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日刊SPA! 12/7(火) 8:55
高年齢者雇用安定法の改正で「70歳定年」が叫ばれるようになった。だが、不景気も相まって今の会社に居続けられるとも限らない。大企業を中心に「早期退職者」の募集が相次いでいる。
早期退職を選ぶ人たちにもさまざまな事情があるのだが、「今でも悔やんでいます」と話すのは、製造業界に勤めていた三宅幸三さん(仮名・60代)。早期退職後に待ち受けていた厳しい現実とは?
52歳で“早期退職”して後悔
「退職を決意したのは、52歳の誕生日の目前でした」
三宅さんは、50代で早期退職することになるとは夢にも思っていなかったという。もちろん、葛藤もあった。
「50代といえば働き盛りです。報酬もそれなりにいただいていました。それをすべて投げうって退職したんです。理由は、病身の両親の面倒を見ることでした」
仕事がない現実
都会から実家に戻ってきたが、再就職は困難だった。そこで「自分は無職」という現実を突きつけられたという。
「失業保険をもらいながら暮らしていましたが、受給期限が過ぎても再就職先は見つかりませんでした」
そこは田舎。若者でさえ仕事はない。当然、50歳を過ぎた中年男性に手を差し伸べてくれる企業はなかったそうだ。
再就職を目指して資格を取得
とはいえ、ずっと無職のままでは生活ができない。退職した当時は、これといった資格は何ももっていなかったのだが、再就職に備えて資格取得を目指すことにした。
「再就職に有利な資格取得を考えましたが、どんな資格が再就職に有利なのか想像もつきませんでした。そして記憶力の衰えた身では、勉強もスムーズに捗りません」
そんななか、職業安定所の担当者のアドバイスによっていくつかの試験に合格。
「不動産関連の資格がいいと聞きましたので、宅地建物取引士(当時は宅地建物取引主任者)と測量士補の試験に挑戦したんです。一生懸命に勉強した甲斐もあり両方の資格取得につながりました」
努力が報われ、やっとの思いで取得した資格。しかし、それでも再就職は叶わなかったという。
時給800円台のアルバイト生活
「社員として内定がもらえないのなら、アルバイトでもいいと思いガソリンスタンドで働き始めました。働くきっかけは、乙種4類危険物取扱者の資格を保有していたからです。とはいえ、あくまでもアルバイトです。時給800円台での生活は厳しいものがありました。
住まいは、両親が残してくれた一戸建てがあるので家賃の心配はありませんでした。それに、貸家を2軒残してくれていたので少しの家賃収入は得ることができていたんです。しかし、いっこうに正社員としての仕事は見つからないままでした」
当時大学生の娘がいた三宅さんは、学費の心配もあったと話す。検討した末に出した答えは、「株と投資」を始めることだった。
60歳を過ぎて正社員は夢物語
「株は経験があったので投資自体には抵抗はありませんでした。金融投資には退職金の一部を割り当てました」
失敗したら「人生の終わり」という懸念もあったが、やってみることにした。
「少額の投資から始めましたが、思うように結果がついてきません。利益が出るようになったのはずっと後のことです」
現在、三宅さんは無職だ。単発のアルバイトをしながら日々を過ごしている。
「田舎へUターンしたばかりに満足に仕事にもありつけない状況は想像以上にツラい。金融投資もこのまま続けるかというと自信はありませんし、60歳を過ぎていますので正社員は夢物語です。早期退職を考えている人は、目先の事象にとらわれず、よく考えてから結論を出した方がいいですよ」
<取材・文/chimi86>
―[早期退職した人の「その後」]―
【chimi86】
ライター歴5年目。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。Instagram:@chimi86.insta
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