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「コオロギ食」に関する議論がかまびすしい。人口増加や温暖化による食料不足対策として、「持続可能な食料供給」をうたう昆虫食の導入が世界的に推進されているが、欧州では一部で規制する動きもある。国内でもネットを中心に「ごり押し」「食べたくない」など炎上状態だが、国内の事業者は「消費者が選択可能な情報表示」や安全性を強調している。関係者や専門家に賛否を聞いた。
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コオロギ食をめぐっては、粉末入りのパンを販売した企業や給食を試した高校が批判の対象となった。ネットでは「食べたくないし、子供にも食べさせたくない」「なんで急にコオロギごり押ししてくるの?」など拒否感を持つ消費者も多い。
お笑いタレントのビートきよし(73)も今月2日、ツイッター上で「虫食いたくないって言ったせいか」として、河野太郎消費者担当相からブロックされたことを告白して話題を呼んだ。
海外では先月、イタリア政府が新たな法令で、「われわれの食文化の伝統を守る」として、コオロギなどの粉末入りの小麦粉をパスタやピザに使うことを禁じた。昆虫入り食品には食品表示も徹底させ、スーパーなどでも一般食品とは陳列を分けることを定めた。
ハンガリーでも農業相が、「ハンガリー人は昆虫を食べたくはない。食料やタンパク質の不足などない。われわれの文化を壊してはいけない」と宣言。政府は法改正により、昆虫入り食品には「警告! 昆虫のタンパク質を含む」のラベルを貼り、売り場も分けることと決めた。ポーランドも政権内から同様の法規制を求める声が上がる。欧州連合(EU)は、コオロギ粉末を含む食料品に「アレルギー反応を引き起こす可能性があることを説明しなければならない」としている。
日本の消費者庁の担当者は「食品表示基準により、原材料名は最も一般的な名称で表示される。コオロギ粉末入りの食品であれば、原材料名に『コオロギ』と書かれることになるかと思う」と話す。
「ネットで炎上したように、そもそも昆虫への嫌悪感は高い。でも2030年までにはタンパク質の需要と供給が逆転するといわれています」と主張するのは、フタホシコオロギの養殖事業を行う「クリケットファーム」の坪井大輔社長。年間1600万匹の飼育が可能といい、「肉や魚などのタンパク質の代替というより、補助食品というイメージです」。製造する菓子類などにはコオロギ粉末の英語名「クリケットパウダー」と表記し、食物アレルギーへの注意も表示して「農薬や添加物、重金属が入っていないエサでコオロギを育てています」と語った。
徳島大発のベンチャー企業「グリラス」もフタホシコオロギの粉末などを生産する。広報担当者は「製造工程では十分な加熱殺菌も行っている。自社商品には『国産フタホシコオロギ』と記載し、弊社の粉末を使う食品メーカーにも『コオロギパウダー』といった記載は必ずしてもらっている」と強調した。
昆虫食は13年、国連食糧農業機関(FAO)が、将来的な人口増加による食料危機や気候変動への解決策として推奨した。
(続きは以下より)
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