22/04/09 08:47:27.37 ztaSVs9i9.net
新型コロナウイルス下で精神状態が不安定になる外国人が少なくない。あるアンケートでは回答者の2割が自殺を「考えた」と答えた。専門家は母国を離れたため家族ら親しい人が身近におらず、孤立しがちな状況が影響しているとみている。
同居する恋人の逮捕、明るい未来みえず
3月3日の深夜、神戸市東灘区のベトナム人女性(24)は6畳ワンルームのアパート一室で自傷行為に及んだ。幸い命に別条はなく、病院にも行かずに済んだ。
半日前。女性の目の前で、同居していたベトナム人の男性(24)が県警に連行され、窃盗容疑で逮捕された。姫路市内のドラッグストアでサプリメントなどを盗んだとする容疑だった。
女性は2017年に来日した。日本での暮らしに憧れを抱き銀行で約80万円を借りて大阪市の語学学校に入学。翌春に卒業し神戸市の専門学校に入った。
借金返済のためにアルバイトに明け暮れ、親しい友人はできなかった。コロナ禍でアルバイト先の飲食店が営業停止になり、アパートに一人でこもった。専門学校を卒業して帰国しようとしたが、母国はコロナで入国拒否となっていた。
アルバイトは再開したものの、孤独感を抱えていた21年夏、知人の紹介で男性と知り合い、交際を始めた。1月から同居を始めて結婚を約束した矢先、恋人は逮捕された。帰国しようにも航空券を買うお金はない。女性は再び一人になった部屋で押し寄せた孤独に耐えきれなく、衝動的に左手首を包丁で切った。あふれる血を目にして我に返り、止血した。
明るい未来を想像できないが、生活はしなければならない。昼は化粧品製造工場、夕方から飲食店で働く。月収13万円余は家賃や借金返済でほとんど手元に残らない。食事は飲食店のまかないの一食で済まし、アイスクリームやスナック菓子で空腹をしのぐ。
捜査関係者によると、女性が交際していた男性は18年に技能実習生として来日。県警は沖縄県の勤務先を失踪した後に近畿、北陸地方で100件以上の万引きを繰り返したとみて余罪を調べている。
女性に日本人の友達はいない。「日本語が下手だから声を掛けられない」という。男性の素性も知らなかった。今は「一日も早く母国に帰りたい」という。
言語の壁で支援情報届きにくく
神戸市看護大の山下正講師(39)はコロナが日本にいる外国人の孤立を深める一因になっている、と指摘する。同大などは21年9~10月、日本で暮らす621人のベトナム人に精神状態を尋ねた。
インターネットのアンケートで「死んだ方がましだ、あるいは自分を何らかの方法で傷つけようと思ったことがある」との問いに149人(24%)が「考えた」と回答した。また、疲労や不眠などの問いへの回答から、計203人(32・7%)に抑うつ症状がみられた。「自身の健康について相談できる相手がいるか」との問いには、433人(69・7%)が「いない」と答えた。
山下講師は、外国人は親類が身近におらず地域との交流も薄く人間関係が勤務先や学校などに限定される、と説明。コロナによる収入減や失業で「暮らしへの不安が広がったうえ、孤立する人が増えた」と分析する。
さらに言語の壁から支援情報が届きにくく、山下講師は「行政や支援団体はSNSを活用した情報発信や、孤立した人を見つけるために在日ベトナム人コミュニティーなどとの協力が必要だ」と指摘する。【大野航太郎】
外国人向け自殺相談窓口
よりそいホットライン(0120・279・33x)午前10時~午後10時▽新型コロナによる生活で困窮した外国人向け相談窓口 FRESCヘルプデスク(0120・76・202x)平日の午前9時~午後5時
毎日新聞 2022/4/9 08:30(最終更新 4/9 08:30) 1502文字
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