシかもしれない。
 そう、実は亜美菜は悪いことは何一つしていないかもしれない。
 それがちょっと行きすぎただけで―。

佐藤亜「・・・分かりました・・・もう少し続けています」

柏木「じゃあ!」

佐藤亜「ただ、もしかしたらまた挫けるかもしれない。また辞めたくなるかもしれない、その時は」

ファン「力ならいくらでも貸してやるよ!」

佐藤亜「―はい、宜しくお願いします。やっぱり私はファンがいないとダメみたいです」

 会場中に響き渡る亜美菜コール―。
 それはいつまでも終わらないような気がしていた。
 そしてこれからも、続いていけるような気がした。


181: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 23:25:59.78 XVsHCrsZ0
 ■愛されたい、愛したい、でもやっぱり愛されたい!■

佐藤亜「みんな、迷惑かけてごめんね・・・」

 舞台は移って、公演が終わっての楽屋でのこと。
 亜美菜はみんなに向かって話し掛けている。

柏木「亜美菜・・・」

佐藤亜「今日も最後までどうしようか迷った。私を受け入れてくれるんだろうか・・・って―だからギリギリになっちゃったんだけど」

柏木「いやいや・・・」

渡辺「亜美菜、本当に続けてくれるの!? まさか口から出任せっていうことじゃないよね」

佐藤亜「・・・残念だけど」

 亜美菜は続ける。

佐藤亜「もう辞める、って言ってしまったし、そういう事務処理も済んでしまったから、今更やっぱり続けます、っていうのは言えないよ・・・礼儀に反するし」

柏木「じゃあ・・・!」

佐藤亜「でもね!」

 一変、突き抜けたような笑顔になって。


182:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 23:28:41.94 HETri3Rz0
秋元「チッ 余計なことを・・・・ピキピキ」だったら笑う

183: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 23:28:46.20 XVsHCrsZ0
佐藤亜「でもね、AKBを続けるっていうのは嘘じゃないよ! 私はファンの人達のためにAKBは続ける! まだもう少しだけ頑張ってみる」

柏木「えっ、それってどういう・・・」

佐藤亜「おい、薫!」

光宗「ひっ、はい」

 突然、呼びかけられて何か言われるんじゃないか、とビクつく光宗。

佐藤亜「お前、私のためにも次のニューシングル頑張れよな。後列の端っこみたいだけど、チームBのメンバーとして意地見せろよな」

光宗「は、はい! 頑張ります」

 こうして佐藤亜美菜の物語は幕を閉じる。
 推されと干され―推されは誰も得をしない―誰かが言った。
 実際、そうかもしれない。推されと干されがある限り、光と影は生まれるかもしれない。
 しかしそれは必要なことのように思えた。
 少女達が傷つきながら夢を見ていくためには必要なことのように思えた。
 まだまだ若い―AKBとしてはベテランかもしれないが、一般的には若い亜美菜にとってはまだ答えは分からない。
 ただ答えを見つけ出すためにも、後輩のためにも、ファンのためにも、走り続けよう、そう思う佐藤亜美菜であった。
 どうしても語らなければいけない、AKBの影の物語であった。


184: ◆Q5rNtE.wug
12/04/30 23:30:44.31 XVsHCrsZ0
 ■夢を死なせるわけにいかない■

 ―某会場。

秋元康「では、次。23番の人、お願いします」

???「はい」

 ここはAKB14期研究生オーディション。
 そんな会場に彼女は来ていた。
 ニヤッとする秋元康。

秋元「はい、では自己紹介と歌の方をお願いします」

佐藤亜「はい、21歳の佐藤亜美菜です。私はAKBが本当に好きでAKBになりたくて、AKBに入るためにこのオーディションに参加させていただきました」

 物語は続く。

佐藤亜「では歌います。曲名は言い訳Maybe―」


185:名無しさん@お腹いっぱい。
12/04/30 23:42:43.12 Pra/4BofO
終わった?

