21/04/19 15:49:54.91 d7Be0rU79.net
※NEWSポストセブン
中国政府が新疆ウイグル自治区で100万人以上のウイグル人を強制収容所に送り、強制労働などの弾圧を続けている人権問題は、日本を代表する企業にも影響を及ぼしている。
ファーストリテイリング(ユニクロ)の柳井正会長は、4月8日の記者会見でウイグル問題について問われると、「人権問題というより政治問題であり、われわれは常に政治的に中立だ」と表明。新疆産の綿を使っているかどうかについても「ノーコメント」とした。
昨年9月、豪シンクタンク「豪戦略政策研究所」がウイグル人の強制労働に関する報告書を公開した。強制労働との関与が疑われる企業としてアップル、BMW、サムスン、フォルクスワーゲンなどの世界的企業のほか、日本からは前述のユニクロ、無印良品、しまむら、パナソニック、ソニー、日立製作所、TDK、京セラ、三菱電機、シャープ、任天堂など、14社が名を連ねていた。
日本ウイグル協会らがこの14社に対して質問書を送ったところ、多くの企業が「強制労働の問題は確認できなかった」と回答した。
日本企業が中国に対して及び腰になる背景について、経済ジャーナリストの磯山友幸氏が指摘する。
「2020年の対米輸出額は前年比17%減の約12兆円であるのに対し、中国への輸出額は2.7%増の約15兆円で最大の輸出相手国となっています。輸出の面だけでなく、日本企業は生産面でも中国に多数の工場・拠点を置いているため簡単に批判に回ることはできない」
ユニクロの場合は直接的な問題を抱えている。雑誌『経済界』編集局長の関慎夫氏が言う。
「柳井会長は使用について会見で明言しませんでしたが、ユニクロは製品の原料として新疆産のコットンを過去に使用していた。高品質で安価な綿は、大量生産ビジネスモデルのユニクロにとって“生命線”と言えるため、ウイグル問題への対応は自らの商売を左右しかねない」
こうした対中依存の状況は近年、さらに強まってきているという。
「ユニクロは中華圏の売り上げがすでに日本国内を上回っています。パナソニックは中国での売り上げを1兆円にすることを具体的な目標にしていますし、海賊版が横行する中国とは距離を取っていた任天堂でさえ、2019年末から中国で主力商品の『ニンテンドースイッチ』を売り始めた。どの日本企業も中国市場を無視できない現実がある」(同前)
中国批判の立場を鮮明にしたH&Mに対しては中国国民から大きな反発が起きており、SNS上で不買運動を呼びかける声も出ている。中国のH&Mの1号店である上海の店舗では「閑古鳥が鳴いている」と上海在住の日本人女性が語る。
「現在も店は開いているのですが、ガラガラで客足もまばら。インターネットの地図アプリでH&Mの店舗を検索しても一切表示されない状態が続いています」
日本企業も中国での不買運動にたびたび苦しめられてきた過去がある。
2005年に小泉純一郎首相(当時)が靖国参拝を行なうと、中国各地で反日デモが勃発。日本料理店が破壊されるなどの被害を受けた。
2012年には尖閣問題で「抵制日貨(日本製品ボイコット)」がスローガンに掲げられ、あらゆる日本製品の売り上げがダウン。特に自動車業界はピーク時の3分の1までシェアを落とした。日系の百貨店や大型スーパーは放火され、暴徒たちは商品を略奪した。
中国で飲食ビジネスを手がけ、ジェトロ上海アドバイザーを務めるゼロイチフードラボ総経理の藤岡久士氏が語る。
「2005年の時は、身の危険を感じて急遽ベニヤ板で店舗を覆い隠したのですが、それでも日系店舗だとバレて石を投げられました。幸い、公安にパイプがあったので店舗を暴徒から守ってくれましたが、危なかったですね。ほかの店は公安が暴徒たちを黙認していたので、放火されている店もありました。2012年は、売り上げが3割ぐらい減少した」
理不尽なことが起こるのは店舗だけではない。
「駐在員も例外ではありません。習近平政権は2014年の反スパイ法を皮切りに、国家安全法、サイバーセキュリティ法を相次いで施行し、治安維持を名目に中国と緊張関係にある国の駐在員をスパイ容疑などで逮捕、圧力をかける『人質外交』を繰り返しています。2019年にも伊藤忠商事の駐在員がスパイ容疑で1年以上も拘束されていることが分かり、改めて気を引き締めました」(藤岡氏)
中国ではスパイ罪の最高刑は死刑。刑事裁判の進め方も日本や欧米と大きく異なるため、無罪の立証は極めて困難とされる。その他にも現地企業への認証取り消し、関税の引き上げなど、“100倍返し”の報復を恐れているのだ。
4/19(月) 11:05
URLリンク(news.yahoo.co.jp)