21/10/18 22:57:10.91 Vj+8PYzX9.net
海外に住んでもう10年以上経つので、外国人の知り合いから日本旅行のエピソードを聞かせてもらった経験がそれなりにある。
概して日本はキレイで、現代と伝統のバランスがとれているなどと言われるから、こちらとしても誇らしい気分になる。
中でもよく耳にするのが、日本では落とした財布が返ってくる、というものだ。
本当に財布を落としたのか、都市伝説的な噂話をこちらの気分をよくするために言っているのかは定かでないが、かなり多くの友人から聞いたことがある。
他にも日本について美談を聞くことは多く、「アメリカと違って、震災や災害のあとに暴動や略奪が起きない」、「ボランティアが多く、人助けの精神が残っている」などは典型的なものだ。
こうした話は、日本人の多くも耳にしたことがあるのではないだろうか。
だが、日本人の意識調査や行動動態の変遷を研究している私からすれば、こうした美談には違和感を覚えてしまう。
本当に日本人は困っている人を助けるやさしい国民なのか? ―残念ながら、答えは否だ。
例えば、先述した2019年の「世界人助け指数」によれば、「人助け」の項目で126ヵ国中、日本は最下位。
「寄付」の項目では64位、「ボランティア」の項目では46位となっている。
右のような美談に反して、こうした調査によれば、日本はどうやら「他人にやさしくない国」らしい。
こうした自分の信念とは違う話や事実を突きつけられると反論したくなるのが人の常で、天邪鬼の私もいろいろ反論を考えてみたくなる。
例えば、考えられる一つの反論は、この調査団体の標本が一般的な日本人ではなく、たまたま「極端に他人にやさしくない日本人」を対象にした可能性があるのではないか、というものだろう。
しかし、残念ながら、こうした「他人にやさしくない日本」像は、他の多くの調査(異なる標本抽出法、異なる年次)でも一貫して見られるのだ。
少し古いが、2007年のアメリカのピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)の調査では、「政府は貧しい人々の面倒を見るべき」という項目に「同意する」と答えた日本人は、調査対象の47ヵ国中、最低の59%だった。
スペインが最高の96%で、ヨーロッパで日本とよく比較されるドイツでも、92%の人が「政府は貧しい人々の面倒を見るべき」だと答えている。
日本人の4割は、自分自身が助けないだけでなく、政府も「他の困っている日本人を助けるべきではない」と考えているのだ。
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