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「カーボンニュートラル」は温室効果ガスの排出量と吸収量を差し引きゼロにする概念だ。欧州連合（EU）全体が2050年までの実現を目指すが、加盟国のフィンランドは15年も前倒しにする野心的な目標を立てている。その達成に向けて利用しているのが、近隣の大国ドイツが今年決別した原子力発電だ。
連載「しなやか気候対策 フィンランド流」は計5回です。23日まで連日8時に公開します
第1回 地球に優しい選択する若者たち
第2回 ガス排出量を測るテストの効果は
第3回 マンション改修とガス削減の実例
第4回 危機を商機に変える「したたかさ」も
第5回 原発活用続ける事情とは
「カーボンニュートラルの実現と電力の安定供給を両立させるうえで原発は欠かせない。最も現実的だ」。フィンランドのミュッカネン環境・気候変動相は9月、毎日新聞などとのインタビューでこう発言した。
念頭にあるのは、今年4月に国内の原発を完全に止めたドイツの苦境だ。ミュッカネン氏は「ドイツは風力発電を増やしている。しかし安定的な原発を全部止めてしまったので、石炭火力発電の置き換えに苦労している」と説明する。
稼働止めたドイツの苦境横目に
4月15日、ドイツは原子炉3基の稼働を止めた。11年に起きた東京電力福島第1原発事故を受け、当時のメルケル政権が掲げた脱原発政策を12年かけて完了させた。
フィンランドが対照的な動きを見せたのは翌日だった。欧州最大級の発電能力を持つとされるオ…(以下有料版で，残り1173文字)
毎日新聞 2023/11/23 08:00（最終更新 11/23 10:06） 有料記事 1788文字
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