186: ◆Q5rNtE.wug
12/05/01 00:02:27.79 o5rp7jV30
 ■3、4がなくて・・・?■

 AKB48とは高橋みなみのことである―。
 これは秋元康が言う高橋みなみである。
 高橋みなみは1期生として、初代センターボーカルとしてみんなを引っ張ってきた。最初からじゃないけれど、キャプテンとして絶大なる信頼を寄せられている。
 声量はあるが、背が低く、目立つためには並々ならぬ努力が必要であっただろう。
 また先天的に頭は良いが、勘が悪く、話しの組み立て方が苦手で、何か話しをするとすぐに滑ったり、最後には慌てるのか早口になったりする。
 また顔も決してアイドル顔とは言えず、おそらく学生のファンが多いのだろう、総選挙の票でもいまいち伸びが足りない。
 そんな欠点をたくさん抱えた少女であるが、努力と根性を至上とするAKBにとってはまるで象徴のような存在であった。
 余談ではあるが、前田敦子の後継者は育てられるが、高橋みなみの後継者は育てられず出てくるのを待つしかない。
 そんな彼女のことを、AKB48=高橋みなみ、と称するのも無理ではないだろう。
 しかしもう一人、AKB48と等価値のものとして記号を結ばれる少女がいる。
 これから紹介する『彼女』も声量はあるが、背が低いために、何としてでも目立たなければならなかった。
 しかし現実は残酷なもので、同じ1期生である高橋みなみがキャプテンまで上りつめて、おそらく同タイプである『彼女』は殆ど選抜メンバーにも選ばれておらず、選挙でも結果が出てるとは言い難い。
 そうこれは推されと干され、の物語ではなく、AKB48の夢と現実の物語。
 高橋みなみと同タイプでありながら、報われる努力のフィールドを与えられなかった『彼女』。
 黒歴史として、もしかしたらその存在を抹消されかかっているかもしれない『彼女』。
『彼女』の名前は―平嶋夏海という。


187: ◆Q5rNtE.wug
12/05/01 00:04:14.33 XVsHCrsZ0
 ■AKB48とは平嶋夏海のことである■

光宗「うわぁ、今日は楽しみ」

 今日は久しぶりの休日ということで、光宗はあるところに来ていた。
 AKB48の劇場である。
 休日にも仕事か、と突っ込む人もいるかもしれないが、これは仕事ではない。
 
光宗「今日は研究生公演」

 しかも13期のメンバーが光宗以外、全員出演する公演となっている。

相笠(13期メンバー)「あっ、薫。来てくれたんだね!」

光宗「久しぶりっ!」

雨宮(13期メンバー)「今日は驚かしてあげるから、目に焼き付けろよ」

光宗「うん!」

 そう、光宗は今日、13期研究生の公演に招待されていた。
 13期研究生として殆ど公演に出ていなかった光宗であったが、折角の仕事がない休日なので見に来よう、と思ったわけだ。
 ―こうして公演がスタートした。

光宗「うわ、みんな上手いな・・・」


188: ◆Q5rNtE.wug
12/05/01 00:07:42.02 XVsHCrsZ0
 確かに細かいところでは粗があるが、全体として見れば十分に公演として成立するレベル。

光宗「私も頑張らないとな・・・」

 それに刺激を受ける光宗。

???「隣良いかな?」

光宗「あっ、はい空いてますよ」
 
 光宗の隣にそのとある少女が座る。
 黒髪ロングで、声は甲高い。一般人とは思えないオーラがあり、何処か堂々としている。

光宗(この人、どっかで・・・)

???「やっぱり薫ちゃんとしては、13期研究生の公演はどう思う? 正規メンバーとして文句とか一杯ある?」

光宗「はい? いえ、私にそこまで言える権利ないですし、みんな頑張っているしお客さんも満足しているみたいで・・・というか、あなたは―」

???「何処が? ちゃんとお客さんのこと見てる? ほら、あの人なんかは」

 少女が指さした方向には、腕を組んで一頻り首を捻っている男性の姿があった。

光宗「・・・」

???「多分、あの人はこう思っているはずだよ。「やっぱり研究生だし、ダメだな。これじゃあお金を払って見る価値がない」―とね。あの人だけじゃない。ほら、よく劇場を見渡してごらんよ」


