23/12/12 12:46:10.68 +e/j4whn9.net
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■日本の医薬品は最先端ではない
難病をわずらう人々にとって、最先端の医薬品を利用できるか否かは生命の危機に直結する。
「日本は先進国なので最先端の医薬品が使える」と思っている人も多いかもしれない。
しかし、もはやそれは幻想だ。
医薬産業政策研究所の資料によると、欧米で最近承認された最先端の医薬品で国内未承認の265品目('20年12月時点)のうち、
日本国内で同じ薬を開発中のものは83品目しかなく、残り182品目が「開発中止」や「国内開発情報なし」などとなっている。
海外で開発された医薬品については、国内では未承認のものも多い。
このため、アメリカでは承認済みで希少がんの治療に必要な医薬品も日本では利用できない状況(=ドラッグ・ロス問題)が起こり始めている。
こうしたドラッグ・ロス問題の原因はどこにあるのだろうか。
■厚労省が薬剤費引き上げを拒む理由
現在、日本の医療費は40兆円強だが、大雑把にはこのうち約30兆円が「診療報酬本体」(病院や診療所などの報酬)で、残りの約10兆円が「薬剤費」に回る。
診療報酬本体は医療関係者の取り分、薬剤費は製薬メーカーや調剤薬局などの取り分だ。
'08年度以降、診療報酬本体は一貫してプラス改定だが、医薬品の公定価格である「薬価」はマイナスだ。'15年度から'20年度の平均で、薬剤費は対前年マイナス0・9%である。
それゆえ、海外の高い薬を導入できないという側面があるのだ。
そして、医療費を抑えようとするのは財務省をはじめとした政府であり、そのしわ寄せが薬剤費に行く構図に陥るのは、
「政治的な圧力団体として、製薬メーカーよりも日本医師会の方が強いから」という指摘が一般的に多い。だが、これは誤解だ。
問題の本質は厚労省の権限温存である。
実は、厚労省は薬価を抑えることで権限を作り出すことができる。
たとえば、薬剤費は現在およそ10兆円だが、薬価を平均で1%引き下げれば、薬剤費の伸びを1000億円削減でき、その分、新たな財源を捻出できる。
■裁量権を手放したくない厚労省
この1000億円を、薬剤費以外の他の予算にどう回すかという権限が、厚労省の官僚が握る大きな裁量権限
(予算編成上の便利な調整弁・お財布)の一つになっているのだ。
他方、財政の持続可能性とイノベーションの両立を図る観点から、財務省は薬剤費を一定のメカニズムで伸ばすことに理解を示している。
たとえば、財務省「財政制度等審議会」の資料では、
「薬剤給付費の伸び率が経済成長率と乖離しないといった薬剤費総額に係るルールを設け(略)給付費の伸びと経済成長率の整合性をとっていくことには
一定の合理性がある」と記載している。
年率1%で薬剤費を伸ばせば、10年で1兆円の財源を生み出すことができるので、ドラッグ・ロス問題を解決する支援になることは明らかだ。
しかし、厚労省はこのルールに反対している。
自分たちの権限が失われるからである。
厚労省は薬剤費の問題を日本医師会や財務省のせいにして、裁量的な権限を守ることを優先しているふしすらある。
その結果、起こっているのがドラッグ・ロス問題である。
国民は官僚機構が語らない真実を見定める必要がある。