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毎日新聞 2022/8/25 15:29(最終更新 8/25 15:53)
全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病「筋萎縮性側索硬化症」(ALS)で見られる特徴の一つで、筋肉が不規則に動く症状「線維束性収縮」を超音波(エコー)検査機器で観察する早期診断マーカー(指標)を徳島大などの研究者が開発した。筋肉の深い部位も、患者の身体負担を抑えつつ広く観察でき、発症早期でも収縮がみられると分かった。ALSを早期に疑い、その後の診断・治療へ進む検査方法として期待を集めそうだ。
開発したのは、徳島大大学院医歯薬学研究部の藤田浩司講師(脳神経内科学)や和歌山生協病院の福島功士医師(同)らのグループ。
藤田講師らは、運動ニューロン(神経細胞)が変性したALS患者にみられる線維束性収縮に着目した。線維束性収縮は筋がピクピクと動く症状で、皮膚近くで起きると実際に目で見て確認できるが、筋の深い部位で起こった場合には、確認しにくい。藤田講師らはALSの初期段階でも、目で確認できない筋の深い部位などで起きていると仮説を立て、研究を進めた。
活用したのは、手のひら大の機器から腹部などに高い周波数の音波(超音波)を送り、その反射波から臓器の大きさや形状、異常などを画像として映し出す通常の超音波検査。藤田講師らは全身15種の筋について超音波で異常な筋肉の動きを観察し、ALS患者100人と非ALS患者100人の違いを調べた。
その結果、肩の筋である「僧帽筋」や力こぶに関係する「上腕二頭筋」、ふくらはぎ部分にある「ヒラメ筋」など八つの筋で線維束性収縮を観察できた人のうち95・6%で、ALSがみられることが分かった。このため、八つの筋で異常な収縮を観察すれば、ALSを疑えると結論付けた。
ALS早期の段階では、「手に力が入らない」といった異常を訴え、ALS専門医でなく、かかり付け医らに相談する患者が多い。医療機関で広く活用されるエコー検査で線維束性収縮に気付ければ、専門医へ迅速に引き継ぐことができる。
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