189: ◆Q5rNtE.wug
12/05/01 00:10:36.56 o5rp7jV30
 光宗は劇場を見渡す。
 ―今まで気付いていなかったが、手拍子を盛り上がっている人達の中にも、納得のいかなそうにステージを見ている人達がいる。

光宗「確かに・・・そうですね」

???「ちゃんと、劇場のこと見てる? もしかしてステージと観客席には距離があると思ってない? ほら、あっち見て」

 その少女は指を指す。

???「あの壁、凹みみたいになってるでしょ。あれは3年前に転倒して、壁に凄い勢いでぶつかったお客さんが衝突してああなった。目立たないけど、まだ直していなかったんだね」

???「それで、あそこの椅子。座りにくそうにしているけど、あれは微妙に潰れていて少しクッションが可笑しなことになっている。早く直せばいいのにねー、他にも―」

光宗「えっと、あなたは―」

???「あっ、ごめんごめん。名乗り遅れたかな。初めまして―平嶋夏海です。君とは入れ違いになっちゃったから、私のこと知らないかな?」


190:名無しさん@お腹いっぱい。
12/05/01 00:12:31.03 D9cN4THJ0
チームB渡辺美優紀完全移籍



191: ◆Q5rNtE.wug
12/05/01 00:15:28.91 o5rp7jV30
 知らないはずはない―。
 AKBに興味のない人なら知らない、しかしAKBに少しでも興味のある人なら知らざるを得ない超重要人物。
 1期生でありながら、組閣以前にチームBに左遷。外部ユニット渡り廊下走り隊のリーダーであり、チームBの裏キャプテンとも言われている。
 公演回数は最多の836回であり、おそらくAKBメンバーの中で最も劇場を大切にした少女。
 とあるスキャンダルがきっかけで、AKBを辞めざるを得なくなった少女。
 そして、旧四天王のリーダーであった少女。
 それが『彼女』―平嶋夏海である。

光宗「もちろん、知ってますよ―初めまして、光宗薫です」

平嶋「君の存在はAKBにとって異質だ」


192: ◆Q5rNtE.wug
12/05/01 00:28:06.44 o5rp7jV30
 そう言い放つ平嶋。

平嶋「AKBの下っ端でありながら、劇場を大切にせず、テレビや雑誌の仕事を最優先に考える。神戸コレクションモデルオーディション受賞という、華々しい経歴があり、素人っぽさは全くない」

平嶋「成長の姿を見ていく、ということがAKBのコンセプトとするならば、君の場合はまるで完成品をいきなり観客に見せているようなものだ。これを異質と言わずして何という」

 続ける平嶋。

平嶋「今までゴリ推し、と言われてきたメンバー、―私の記憶が正しければ前田敦子、指原莉乃、横山由依、松井珠理奈の4人が主要メンバーとしてあげられる」

平嶋「しかし、あっちゃんはAKBの1期、珠理奈はSKEの1期生なので研究生は経験していないが、それでもこの4人は公演に出続けファンの反応を見ながら少しずつであるが、成長していった」

平嶋「しかし君は違う。他の4人のゴリ推しとはまた違うゴリ推しだ。一体、今年に入ってチームBの公演に何回出た? テレビとかの仕事の方が圧倒的に多かったんじゃない?」

光宗「はい・・・正直、言いますと」

平嶋「君のことを調べていくと、どんどん不思議になってくる。AKB48の主戦場は「劇場」であり、これは変わらない。テレビの露出が多くなっていくにつれ、勘違いしてくる人もいるが、これは真実だ」

