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'22年7月8日─。
この日、安倍晋三元首相が銃撃され、命を落とした。その場で取り押さえられ、逮捕されたのは山上徹也容疑者。
犯行の背景にあったのは、旧統一教会への恨み。事件後、山上容疑者の壮絶な生い立ちが明らかになっていった。
「山上容疑者の父親は、彼が4歳のときに自殺します。兄は小児がんを患い、片目を失明。不幸が重なり、疲弊した母親は旧統一教会に入信します。1億円にのぼる献金を重ね、自宅も売却。生活は困窮し、'02年に自己破産するのです」(全国紙社会部記者)
山上容疑者は経済的な問題で大学への進学を断念し、海上自衛隊に入隊する。
「貧しい実家の家族に、死亡保険金を遺そうと、山上容疑者は'05年に自殺未遂を図ったこともあった。これにより自衛隊を除隊。職を転々とします。そんな中、'15年には兄が自殺します。山上容疑者は“なんで死んだんだ”と涙を流していたそうです」(同・全国紙社会部記者)
《徹也は英雄》“山上ガールズ”の変わらぬ信奉
母親が救いを求めた宗教により、一家は崩壊……。
事件を受け、山上容疑者がモデルの映画が製作されたほか、彼を支援する人々も。
「ネットでは山上容疑者の減刑を求める署名活動のほか、彼に現金を送る人まで。SNSには彼に恋したかのような投稿をする“山上ガールズ”という存在まで登場しました」(ネットニュース編集者)
事件から半年が経過し、'22年12月には旧統一教会の被害者救済の新法が成立。社会に大きな変化をもたらしたが、“山上ガールズ”にも変化はあるのか。SNSをのぞくと、
《山上徹也さんかっこいいって、毎日でも呟けます》
《誰も手を出せなかった極悪人を成敗した徹也は英雄》
など、今も変わらず山上容疑者を“信奉”していた。
そこまで山上容疑者に入れ込む理由を尋ねようと、SNSを介して取材を申し込むが、色よい返事が得られない。ある女性は当初、取材を受ける姿勢を見せていたが、
「私の発言が山上さん関係者や、支援者さんらに迷惑をおかけするのも申し訳ないので、お断りさせていただきます」
との連絡が……。
そこで著書に『自己正当化という病』(祥伝社新書)がある、精神科医の片田珠美さんに話を聞いた。
「1つはアイドルと同様に山上容疑者が疑似恋愛の対象になっている可能性。ルックスも悪くないし、平凡な日常に刺激をくれるドラマ性も、彼にはありますから。恋人がいれば、そうなる人は少ないはずなので、恋愛を渇望している人が多いのかもしれません」
片田さんは続けて、別の理由についても言及する。
「2つ目として、彼女たちの中には、山上容疑者ほどでないにせよ、劣悪な家庭環境や経済的な困窮を経験している人が多いのではないでしょうか。自分と彼の人生を重ね、同一化する。彼を支援する行為は、傷ついた自分を癒す“自己救済”でもあるのです。彼の過酷な生い立ちから、殺人も正当化できるのでしょう」
1月10日、刑事責任能力を調べる精神鑑定を終える山上容疑者。裁判で何を話すのか、開廷が待たれる─。
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