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オウム後継団体「アレフ」コロナ禍の勧誘広がる SNS駆使し「80人以上」が入会 地下鉄サリン27年
オウム真理教による地下鉄サリン事件から20日で27年。後継団体の「アレフ」など3団体が昨年、全国で80人以上の新規入会者を獲得し、地域別では中部6県が最も多かったことが公安調査庁への取材で分かった。新型コロナウイルス禍で会員制交流サイト(SNS)など「非対面型」の勧誘が広がっており、専門家は「抵抗感なく受け入れる若者が増えている」と警鐘を鳴らす。(奥村圭吾)
地下鉄サリン事件とオウム真理教の後継団体 1995年3月20日、松本智津夫元死刑囚=教祖名麻原彰晃=の指示を受けたオウム真理教の幹部らによって、都心を走る地下鉄5車両に猛毒のサリンがまかれ、14人が死亡、6000人以上が負傷。オウム真理教による一連の事件では、松本元死刑囚を含む13人の死刑が確定し、2018年7月に執行された。教団は96年に破産したが、後継団体が設立され、現在は主流派の「アレフ」とアレフ元幹部を中心に15年から活動する「山田らの集団」、上祐史浩代表による「ひかりの輪」の3団体に分かれている。3団体の拠点は全国15都道府県に計30施設あり、信者数は計約1650人。
◆愛知が最多、34歳以下が7割
公安調査庁によると、新規入会は2020年の60人から、21年は「80人以上」に増加。年齢別では、34歳以下が約7割と若い世代が目立っている。
公安調査局のある全国8ブロックでは中部(愛知、岐阜、三重、石川、福井、富山)が半数を占め、2年連続で最多。中でも愛知県内の入会者数が最も多く、同庁は「積極的に勧誘が行われている」とみる。日本脱カルト協会の西田公昭代表理事は「大勢が入会しているという安心感が、さらなる入会を招いている可能性がある」と指摘する。
◆ネット通じた勧誘「危険」
コロナ禍で勧誘手法にも変化がみられる。以前は書店や駅前で声を掛けて勉強会などに誘う対面型が主流だったが、SNSのメッセージやボランティア募集サイトを通じた非対面型に移行している。
信者らは、友人づくりやイベントへの参加を口実にSNSでやりとりした後、実際に喫茶店などに誘い出し、団体名を隠した仮装のヨガ教室や勉強会に勧誘。人間関係を深めた上で、松本智津夫元死刑囚=教祖名麻原彰晃=の名前を出さずに教えを伝えたり、「地下鉄サリン事件は団体以外による陰謀だ」という考えを植え付けているとみられる。
西田代表理事は「コロナ禍で孤独を感じる人が増える一方で、オンラインサロンやSNSなどのつながりが盛んになった。ネット上での勧誘に対し、誰も怪しいと思わなくなっている」と危険性を訴えている。
◆松本智津夫元死刑囚の説法 教材利用も
公安調査庁は今年、オウム真理教の後継団体「アレフ」などの施設への立ち入り検査を既に10回実施。観察処分が始まった2000年以降、最多となった昨年の同時期の倍のハイペースで、同庁は「アレフが活動の実態を明らかにしておらず、継続的に監視を強めている」としている。
同庁は18日までに、東京都武蔵野市や大阪市生野区など8都府県10カ所に立ち入り、松本智津夫元死刑囚の写真や説法を収録した教材を確認。昨年1年間の立ち入り検査は計41回で、3月時点では5回だった。
団体規制法は3カ月ごとに活動実態を報告するように義務付けている。だが、アレフは20年2月以降、物品販売などを行う事業体の資産を除外して報告。期限までに報告書を提出しないことも昨年2回あった。
これを受けて同庁は昨年10月、施設の使用や勧誘などを大幅に制限する再発防止処分を公安審査委員会に初めて請求。その後、報告書が提出されたことで撤回したが、直近の今年2月の報告書でも、事業体の資産を除くなど正確に記載されていなかった。アレフなどの資産の報告額は19年10月末に約12億9100万円だったが、今年1月末時点で約2億1600万円まで減少している。
アレフは、事件の被害者や遺族に賠償金を分配する「オウム真理教犯罪被害者支援機構」に対する10億円超の賠償命令が確定している。同庁は、アレフが賠償金の支払いを逃れる意図で資産を過少に偽っているとみている。幹部は「2度目の再発防止処分請求も視野に観察処分を厳正に行っていく」と話している。
東京新聞 2022年3月21日 06時00分
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