21/06/19 00:45:10.20 7m9CdoUR9.net
新規事業が育つと、既存事業と共食いとなる。それゆえ、大企業経営者はイノベーション(技術革新)に積極的になれない―。
「イノベーターのジレンマ」を喝破したのは、米ハーバード大学のクリステンセン教授だが、
大企業経営者に雇用維持の重い責任を課す日本では、イノベーターのジレンマはより深刻だ。
だからこそ、日本経済は低成長から抜け出せない。
菅義偉政権が2020年10月に打ち出した「カーボンニュートラル2050」は、日本経済が長期停滞を脱する起爆剤となり得る。
ただ、脱炭素化に向けた産業社会の構築には、衰退分野から成長分野への労働移動が不可欠であるのと同様、
炭素生産性(炭素排出1単位当たりの付加価値)が低い分野から高い分野への労働移動が不可欠だ。
今後の労働政策が「グリーン成長戦略」の成否のカギを握る、といっても過言ではない。
(中略)
この点で最近気になるのは、「脱炭素化は日本のものづくり産業の強みを失わせる」との否定的なコメントが散見されることだ。
典型的には、自動車産業である。
確かに、日本の自動車産業は「ハイブリッド車」というキラー商品を持ち、その特許の大半を押さえ、環境性能でも他国を凌駕(りょうが)する。
日本のものづくりの精華といっていい。だが、世界のゲームのルールは急速に変化しつつある。
脱炭素化が国際標準になれば、排出ゼロの電気自動車(EV)に対し、なおCO2(二酸化炭素)を排出するハイブリッド車は劣後する。
30年以降に内燃機関をもつ自動車の販売禁止措置を導入する動きが世界で急速に広がる中、日本はどういう立ち位置で行くべきか。
トヨタ自動車社長にして日本自動車工業会長の豊田章男氏の立場は明快だ。
電気自動車を導入しても、発電部門が脱炭素化されない限り、サプライチェーン(供給網)全体でみた脱炭素化は、実現しないと指摘する。
したがって、ハイブリッド車に強みをもつ日本は、その燃費を極限まで高めることで、電気自動車とは異なるルートで脱炭素化に近づくのが望ましい、というわけだ。
◆発電部門も脱炭素化
発電部門を考慮せず、電気自動車の比率だけを高めても意味がないという指摘は正しい。
だが、それがそのままハイブリッド車の正当化につながるのだろうか。
見落としてならないのは、発電部門もまた50年までに脱炭素化が要請されており、各国とも既にその実現に向け走り出している点だ。
重要なのは、車の電動化と発電部門の脱炭素化は「車の両輪」に他ならないことである。
発電部門も脱炭素化される50年時点では、電気自動車に対し、ハイブリッド車を正当化するのはもはや困難になるだろう。
豊田氏の発言から透けて見えるのは、ハイブリッド車の強みをできる限り維持したいという思いだ。
それとともに、内燃機関の製造こそが今後も日本に優位性をもたらし続け、産業競争力の保持につながるはずだという信念である。
だが、急速に変わりつつある世界のゲームのルールが、そうした豊田氏の思いを忖度(そんたく)するはずもない。
今後、電気自動車は自動車産業の姿を垂直統合型から、それとは全く異なるグローバルな水平分業型へと転換させる駆動力となるだろう。
それに抵抗して豊田氏は自ら、「イノベーターのジレンマ」に陥ろうとしているのだろうか。
(以下略、全文はソースにて)
URLリンク(news.yahoo.co.jp)
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