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業界紙の過去の記事。続き
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顧客サービスの崩壊も
このように追い詰められた全日空が、「最後のカード」として社内で検討しているのが格安航空会社(LCC)の設立だ。
確かに世界の航空業界を眺めるとLCCは米国で四割弱、欧州も三割のシェアを占めるまで勢力を伸ばしている。東南アジアでのLCCのシェアは一六%にとどまるが、「台頭するLCCに対応しないといずれ大変なことになる」(全日空幹部)と重い腰をあげようとしている。
この構想自体は山元峯生前社長(故人)が検討を指示したもので、香港に事務所を開設するなど事業化調査に乗り出したものの、その後、凍結された経緯がある。
LCCへの参入は「価格競争を自らに持ち込むことになるため安売り競争に拍車がかかる上、本来の顧客もLCC子会社に流れてしまう」(外資航空会社幹部)懸念が払拭できなかったからだという。
今、全日空の幹部は「LCCを開設しても顧客層が違うほか、全日空の基幹路線と重複を避けることで併存は可能」と手のひらを返したように説明するが、一連の紆余曲折を見てきた市場関係者の見方は冷ややかだ。
同社は過去最悪の赤字計上を受けて予定していた三千三百人の増員計画を撤回。逆に四年ぶりに早期退職を復活するなど「ただでさえギリギリの顧客対応が、さらにすかすかになる」(全日空グループ幹部)。
そんな状況下でLCCを開設したら、「人員不足の一層の深刻化で全日空グループ全体のサービスが崩壊する」(大手証券アナリスト)。
全日空が株主総会で何度も強調した業績のV字回復。今期の最終黒字目標は五十億円だが、これも燃油価格が上昇すればすぐに吹き飛ぶ水準だ。
もし三期連続の赤字となれば繰り延べ税金資産の取り崩しなどを迫られ、赤字額が一気に膨らむ危うさも潜む。
伊東社長は自社の矛盾や不都合を全部日航のせいと押し付ける前に、自らの上滑り経営の姿勢を改める必要がある。
それができなければ、日航とのダッチロールで「共倒れ」の道が待つだけだ。