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大分市で2021年、時速194キロで車を運転し、衝突死亡事故を起こしたとして自動車運転処罰法違反(危険運転致死)に問われた当時19歳の男性被告(23)に対し、大分地裁の裁判員裁判は28日、判決を言い渡す。直線道路で起こした猛スピードでの衝突死亡事故は危険運転か―。公判では、故意性が必要な危険運転致死罪の成否が争われ、検察側と弁護側が激しく対立した。
起訴状によると、被告は大分市の県道交差点で、法定速度が時速60キロのところ、制御困難な時速194キロで直進。対向の右折車を妨害する目的で接近し、衝突死亡事故を起こしたとしている。
自動車運転処罰法は危険運転致死罪の要件として①「制御困難な高速度」や②「妨害目的」などを挙げるが、明確な速度基準などは定めていない。検察側は公判で①も②も満たすとして懲役12年を求刑したが、弁護側は懲役7年以下となる同法違反(過失致死)が適当だと訴えた。
一般市民にとって、時速194キロは未知の高速度で想像がつかないのではないか―。そう考えた検察側は立証のため、プロドライバーを証人申請した。レーサーとして全日本選手権での入賞歴もあるドライバーは公判で「(時速194キロで走行すれば)車体は常に縦揺れし、少しの段差でも跳ねるような状態」と説明。凸凹のある事故現場の路面状況では制御困難になるとし「元プロレーサーの私でも無理」と証言した。
さらに検察側は、高速運転が人の視野にどれほど影響するかについても検証。証人出廷した視野の専門家は「速度が上がると視力が下がって視野が狭くなる。万人共通だ」と証言した。
これに対し、被告は公判で、過去に現場を含む一般道で車を時速120キロ超で30回以上走行した経験を明らかにし「高速度でも普通に走っている感覚だった」と述べた。弁護側は、被告が過去に一般道を車で高速走行した時も進路を逸脱したことはなかったと強調。「制御困難だったとは言えない」と反論した。
「妨害運転」を巡っても双方の主張は真っ二つに分かれた。検察側は、被告は過去の走行経験から右折車が来る可能性を認識しており、高速で接近すれば妨害することになると分かっていたと主張。一方、弁護側は、被告には事故直前に右折車を認めた記憶がなく、積極的な妨害の意図はなかったとし、危険運転には当たらないと訴えている。【神山恵】
毎日新聞
2024/11/28 05:00(最終更新 11/28 05:16)
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