23/03/29 07:36:23.68 EK+SfzvC9.net
日本の出生数が80万人を割り、予想をはるかに上回るペースで人口減少が進んでいる。一方、コロナ禍で停滞していた人の移動が活発化し、首都圏への人口集中が再び強まっている。この2つの出来事は互いにリンクしており、日本社会の姿を大きく変えようとしている。
「異次元の人口減少社会」へ
厚生労働省の人口動態統計によると、2022年の出生数は前年比で5.1%減の79万9728人となり、比較可能な1899年以降、初めて80万人を割った。これは政府推計より11年も早いタイミングである。日本の人口が今後、急激に減少することは以前から予想されていたことではあったが、そのペースがさらに加速している。日本は従来の常識が通用しない、まさに異次元の人口減少社会に突入したと見てよいだろう。
一方、総務省が発表した2022年の人口移動報告によると、東京都の転入超過(転入者が転出者を上回る状態)は3万8023人となり3年ぶりの増加となった。コロナ禍で停滞したかに見えた東京一極集中の流れが再び強まったと判断できる。
出生数が80万人を割り、急速に人口が減っているという話と、東京への転入者が増えているという話はバラバラの出来事に見えるがそうではない。両者には共通要因が存在しており、人口減少と都市部への人口集中はセットになっている。
まずは出生数について見てみよう。出生数が低下して人口が減ると、生産年齢人口の割合が低下して、製品やサービスの供給力が減少する。これによって経済成長が阻害されるとの危機感があり、出生数を増やす必要があると多くの人が考えている。だが現実には、出生数は増えるどころか減る一方であり、社会は多くの国民の希望とは逆方向に動いている。
では、なぜこのような矛盾した事態が生じているのだろうか。最大の理由は、出生数が低下することによって発生する経済的負担についてほとんど考慮されていないからである。
日本社会が「目を背ける事実」
日本では高齢化によって現役世代(特に若年層)の比率が低下しており、現役世代が多くの高齢者を支えているが、ここで出生数を急に増やした場合、問題は解決するどころかさらに深刻化する。というのも、現役世代は、高齢者に加えて、増えていく子供の生活も支えなければならず、想像を絶する負担が現役世代にのしかかってくるからだ。
2人の子供を大学まで行かせるには最低でも1500万円近くの出費が必要となる。この数字は国公立の学校に自宅から通ったケースであり、私立の大学に自宅外で通学した場合には、金額は2倍以上に跳ね上がる。ここまでくると、もはや平均的な世帯収入で対処できる金額ではない。高額な教育費や住宅ローンを支払い、さらに高齢となった親の面倒をみるというのは、富裕層でもない限り不可能である。
出生率低下の背景には、こうした経済的事情が関係しており、ここを金銭的に解決できる施策が実施されない限り、出生率は決して上昇しないだろう。
都市部への人口集中についても同じことが言える。
一般的に人口が減少する社会においては、都市部への人口集中が進むのはごく自然な現象といってよい。人口が減少していくと商圏を維持できない地域が増えてくるため、人々は雇用や生活インフラを求めて都市部に移動し、都市部への人口集中が進んでしまうのだ。実際、地方では、定年を迎えて行動が自由になった高齢者のうち、経済力のある人から順に、近隣の都市部に越していくケースが多数、観察される。
過疎化を食い止めるには、過疎地域に住んでいても、都市部に生活している人と同程度の雇用や生活インフラを提供する必要があり、それには相応のコストを必要とする。拠点が分散する広域経済圏を維持するには、莫大なコストがかかるという現実から多くの人が目をそらしており、これが過疎化の最大要因となっているのだ。
さらに問題を複雑にしているのが、地方から首都圏への人口移動と、各地域において過疎地域から都市部への人口移動が同時並行で進んでいることである。
次ページは:「人の移動」は「経済活動」
全文はソースで
URLリンク(news.yahoo.co.jp)