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経済協力開発機構(OECD)は5日、2022年に81の国・地域の15歳を対象に実施した「国際学習到達度調査」(PISA)の結果を公表した。保護者の職業や家庭の経済力など生徒を取り巻く環境の指標「社会経済文化的背景」(ESCS)との関係についても分析され、いわゆる「恵まれた家庭」ほど、好成績者が多い傾向が日本を含む大半の参加国でみられた。
ESCSは、生徒に①保護者の職業②保護者の教育歴③家庭の所有物―を尋ね、その回答を基に算出した指標だ。③は蔵書数や車の台数、タブレットやパソコンといったデジタル端末の数のほか、自分の部屋があるかどうか、「水洗トイレがある部屋」「コンピューター関係のマニュアル」の数なども聞いている。
参加国の状況に合わせた質問項目もあり、日本の子供には「ゲーム機」「自分のパスポート」の有無と、「エアコン」「来客用の部屋」の数を尋ねている。
ESCSの水準に応じて、まずは生徒を四つのグループに分類。PISAの調査項目である「読解力」▽「数学的リテラシー(応用力)」▽「科学的リテラシー」―の3分野のうち、「数学的リテラシー」の成績(習熟度レベル)との関連を軸に分析された。
その結果、日本のケースを見ると、ESCSの水準が最上位のグループは、成績で最上位層の「レベル6以上」の生徒の割合が13・5%だった。一方、ESCSの水準が最下位のグループで「レベル6以上」は1・9%にとどまった。
逆にESCSの水準が最下位のグループは、成績で最下位層の「レベル1以下」が21・1%に上る。これに対して、ESCSの水準が最上位のグループは6・1%にとどまっている。
他の大半の参加国でもESCS水準が上位の層ほど高い成績を収める生徒の割合が高く、「科学」と「読解力」でも同様の傾向がみられた。ただ、今回の調査では、日本はESCS水準が学力に及ぼす影響がOECD平均より小さかった。
ESCS水準の低い子供に対し、どのような取り組みが学力向上の効果をもたらすのかについては、文部科学省が毎年、小中学生に実施する「全国学力テスト」の結果を使った研究でも分析が進んできた。
文科省の担当者は「新型コロナウイルス下の休校時は、教員が宿題に解説やコメントを丁寧に書くなどの取り組みが、社会経済的背景の指標が低い子供の学習にプラスに働いたという分析もあり、これらが影響したのではないか」と話している。【李英浩】
毎日新聞 2023/12/5 19:01(最終更新 12/5 20:10)
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