23/08/22 20:16:38.51 d/iOnaEK9.net
雨宮和哉(アナリスト)
マイナンバーカードと個人情報のひも付けミス、子育て財源確保のための社会保険料への上乗せ案などが国民の批判を招き、岸田政権を取り巻く環境は厳しい。
風力発電関連企業による秋本真利衆院議員(自民党を離党)への多額の資金提供疑惑は、検察庁が捜査。世論調査によっては、内閣不支持率が支持率を20ポイント前後も上回る。岸田文雄首相は苦境に立つ。
それでも首相はいずれかのタイミングで衆院解散・総選挙を行い、勝利を収めて求心力を高め、24年秋の自民党総裁選で再選するシナリオを描いている。第2次安倍政権の2012年から5年間外相を務め、在職期間は戦後有数を誇る。そう、局面転換を図る頼みの綱は「外交」である。首相は、起死回生の一打を放つことができるのか―。
■一つ目の切り札
切り札として持つ「秘策」は、北朝鮮による日本人拉致被害者のさらなる帰国実現だ。第2次安倍政権は拉致被害者の新たな奪還を目指し、日朝政府間の協議を行った。しかし成就しないまま時機を逸した形となった。
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■バイデンを喜ばせたいだけ…?
首相が公の場で日朝ハイレベル協議に意欲を示したり、官邸で曽我さんと面会したりした動きについて「目算が立っていないうちから手の内を明かしていることに近い。ただでさえ日朝協議は多大な困難が伴う。成功を狙うなら最終局面まで隠密に行うべきではないか」(国際情報筋)との声がある。いずれにせよ年内の進展は厳しそうだ。
岸田首相は日本時間8月19日、米国ワシントン郊外のキャンプ・デービッド山荘で、バイデン米大統領、韓国の尹錫悦大統領と3国首脳会談した。自衛隊と米韓両軍の共同訓練定例化といった安全保障協力や、首脳や閣僚が最低年に1回会談することなどで一致。岸田首相は現地での共同記者会見で「キャンプデービッド原則を新たな羅針盤とし、具体的協力を力強く実行に移す」と胸を張った。
岸田首相は日本の防衛予算倍増を打ち出し、ロシアと戦火を交えるウクライナへの積極的な支援などで、これまでバイデン大統領に予想以上の配慮を示してきたと言える。これに対し、ある国際関係筋は「同盟国である米国を重視するのは当然だが、現状はむしろ対米一辺倒で単調に見える。特に中国、ロシアとは、表面的にはけんかしても、裏で握るべきところは押さえるといった重層的な戦略性をもっと見せてほしい」と注文する。
中国、ロシアは西側諸国と価値観を異にするとしても、大国である。中国の軍事的台頭や世界的な影響力拡大を警戒するのは当然だが、経済安全保障の観点からいくら「脱中国」を叫んでも、隣国として日中で構築してきたサプライチェーンはすぐに代替できるものではない。
対ロシアでも、しかりである。戦争中とはいえ、石油・天然ガスなどエネルギー権益一つとっても、失うものを極力最小化するしたたかさが問われる。「とにかくバイデン大統領が喜ぶことをやればいいというわけでない」(国際経済筋)というわけだ。
■「ヒットの外交」
倍増を予定する防衛費の使途として、米国からステルス戦闘機F35を大量に購入するとの案がある。中国を念頭に置く台湾有事などをにらみ、日米が連携して空域で圧倒的な抑止力を構築できるというのが理由とされる。複数の関係筋によると、米国サイドからは「装備を購入してくれるのはうれしいが、日本向けの生産が追いつかない。余計なお世話かもしれないが、倍増ありきで大丈夫なのか」といった、おせっかいな心配が聞こえるという。
もっとも、日本では自民党内にも「何に使うかを具体的に決めてから、結果として倍増するというのが筋道として当たり前のはずだ」との異論が従前からある。
5月に広島で開催したG7首脳会議では、ウクライナのゼレンスキー大統領を招聘して内閣支持率が急上昇したものの、一過性に終わりすぐに低迷した。岸田首相は9月には米国での国連総会などへの出席が予想されるなど、秋は外遊日程が目白押しとなる見通しだ。
高校時代に野球部で鳴らした岸田首相は、内野を守る手堅い選手だったという。一発のホームランで長続きしなかったのなら、ヒットを積み重ねるような国際交渉が国の針路を切り開くかもしれない。
8/22(火) 9:03配信
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