平嶋「会いに行けるアイドル―これは握手会で会いに行けるから、ではない。その一面もあるが、握手会でそればかりマスコミに取り上げられて勘違いしている人も多い」

平嶋「今までのアイドルは全国どこにでも飛び回って、CDを売るため、カラオケで歌わせるために、ライブで歌を披露してきた」

平嶋「全国どこに現れるか分からないため、追っかけでもしないと全てのライブを見る、といった行為は到底不可能だった」

平嶋「しかしAKB48は違う。AKBは言い換えれば地域密着型アイドル。本拠地を決め、そこで毎日歌ってますから、いつでも見に来てください、という劇場に来てくれるお客さんのお金で経営しているビジネススタイル」


193: ◆Q5rNtE.wug
12/05/01 00:29:32.19 o5rp7jV30
光宗「・・・」

平嶋「これは新しいビジネススタイルだ。最早、情報が溢れかえていって一つのものを選ぶ、なんてものが時代遅れになった現代に合っている」

平嶋「さらにネットにいけば、動画サイトでAKBの曲は流れる時代に、最早曲だけにCDを買う必要性はない。なのでCDをおまけとして、握手券を売る、という手法」

平嶋「これはあまりにも時代を読み過ぎている。AKBとはただのアイドルグループではなく、歴史を動かす一現象。AKB48とは―あくまで劇場と共に歩んできた」

 だが、君は違う。
 平嶋は言う。

平嶋「君は劇場を軽視している」


194:名無しさん@お腹いっぱい。
12/05/01 00:43:10.18 r9H3rpYZi
この作者っていつもJを悪い役にするよね?
Jアンチ?

195: ◆Q5rNtE.wug
12/05/01 00:48:11.08 o5rp7jV30
光宗「そ、そんなことありません!」

平嶋「いや、しているね。こんな新人がドラマに出演したり、雑誌でソロ飾ったりは今まで有り得なかったことだ。あの指原や横山でさえ、長い下積み経験をしている」

光宗「それは・・・」

平嶋「私は君はAKBのコンセプト、「会いに行けるアイドル」に喧嘩を売った、アンチテーゼのような存在だと思う―これからはテレビを主導にして、劇場を蔑ろにしますか、といった類のな」

光宗「・・・」

平嶋「ごめんごめん、厳しいこと言ってしまってね。スキャンダル起こして、辞めた私に偉そうなこと何一つ言えないはずなのにね」

光宗「いえいえ・・・」

平嶋「ここからは、少し話が変わるんだけど・・・薫ちゃんは努力って何だと思う?」

光宗「えっ?」

 いきなり質問されて、戸惑う光宗。

光宗「・・・報われるかどうか分からないけど、しなくてはいけないもので、自分と他人を信じ続ける糧となるもの」

平嶋「惜しいね。正解は、努力は必ず報われる。だけどそれは報われるフィールドがあってこそ、だよ」


196:名無しさん@お腹いっぱい。
12/05/01 00:48:25.36 t3tMA9Zo0
客観的にビジネス論を展開する平嶋にワロタ

197: ◆Q5rNtE.wug
12/05/01 00:50:19.73 o5rp7jV30
光宗「・・・? それってどういう・・・」

平嶋「例えば、たかみなを例にとって説明しよう。たかみなは私とよく似ているタイプであるが、天と地ほどの知名度の差がある。果たしてそこの差は何だったんだろう」

平嶋「私も、まだよく分かっていないけど、私に言わせれば、たかみなは努力して報われるフィールドがあって、私にはなかった、そういうこと」

光宗「・・・」

平嶋「たかみなは努力すれば、努力すればするだけ人気もあがるし、後輩から尊敬される。そう、努力を知ってもらえるんだよ、秋元先生に限らず、色々な人に。でも私は何?」

 平嶋と光宗の会話を尻目に公演は続けられていく。
 シアターの女神公演なので、アンコールがお決まりのように流れ、お決まりのように「オネストマン」が披露される。

平嶋「私はいくら努力しても、誰にも知ってもらえない」

光宗「・・・他人に知られるために努力するわけじゃないでしょう」

平嶋「いや、現実は、いやこの世界は特にそれを知ってもらわなければならない。努力している姿を見て、優先的に仕事を回してあげよう、と思ったり、ファンの人達も成長している、って思うわけ」

