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日本で2022年に生まれた子どもの数は80万人を割り、想定より早いペースで少子化が進んでいる。社会の担い手が減って不足していく中、岸田文雄首相が打ち出したのが「異次元の少子化対策」だ。だが、その中身や自民党幹部などの発言を見ると、現状や若者世代との認識の“ズレ”も感じる。識者に取材した。【金志尚】
◇年頭会見で示した3本柱
岸田首相が「異次元の少子化対策」への挑戦を表明したのは、1月4日にあった年頭記者会見でのことだった。「少子化の問題はこれ以上放置できない、待ったなしの課題だ」。そう切り出すと、6月に策定する経済財政運営の指針「骨太の方針」までに、子ども予算倍増に向けた大枠を示すとぶち上げたのだ。
厚生労働省が2月に発表した速報値によると、22年に生まれた子どもの数は79万9728人で、統計を取り始めた1899年以降では最も少なくなった。国立社会保障・人口問題研究所は、80万人を割るのは2030年と予測していたため、8年ほど早く少子化が進んでいることになる。
では実際にどんな対策に取り組むのか。首相は年頭会見で、①児童手当を中心とした経済的支援②子育て家庭へのサービス拡充③働き方改革の推進―の3本柱を発表。小倉将信(おぐら・まさのぶ)こども政策担当相に具体策を取りまとめるよう指示した。
本質から外れてきた「王道」
だが、この方針には疑問の声が出ている。「過去の政権とほぼ同じ。従来のやり方の延長線上では、異次元とは言えないでしょう」。そう話すのは、少子化問題に詳しい立命館大の筒井淳也教授(家族社会学)だ。
筒井さんによると、これまで国の少子化対策は子育て支援が中心で、保育サービス▽育児休業制度▽児童手当などの現金給付―の三つが「王道」として認識され、それなりに実施もされてきた。こうした取り組みは既に子どもがいる世帯や、これから子どもをもうけようとする夫婦の生活を楽にするものの、少子化そのものに対する効果は限定的だと言う。
「少子化の直接的な原因は晩婚化と未婚化です。独身の人に『児童手当を拡充します』と言っても結婚への決意を促すかといえば、そうはなりません。そうした『王道』の対策が(少子化問題の本質から)ずっと外れてきた、というのが私の意見です」
岸田政権の方針もその延長である限り、少子化の抜本的な改善につながる可能性は極めて低い、と筒井さんは見る。
結婚が出生数に直結していることは、データからも明らかだ。厚労省によると、21年の日本の合計特殊出生率(未婚も含む1人の女性が生涯に産む子どもの数)は1・30にとどまる。一方、国立社会保障・人口問題研究所によれば、結婚した女性が産む最終的な子どもの数(完結出生数)は同じ21年で1・90人だった。
少子化を改善するには、望む人が結婚しやすい環境を整えることがまずは「欠かせない」と筒井さん。そのためには、これまであまり目を向けてこなかった「肝心なところ」に力を注ぐべきだと語る。それは何なのだろうか?
働き方改革や安定した待…(以下有料版で,残り2197文字)
毎日新聞 2023/3/29 06:00(最終更新 3/29 06:00) 有料記事 3439文字
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