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● 「ビッグマック指数(2)」で、 日本の賃金は31位、韓国より低い
ここで、労働者の平均賃金とビッグマック価格の比率はどの国でも同じだとしよう。
その場合、もし実質の為替レートが「ビッグマック指数(1)」と同じであれば、つまり、「ビッグマック指数(2)」が1であれば、その国の平均賃金はアメリカと同じになる。
ところが、もし「ビッグマック指数(2)」が1より低ければ、その平均賃金はアメリカより低いことになる。日本の場合、この比率が0.628だから、「日本の労働者の賃金は、アメリカの労働者の賃金の約6割でしかない」ということになる。かなりの低さだ。
● 価格差を是正するように、 円高になるはずが、なぜならないか?
以上で指摘したことについては、次のような意見があるかもしれない。
日本の労働者は、日本にいる限り、賃金は安いけれども安いハンバーガーを買うことができる。だから、アメリカの物価が高いのはとくに問題ではないという意見だ。
しかし、そうではない。日本経済は孤立して存在しているわけではなく、国際的な取引があるからだ。
そして、そのような取引によって、日本の労働者の賃金や国際的な地位をもっと上げるような力が働くはずなのだ。
今仮に、現実の為替レートが1ドル=110円ではなく、1ドル=69円になったものとしよう。そのときには、日本のビッグマックの価格(390円)は、ドルで評価すれば5.65ドルとなり、アメリカのビッグマックの価格と等しくなる。
だから、「日本のビッグマック指数(2)」は1となり、世界第5位となるのだ。
● 生産性を上げずに 手軽に利益が出る円安に依存
円高を阻止し円安を望むメカニズムが何であるかは、前回コラム(2021年9月16日付)「円安の『麻薬』に頼り続け、日本円の購買力は70年代に逆戻り」で説明した。
その内容を要約すれば、次のとおりだ。
日本の輸出産業の立場からすれば、円安になると、ドル表示の日本の賃金を自動的に切り下げるのと同じことになるので、利益が増える。そして株価が上がる。
円高になれば、逆のことが起きて、企業の利益は減少し株価が下がる。だから、円高は「国難」と言われる。
そのため、実際に円安政策が取られ、「ビッグマック指数(2)」が1より低くなってしまうのだ。
ここで注意すべきは、円高による利益減少は、本来であれば、技術革新を行なって生産性を引上げ、それによって利益を上げることで対処すべきだったことだ。
しかし、そのためには、投資が必要だし、労働の配置転換なども必要とされる。それよりは手軽に利益が上がる「円安」という手段に依存したのだ。
では、円安で対処した場合と生産性向上を実現した場合で、何が違うか?生産性向上が実現された場合には、賃金が上昇したはずだ。
しかし、実際には、生産性が下がったため賃金は下落した。
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