光宗「そんな・・・例えば歌のレッスンをしたら、少しずつですけど上手くなっていくじゃないですか。そうすれば実力がついてきて」

平嶋「ははは。まあ実力つくか、でも実力ついて結果出したとしても、その結果を見てもらわなければ意味ないんじゃない?」

光宗「それは・・・」

平嶋「簡単にいうと、「眼中になかった」。秋元先生の目には「私」という姿が眼中に入っていなかった。でも、私は、努力は【絶対に】報われない、と思いながらもAKBを続けてきたし、辞める気もなかった。どうしてか分かる?」


198: ◆Q5rNtE.wug
12/05/01 00:52:34.38 o5rp7jV30
光宗「・・・やっぱりファンの人達が応援してくれるから、ですか?」

平嶋「初めて正解」

 平嶋はこの日、初めて優しげな表情を見せる。
 公演の方は「チームB推し」が流れる。

平嶋「26位。3年連続26位。これはファンの人達が私を見てくれている証明でもあった。秋元先生やスタッフの目に私は映っていなかったかもしれないけど、ファンの目には確かに映っていた」

平嶋「私は―」

 ステージの方を見て言う。

平嶋「私はもう一度、あのステージに立てるなら、あのステージでファンの人達に応えられるなら、どんな代償も惜しまない。今まで863回という公演回数」

平嶋「もう一度、ステージに立ちたい。でもそれは決して許されないこと。犯してはならない禁忌に触れた私にとって、あのステージに立つことはもう不可能でしかない」

 平嶋は席を立つ。

光宗「帰るんですか? もう少しで終わりますよ・・・」

平嶋「もう十分。これ以上見ると―涙が出そうになるから」

 あーもういっちょいくぞー!
 あなたは今日でなっちゃん推し、ほらチームB―なっちゃーん!


199:名無しさん@お腹いっぱい。
12/05/01 00:52:37.60 ouK5MowuO
後で全部一気に見るからまとめんばーちゃんとまとめとけよ

200: ◆Q5rNtE.wug
12/05/01 01:00:11.05 o5rp7jV30
平嶋「でも君はまだ大丈夫。君はまだこれから公演に一杯出れる。テレビの仕事なくして劇場に行け、とまでは言わない」

平嶋「ただ知って欲しかった。AKBにとってファンと繋がれるところ、それはテレビでも雑誌でもなく、ここ劇場だ。大切にしなさい。一度一度のファンとの出会いを大切にしなさい」

 そう言って、平嶋は出口の方に向かっていく。

光宗「ちょっと・・・平嶋さん・・・!」

平嶋「あーっ、光宗薫だ! みなさーん! スーパー研究生でテレビにも引っ張りだこの光宗薫がいますよー! あれー、何でこんな観客席にいるのかなー!」

 平嶋が―声量ある大声で叫び、ちょうど曲も終わったとなって、場内は騒然とする。

光宗「ちょ、ちょっと・・・」

平嶋「さようなら、薫ちゃん。私はあなたは決して交わらない。もうあなたの前には姿を現さないでしょう」

 そう言い残して、平嶋は去っていった。


201: ◆Q5rNtE.wug
12/05/01 01:01:31.14 o5rp7jV30
 ■5になっちゃん!■

平嶋「流石に悪いことしたかな・・・」

 平嶋は先程、やったことで少し自己嫌悪に陥る。

平嶋「まあ、いずれ気付かないといけないしね。薫ちゃんがAKBとしてやっていくためには、考えなければならない道だから・・・」

 こうして、というか只文句を言うだけ言って平嶋夏海の物語は終わる。
 AKB48の《夢》とは高橋みなみのことである。
 AKB48の《現実》とは平嶋夏海のことである。
 一見、華やかに見えるが、そこには光と影が確かに生まれている、ということ。
 あまりにも寂しい、そして救われない物語であった。


