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カード不正決済被害が急増…背景に中国「ブラックマーケット」 「数え切れないほどの個人情報が流出」
クレジットカードの不正決済被害が急増している。中国人グループが、盗んだカード情報を基に商品を購入し、転売する手口が目立つ。中国にいるとみられる指示役たちの姿が見えない中、日本で活動する実行役の摘発により、その実態が徐々に浮かんできた。(井上真典)
関東在住の30代男性会社員は昨年1月、化粧品など身に覚えのない商品約50万円分が、自身のカードで購入されていたことに驚いた。数週間前、通販大手アマゾンを名乗ったメールがスマートフォンに届き、促されるままにカード番号や氏名を入力してしまっていた。取材に「見事にやられた」と悔やんだ。
実在する企業を装って不特定多数にメールを送り、個人情報を盗む手口は「フィッシング詐欺」と呼ばれる。
日本クレジット協会によると、カードの不正決済による被害額は2012年から年々増え、昨年1~9月は前年同期比1.3倍の236億円に。産官学からなる日本サイバー犯罪対策センターの担当者は「フィッシング詐欺が被害額を押し上げている」と話す。
中国にいる首謀者らが、通称「ブラックマーケット」と呼ばれるネット掲示板で日本人のカード情報を買い取り、不正に商品を購入しているのではないか―。複数の警察幹部は不正決済の背景をこう見立てる。
警視庁は昨年5月までに、20~30代の中国籍の男女8人を窃盗容疑などで逮捕。7人は家電量販店や通販で電化製品など約3000万円分を買い付け、残る1人=盗品等有償譲り受け罪で有罪確定=が自身の通販サイトで転売していた。
警視庁は8人の自宅の家宅捜索などから、中国の男からの指示を確認。買い付け役の報酬は商品額の数%程度で、商品や転売益のほとんどは中国側に送られていたという。
別の事件で買い付け役として詐欺罪に問われ、実刑判決を受けた中国籍の女(29)は、本紙と拘置所で接見し「金欲しさで闇バイトに応募した。他人名義のカードを持たされ、中国にいる男の指示でパソコンなどを買っていた」と証言した。
◆「日本の魚の餌」取引の現場
カード情報が売買されているとされる「ブラックマーケット」では、どんなやりとりが交わされているのか。セキュリティー会社「サウスプルーム」(東京都新宿区)の協力で、中国語が飛び交う掲示板に案内してもらうと、日本人の個人情報があふれていた。
「直接仕入れた日本の新鮮な魚の餌」―。同社が韓国企業「CNSECURITY」と共同調査している通信アプリ「テレグラム」の掲示板には、意味のよく分からない中国語の書き込みがあった。
サウスプルーム代表の篠田律さんは「魚はフィッシング、餌はわなに引っ掛かったカード情報の隠語。フィッシング詐欺で得られた情報の相場は1万円だ」と解説。購入希望者とは、アプリのダイレクトメッセージなどで秘密裏に売買交渉をしているとみられるという。
情報売買の舞台となっている掲示板は、このアプリだけで約70種類。アカウント数を見ると、掲示板ごとに数千~数万人がメンバーになっており、篠田さんは「数え切れないほどの個人情報が流出している」と警告する。
ある捜査関係者は「犯行グループは、カード情報を買い取る役をはじめ、他人名義のカードで商品を購入する役、転売する役と細分化されている。中国の首謀者らが直接、通販で買っているケースもある。日本国内の実行役を地道に摘発していくしかない」と話す。
警察庁の幹部は「カード会社がセキュリティー対策をより強化することで、防げる犯罪もあると思う」とした上で、「カード所有者は不正決済に気づいたら、ためらわずに警察に相談してほしい」と求めた。
東京新聞 2022年3月25日 06時00分
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