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【独自】高齢者1万人「接種センター」 日本旅行、人材派遣会社に約37億円で自衛隊が“丸投げ”
吉崎洋夫2021.5.10 17:49dot.
URLリンク(dot.asahi.com)
内閣支持率の急落が止まらない菅政権が急きょ、ぶち上げた高齢者に対する「新型コロナワクチン1日1万人接種」計画だが、担当の自衛隊だけでは人手が足りず、人材派遣会社や日本旅行などに約37億円で“丸投げ”していたことがAERAdot.編集部の調べでわかった。
(中略)
しかし、これには“カラクリ”があった。防衛省関係者はこう説明する。
「自衛隊の看護官の人数が圧倒的に足りないので、外注する形で集めることになったんです。菅首相がワクチン接種は『自衛隊がやる』と宣言はしたものの、結局は民間看護師、しかも非正規雇用の方を大量動員してやっつけで進めるしかなかったということです。この計画は菅首相の側近の和泉首相補佐官らが主導し、詳細を詰めぬまま、メディアに大々的にぶち上げられました。だが、ワクチンを所管する厚生労働省や内閣府、内閣官房などには何のノウハウもなく、困り果てていた。自衛隊に押し付ける形になりましたが、結局、看護師派遣や接種会場の受付などロジも含めて人材派遣会社、日本旅行、東武トップツアーズなどに約37億円で”丸投げ”となりました」
事業主体となる自衛隊によると、一般競争入札の公示が出されたのは5月3日、入札日は9日だった。募集人数は看護師200名で、「納期または工期」については5月17日から8月24日までとなっている。入札金額は約6億9千万円(税抜き)だという。
だが、受注企業が決まってからわずか8日で200人の看護師を集めるというのは決して簡単ではない。
「常識的に考えたら、無茶な発注です。こんな突貫ですから、金額もハネ上っても仕方がないのではないか」(防衛省関係者)
いったいどこの企業が、いくらで落札したのか。陸上自衛隊中央会計隊に確認すると、落札したのは「キャリア」(本社・東京都世田谷区)だ。
この会社は2009年に設立されたベンチャー企業だ。
中略
200人の看護師を短期間で確保する分、金額も通常より高くなっているのではないか、と尋ねた。
「(高いか低いかについては)お答えを控えさせていただきたい」(広報担当者)
東京のワクチン接種会場は千代田区大手町の官庁街にあるビルの一室で、一日1万人もの高齢者が来場するとなると混乱は必至だ。大阪も府立国際会議場で一日5千人を見込んでいる。
「東京、大阪の両会場の運営、設営、受付から高齢者の案内などのロジも旅行会社2社へ計30億円で”丸投げ”です。急ぎの発注だと、建設工事もそうですが、相場より高額になります。東京センターの設営ロジの元受は日本旅行です。大阪センターの元受は東武トップツアーズです。両センターとも元受から孫請けの複数の人材派遣会社がインターネットで求人募集をかけています」(前出の防衛省関係者)
日本旅行に取材を申し込むと以下の回答があった。
「大規模接種センターの東京の業務を受託したのは事実です。詳細についてはまだお伝え出来ない。防衛省に確認してほしい」(広報)
東武トップツアーズに取材を申し込むと以下の回答があった。
「当社はワクチン事業に参画していることをまったく公表していない状況。従って、個別具体なことにお答えできない」(広報)
<大手町駅徒歩8分、職種)☆期間限定☆ワクチン接種の会場運営/給与時給1450円~ ★日払いOK/WEB登録OK>
<勤務時間7:30~14:00、14:00~20:30/週3日~ 来場者の受付対応・誘導、設備設置・撤去 などの作業をお任せします♪未経験OK!主婦(夫)、フリーター歓迎>
すでにインターネットではワクチン接種会場のロジを担当する求人広告が上がっていた。募集を行っていた会社に詳細を尋ねた。
「メディアへの露出を禁止しているので、お答えできません」(担当者)
河野太郎ワクチン担当相は5月5日放送されたテレビ番組内で、ワクチンの大規模接種センター東京会場で1日1万人の接種を実現できるかは「自衛隊次第」と“丸投げ”発言。自衛隊から「無責任だ」などと批判の声が上がっていた。
その自衛隊から今度は民間の人材派遣会社、旅行会社へ“丸投げ”された格好だが、ワクチン接種のドタバタ劇はいつまで続くのか。