23/10/11 07:59:58.28 T+imk2zk9.net
札幌市東区の住民(53)はこの秋、旭川市にある先祖の墓を撤去し、敷地を返す「墓じまい」を決めた。両親は健在で母とは同居するが父は入院中。いつまで墓を守れるか分からない。自分は独身で、埼玉県に住む独り身の兄も北海道内に戻る予定はないため、いずれ墓を管理する親族もいなくなる。「死んでから他人に迷惑をかけるわけにいかない」。手頃な価格で見つけた永代供養付きの墓を早々に契約した。
少子高齢化で、墓のあり方は大きく変容している。厚生労働省によると、墓じまいして、別の墓や納骨堂に移す「改葬」は2021年度に全国で約11万9000件に上り、この10年で1・5倍になった。道内では2倍以上になっており、道東の石材業者は「ここ7~8年は墓を建てるより、解体するのが仕事ですよ」と打ち明ける。墓を管理する親族がいなくなり、放置されたままの「無縁墓」も増加。札幌市では、20年度に市営霊園などの約4万7000基を調査したところ、9700基(21%)で「無縁化が疑われる」と判明した。
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「地元との縁は自分が死ぬまでになってしまうが、これなら将来も安心かな」。彼岸前の9月中旬、遠軽町に住む契約社員の男性(69)は父親の遺骨を町営墓地から約200キロ離れた三笠市の民間霊園「北海道中央霊園」に移した。樹木葬タイプで、芝の上に手のひらサイズの墓標約3500基が並ぶ中から、自身と母親も入れるよう3人用を選んだ。
先祖代々、遠軽町に住んでいたわけではない。三笠市にゆかりがあるわけでもないが、新千歳空港から車で約1時間なら関東地方に住む3人の子どもも来やすいのではと考えたという。
同霊園では、全国でも珍しい無料の「送骨サービス」に注文が相次いでいる。14年に始めた取り組みで、遺骨を粘着テープなどで 梱包こんぽう し段ボールに入れて郵送。利用者の多くは遠方のため来られない高齢の遺族で、職員が複数の遺骨を一緒に埋葬する「合葬墓」などへの納骨まで行う。
開始当初は年間10件ほどだったが、コロナ禍での移動制限などもあり、今や利用は年間約150件に上る。同霊園の武田寛理事長(61)は「核家族化や少子化で(墓の管理が)どうしようもなくなった人が増えた結果、価値観も多様化している」と話す。
合葬墓は公営で整備する自治体も増えている。需要は想像をはるかに上回り、18年度に設置した苫小牧市では、50年かけていっぱいになる計画が、5年で容量の半数を超える約2700体分が埋まった。帯広市でも年間50件の想定が22年度は6倍の300件近くに達した。
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読売新聞 2023/10/10 09:49
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