202: ◆Q5rNtE.wug
12/05/01 01:03:22.22 o5rp7jV30
 ■古いページは破り捨てろ■

ファン「何で、光宗がいるんだー?」

光宗「ちょ、ちょっと・・・押すのは止めてください」
 
 まるで押しくらまんじゅうとなって、会場は混乱の渦となる。
 その渦の中心にいるのは何を隠そう光宗本人である。

光宗「あ、あの!」

ファン「お前に一言、言っておきたかったんだよ!」

 怒りが込められた大声によって、騒然としていた会場が水を打った静けさとなる。

ファン「お前、劇場を馬鹿にしてんだろ」

光宗「い、いえ、そんな」

ファン「いや馬鹿にしている。こうやって、研究生の公演を見に来る、っていうことが馬鹿にしてるんだ。多分、心のどこかで思っているんだろ」

ファン「あー、大変そう。けど私はテレビとか出まくって、目立っているけどね。って」

光宗「そんなこと・・・!」

ファン「じゃあ、お前にとって劇場とは何なんだ。お前にとって、劇場とは邪魔なものなんじゃないのか?」

 劇場とは何なのか―。
 AKBの原点。
 これだけテレビや雑誌に引っ張りだこの現状において、残念ながら休演してくるメンバーも少なくない。
 正規チームの公演であっても、殆どが代役として研究生が出演していて、一体何をしているのか分からない状態になることがある。
 劇場とは何なのか―。
 そんな空中戦の最前線にいる、光宗が「原点です」といっても誰も信じないし、一笑して終わるだろう。

光宗「私にとって・・・劇場とは・・・」


203: ◆Q5rNtE.wug
12/05/01 01:05:11.17 o5rp7jV30
ファン「そうだ、お前にとって劇場とは!?」

光宗「劇場とは・・・」

 光宗は必死に声を絞り出す。

光宗「私にとって劇場とは、努力を見せるフィールドです! 確かにこの世界では「努力は報われるとは限らない」「絶対報われない」かもしれません、ですけど!」

光宗「私達には劇場があります。努力してそれを披露できる、努力が報われるフィールドがあるんです! これだけ幸せなアイドルは他にはいません」

光宗「もちろん、そこでミスするかもしれません。しかし会場の雰囲気や反応を見て自分で修正することができ、努力をすることが出来ます!」

光宗「だから私は努力し続けていきたい―テレビや雑誌の仕事が多くなると思うけど、私にとって劇場とは努力した結果を最大限に発揮できる場所です!」

 ごめんなさい―そう続ける。
 偉そうなことを言ったが、現実的には殆ど公演にでれない日々が続いている。
 そんな気持ちが、最後にそう言わせたのだろう。

ファン「・・・分かった・・・じゃあ、今からステージに上がりなさい」


204: ◆Q5rNtE.wug
12/05/01 01:06:47.63 o5rp7jV30
光宗「えっ」

ファン「俺達は、何だかんだお前を認めている。神崩し―AKBの新世代を切り開く、一人の主要メンバーだと思っている。だからステージに上がりなさい。そしてステージで努力の結果を見せてください」

光宗「でも・・・」

 ステージ上では研究生のみんなが手招きをしている。
 殆ど交われなかった、異質な存在としての光宗なのに―。

ファン「そうだ、そうだ! 何だかんだいって、アンチも多いと思うけど、みんなお前のことを認めてるから言ってるんだ。ルックスもスタイルも良い」

ファン「身長が高くてダンスで見栄えが良くて、目立つ―まだ未熟かもしれないけど、これから経験を積めばきっと全員を魅了出来るようなダンスが出来るはずだ」

光宗「・・・はい!」


205: ◆Q5rNtE.wug
12/05/01 01:08:09.61 o5rp7jV30
 こうして光宗はステージに向かって走り出す。
 いつか前田敦子は言っていた。
 ―全員が全員、敵じゃないから。温かい言葉もたっくさんある―。
 アンチが生まれてスターは育つ。
 もちろん、光宗のことを嫌いな人もたくさんいる。しかし反対に自分のことを期待してくれる人間もたくさんいる。
 自分には味方がたくさんいるんだ―。
 そんな自信に光宗は包まれていた。

光宗「はい・・・では最後の曲、聞いてください。Beginner」



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